猿捕茨 ユリ目/サルトリイバラ科/シオデ属 花期/3月下旬~4月 結実期/10月下旬~12月
薬用自生種
サルトリイバラの実 箱根町・湖尻 2017/10/27
林縁部などに生える落葉藤本(とうほん)で、雌雄異株(しゆういしゅ)。神奈川県内全域に普通種。ただし人の手が入る場所では刈払い被害に遭ってしまって、実ができるほどの大きな株には成長できないことがほとんど。葉っぱだけは頻繁に見かけるものの、花や実はやや稀少。
サルトリイバラの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/06/06
サルトリイバラの汚れ模様が入った葉 藤沢市辻堂西海岸・湘南海岸砂防林 2019/06/08
サルトリイバラの汚れ模様が入った葉 藤沢市辻堂西海岸・湘南海岸砂防林 2019/06/08
葉柄(ようへい)に付く托葉(たくよう)が一対の”巻きひげ”になっており、これを他の植物に巻き付けて藪をよじ登ってゆく。
サルトリイバラの巻きひげ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/06/06
あまり目立たなく数も多くはないのでうっかりしてしまうが、サルをも絡め捕れそうな硬い棘(とげ)がある。
サルトリイバラの棘 箱根町・湖尻 2017/10/27
葉裏にはルリタテハ(瑠璃立羽)という美しいチョウ(蝶)の、超絶気色悪い幼虫がくっ付いていることがあるので注意したい。この上なく毒々しいが、イラガ(刺蛾)とは異なり無毒とのこと。駆除されぬよう。
サルトリイバラの葉裏に付いたルリタテハの幼虫 茅ヶ崎市行谷 2018/05/12
参考)ルリタテハの成虫 鎌倉中央公園 2017/06/23
変種に、葉や実が大きく茎に棘がないトゲナシサルトリイバラ(刺無猿捕茨)がある。落葉するのは二月頃、年を越して春を感じ始めてから。という変わった特徴があるため、名はトキワサルトリイバラ(常盤猿捕茨)とも。葉が幅広でないサルトリイバラらしきものあらばシオデ(牛尾菜)という近似種だろう。
サルトリイバラの花
背景の葉に紛れてしまう黄緑色で地味。
サルトリイバラの雄花 秦野市・弘法山 2017/04/10
サルトリイバラの雄花 藤沢市・遠藤笹窪谷 2018/04/10
サルトリイバラの雄花 秦野市・弘法山 2017/04/10
サルトリイバラの雄花 茅ヶ崎市行谷 2019/04/03
サルトリイバラの雌花 茅ヶ崎市行谷 2019/04/03
サルトリイバラの雌花 茅ヶ崎市行谷 2019/04/03
サルトリイバラの実
緑色から真っ赤に熟す。とよくいわれるがその続きがじつはあって、その後は茶色く完熟する。自然界ではきれいな球形になっていないものも多く、赤くてきれいなぼんぼん状態を見るのは意外と難しい。
サルトリイバラの若い実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/06/06
サルトリイバラの実 箱根町・湖尻 2017/11/17
サルトリイバラの実 箱根町・湖尻 2017/10/27
サルトリイバラの実 箱根町・湖尻 2017/10/27
サルトリイバラの熟しすぎた実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12
サルトリイバラの熟しすぎた実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12
サルトリイバラの熟しすぎた実 鎌倉市・散在ガ池森林公園 2017/11/12
サルトリイバラの熟しすぎた実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12
サルトリイバラの完熟して果皮が破れ黒色の種子を放出している実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15
放っておけば熟してどんどん汚くなってしまう実は、真っ赤なきれいなときに切り取ってしまえば多少の変色(やや黒ずむ≒色合いに深みが出る)はするもののひどくは劣化しない。茶花やリース飾りに好まれる所以だろう。
サルトリイバラの採取三十日後も干からびない実 2018/01/06
中国に分布する近縁種ケナシサルトリイバラ(毛無猿捕茨)、別名ドブクリョウ(土茯苓)の根茎は生薬として利用されサンキライ(山帰来)と呼ばれる。転じて日本ではサルトリイバラ(の実)をサンキライと呼んでしまうことがあるようだ。本来のサンキライは有名な便秘薬『毒掃丸』(山崎帝國堂)にも含まれていることで知られる。
東京都小平市・#東京都薬用植物園(温室にケナシサルトリイバラ)、横浜市栄区・横浜自然観察の森、横浜市保土ケ谷区・#横浜市児童遊園地
城ケ島、鎌倉中央公園
久里浜緑地、長柄桜山古墳群(第1号墳~第2号墳)、散在ガ池森林公園、藤沢市・遠藤笹窪谷(雄株)、湘南海岸砂防林(目立たないが林内に多い)、茅ヶ崎市行谷(茅ヶ崎新北陵病院の北西、刈払われる)
秦野市・弘法山、箱根町・湖尻
>葉裏にはルリタテハ(瑠璃立羽)という美しいチョウ(蝶)の、超絶気色悪い幼虫がくっ付いていることがあるので注意したい。この上なく毒々しいが、イラガ(刺蛾)とは異なり無毒とのこと。駆除されぬよう。
●先日(2023-03-23、13:57)、そのルリタテハを初めて目撃。
窓外をルリタテハがスーッと横切り、玄関ポーチをひらりと飛び越えて東方へ消えた。突然、瑠璃色のストライプの翅の蝶が眼前に出現し、興奮した。何処にも止まらず移動速度も早いため撮影できず残念だったが。最高気温22.8℃(14:03)
●その幼虫を見たこともありました。
アメリカシロヒトリやチャドクガ、イラガにひどい目にあった経験があり、おぞましく危険そうな(ルリタテハの)幼虫から遠ざかる判断をしたのですが…、帰宅後、記憶を頼りに調べたのですが、さっぱり分からずで忘却していました。
退治せずに良かったです。
>林縁部などに生える落葉藤本(とうほん)で、雌雄異株(しゆういしゅ)。神奈川県内全域に普通種。ただし人の手が入る場所では刈払い被害に遭ってしまって、
確かに、谷戸の当地には「サルトリイバラ」が普通種です。
棘があり、邪魔な存在と判断されているのか、当地でも徹底的に刈り払われています。
ホタルやオオムラサキの保全運動をしているので、ルリタテハも対象に含めたいと感じました。
mirusiru.jp での言及に感謝します。