辣韮 クサスギカズラ目/ヒガンバナ科/ネギ属 旬/5月中旬~6月 花期/10月末~11月上旬
学名/Allium chinense G.Don
食用薬用改良種稀少
#ラッキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/07
中国原産の多年草。細身な球根(鱗茎(りんけい)という)が主に甘酢付けにされて食卓に並ぶ、お馴染みのあのラッキョウ。転訛(てんか)してラッキョ。自家栽培用にホームセンターの園芸コーナー等で球根が(夏に)市販されているので市民農園などでも見かけることがあるはずなのだけれど、意外とこれが出遭わない。簡単に手に入るくせにぜんぜん花は見かけない希少品だったりする。植え付けはふつう夏の終わり頃で、葉が出て、秋に花が咲き、翌年の初夏から梅雨の頃に掘り上げて収穫する。食用のラッキョウを買ってすぐ初夏に植え込んでみたところ秋に問題なく花を咲かせたので、過湿を嫌う植物ではありながら、植えっぱなしでも(新しく生まれる球根は小さくなるが)真夏の暑さで溶けて腐ってしまう可能性はさほど高くはないのかもしれない。
#ラッキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/02
葉は細いが、ネギの仲間らしく中空(ちゅうくう、中が空洞)で立体感あり。葉の断面はふつう五角形。六角目がぜんぜん発達しておらず角張っていない六角形のように感じられないこともない、五角形。
#ラッキョウの葉(背景の広葉はクリスマスローズ) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/08
#ラッキョウの葉(※上下逆、尖っている3番の方が葉裏)の、五角形になる断面 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/08
島ラッキョウ(島らっきょう)の名前で販売されているものは、沖縄県で生産されている食用のラッキョウの一品種。小振りで、独特の辛みと強い香りがある。花の観賞用に園芸栽培されるアリウム(Allium)はネギ属に分類される(外国産の)植物の総称なので、ラッキョウもその仲間である。
ラッキョウの花
粗すぎるぼんぼん状の花序が咲く。花色は紫(赤紫)。小花はのんびりゆっくりと順次開花してゆくため、一つの花序全体が一斉に満開しているということは期待できないかもしれない。ふつうは、蕾、きれいに開花中、咲き終わり、が混じる。ヤマラッキョウ(山辣韮)などの自生種に比べて小花柄(しょうかへい)が長いのが特徴。小花柄の長さは個体差あるも、(1.5cm強)2cm弱~3cm弱。
#ラッキョウの咲き始め 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/02
#ラッキョウ 鎌倉市・大巧寺 2017/11/05
#ラッキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/07
#ラッキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/02
#ラッキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/07
花糸(かし)と花糸の間の基部のところに歯牙(しが)と呼ばれる立派な突起がある。ヤマラッキョウの歯牙は不明瞭。
#ラッキョウの花糸間にある歯牙(白色矢印) ※歯牙が見えるよう花の一部を人為的に除去している 2020/11/08
全体的に柔らかいため、葉や花茎(かけい)はたいへん折れやすく取り扱いに注意が必要。
#ラッキョウの折れた花茎 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/08
かわいらしい花だと思うのだが、ラッキョウを観賞用に植えている人はまずいなかろう。対して、葉がもっと細いイトラッキョウ(糸辣韮)はいわゆる山野草として栽培されることがある。
ラッキョウの実
花粉を媒介する虫の寄り付きが悪かったのかどうなのか、ほぼタネができない不稔(ふねん)であった。
#ラッキョウの実(すべてしいな) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/23
#ラッキョウの実(白色矢印、他はしいな) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/23
ラッキョウの球根
鱗茎なので、要は細身なタマネギのような感じのもの。これが食用になる。甘酢漬けや醤油漬けなどにするのが一般的ながら、生ラッキョウを肉と油(と味付けに塩コショウ)で炒めてもおいしい。但し、大量に食べると口臭がくさくなるばかりか、(食後二三日は外出が憚(はばか)られるレベルで)屁(おなら)が止まらなくなるので要注意。食用のものは五月くらいになるとスーパーマーケットの野菜売り場で見かけるようになるだろう。泥付きがパック詰めされて1kg1,000円弱くらい。独特の臭気があり、汁気は結構べたべたする。
市販の食用泥付き#ラッキョウ 2019/05/20
寺の山門外に、戒壇石(かいだんせき)と呼ばれる、「不許葷酒肉入山門」などと書かれた石柱が立っていることがある。「葷酒肉(くんしゅにく)、山門に入(い)るを許さず」。つまり、仏道修行の妨げとなる五葷(ごくん)、酒、肉を食らったものはこの寺の境内に入って来るな、という意味。五葷とは独特の香気を放つ五種類のネギの仲間のことで、具体的には経典によっていろいろ挙げられているようではあるが、ネギ(葱)、ニラ(韮)、ニンニク(蒜)、ラッキョウなどを指す。鎌倉では極楽寺(真言律宗)の境内に遺物として立っている。なお建長寺(臨済宗建長寺派、大本山)の和尚(おしょう)さん曰く、おならは坐禅や法要の最中であっても自然な生理現象であるとして許されるというから不思議な世界である。
#大巧寺(ハナラッキョウとして)
似ている野生ニラの花は、栗の果樹園がある道端で咲いているので、見かけます。
通勤途中の道ですが、この花が咲くと秋が来たと感じています。
ニラは種子ができるそうですが、ラッキョウも種子が採取できますか?