オウゴンバイ／オウバイ

黄金梅／黄梅　バラ目／バラ科／アンズ属　花期／2月下旬～3月初旬
学名／Armeniaca mume ‘Ougonbai’、Armeniaca mume ‘Oubai’

改良種稀少

#ウメ（’黄梅’、鎌倉市指定天然記念物）　鎌倉市・瑞泉寺　2023/02/26

園芸栽培される落葉小高木。ウメ（梅）の、’黄金梅（おうごんばい）’と呼ばれる風変わりな品種。名前の通り花が黄色っぽく、かつ小さいのが特徴。樹勢強からず、幹細い。枝を切ると弱るとか。

#ウメ（’黄金梅’）　小田原フラワーガーデン　2023/02/27

鎌倉市二階堂の瑞泉寺（ずいせんじ）に江戸時代からあるという’黄金梅’と思しきウメは、日本植物学の父と称される牧野富太郎博士によって’黄梅（おうばい）’と名付けられた。本堂前庭に七本植栽されているが、そのうち本堂右前（向かって左前）の古木一株は「オウバイ」として鎌倉市指定天然記念物。世にいうオウゴンバイとは別品種なのか別系統の同品種なのかなど定かでないが、見たところは大きな違いなし。
一般の観光客の目には”咲き終わって花びらが散ってもう黄ばみ始めちゃっている”状態に見えてしまうようで、”ちょっと来るのが遅かったね”などと残念がって素通りしかける人がたいへん多い。が、間近に迫ってまじまじと観察したなら、それできれいに咲いている満開の状態なのである。

#ウメ（’黄梅’、右側の濃い黄色は咲き終わりのロウバイ）　鎌倉市・瑞泉寺　2023/02/26

#ウメ（’黄梅’）　鎌倉市・瑞泉寺　2023/02/26

#ウメ（’黄梅’、鎌倉市指定天然記念物）　鎌倉市・瑞泉寺　2023/02/26

#ウメ（’黄梅’、鎌倉市指定天然記念物）の案内板　鎌倉市・瑞泉寺　2023/02/26

#ウメ（’黄梅’、鎌倉市指定天然記念物）　鎌倉市・瑞泉寺　2023/02/26

鎌倉で「黄梅」というと、円覚寺（えんがくじ）の塔頭（たっちゅう）黄梅院（おうばいいん）が頭に浮かぶ。黄梅院は、瑞泉寺の開山（かいさん、寺を創建するにあたって招かれ初代住職となった名僧）で国指定史跡「瑞泉寺庭園」を造り上げた夢窓疎石（むそうそせき、1275-1351）の塔所（たっしょ、供養するための庵、実際の墓所は京都嵐山の臨川寺）である。夢窓疎石の”黄色い梅”が何を表しているのかはわからない。黄色く熟した梅の実が悟りに喩（たと）えられたか、中国の禅の聖地である黄梅県（こうばい－）が関係しているのか、はたまたこの黄色い梅の花が好きだったのか。夢窓疎石の時代に既にこの品種があったかどうかは定かでない。春を迎えるたびに、そそり立つ岩の壁を見上げながら思案させられるものである。

オウゴンバイ／オウバイの花

花弁が退化（雄蕊化）して小さめなので、花もやや小さく見える。小輪（しょうりん）。やや淡い黄色で、咲き進むと色薄まる。小田原フラワーガーデンの樹名板には、花は白色で、葯や萼の色から黄色っぽく見えるのだ、といった趣旨の記述があるが誤りで、花弁もしっかり薄黄色をしている。開花したにも関わらず、花中心部の雄蕊はまだくるんと丸まった状態を保っているものが多い。辺りまで漂ってくるほどの強さはないが、良好に香る。