おことわり
本頁掲載のものの正体については、更なる検討を要します。
根引都草 マメ目/マメ科/ミヤコグサ属 花期/6月中旬~9月中旬
学名/Lotus pedunculatus Cav.
外来種駆除稀少
輪生するように咲くネビキミヤコグサ(七花) 藤沢市・引地川 2020/06/20
ヨーロッパを原産とする、水辺に近いところにある草地に好んで生えると思われる多年草。ミヤコグサの仲間の新手の外来帰化雑草。ネビキという名は、『神奈川県植物誌2018』に「地下走出枝が発達し、所々から芽を出して広がる」(句読点は改めた、※後述1)とあることに関係しているか。はじめ直立して生え、茎が長く伸びると倒れて匍匐(ほふく)するように変わると思われる(※後述2)。ただしネビキミヤコグサは他の雑草(例えば、咲き終わったオオキンケイギク(大金鶏菊)や、茎を伸ばしている途上のセイタカアワダチソウ(背高泡立草)など)と競合する草地に生えるため、ミヤコグサのように地べたに張り付くことにはこだわらず、他の雑草に負けじと積極的に上へ上へと立ち上がった姿となる。周囲の草が背高でネビキミヤコグサも良く成長できる環境であったなら、草丈は人の腰の高さを超えて80cm近くになることも。横への広がりは走出枝が担っているだろう。走出枝を伸ばした先々で発芽するようなので、草地に群生して広がってゆくのだろう(※後述1)。英名ビッグ・トリフォイル(Big trefoil、大きな三枚葉)。ミヤコグサより全体的な姿も葉も大きくなるからか。先にアメリカ合衆国に帰化したようで、神奈川県内へは相模原市中央区・相模総合補給廠(しょう=工場等の施設)や大和市/綾瀬市・厚木海軍飛行場(通称厚木基地)といった米軍施設から漏れ出てきているものと推察される。今のところはまだ湘南・鎌倉・三浦半島で見かける機会はほとんどないのでは。本頁記載の植物の写真および現地での実物を神奈川県立生命の星・地球博物館の大西亘学芸員にご覧いただいたところ、『神奈川県植物誌2018』がネビキミヤコグサとして掲載している植物と「同じと考えて差し支えないと思います」とのお話を頂いた。但しミヤコグサの仲間はたいへん紛らわしくその分類が確立できていないことから、正体(学名)については検討を要す。
直立して生える若いネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
草地に生えたネビキミヤコグサ(左側の突き出たネギ坊主群はオオキンケイギクの実) 藤沢市・引地川 2020/06/20
草地に生えたネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
草地に生えたネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
草地に生えたネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
草地に生えたネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
葉はミヤコグサとほぼ同様であるが、特に茎上部では”やや細い”と感じる葉が多い。花序直下に三出する総苞はミヤコグサより格段に細い。従って、葉だけに着目していると”葉が細い”ことが最大の特徴であるワタリミヤコグサ(渡都草)と混同する。
ネビキミヤコグサの葉 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの葉 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの葉 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの葉 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの葉 藤沢市・引地川 2020/06/20
茎は中空(ちゅうくう、中心部が空洞になっている)。他の近似種はいずれも中実(ちゅうじつ)とされるので、ネビキミヤコグサを特徴づける大きな要素である、はずなのだが、ミヤコグサの茎でさえ中空なものがなくもなかったり、ネビキミヤコグサの茎が中実であったりすることも実際のところはなくもないので、同定の決め手には意外と使えない。
※後述1)地下走出枝に関して
『神奈川県植物誌2018』は検索表においてネビキミヤコグサは「長い地下走出枝を持ち」としているものの、約一年間本種を実験的に栽培しているが、地下走出枝を伸ばしている気配は感じない(周辺から子株が一本たりとも生えてこない)。また数株を引き抜いてみたが、地下走出枝らしきものは確認できなかった。但し、神奈川県立生命の星・地球博物館の標本の一部には地下走出枝があるという。
※後述2)草姿に関して
発芽直後は直立、茎が長く伸びたところで倒れて地を這う。のち競合する他の植物がない場所で栽培してみたところ、横へ横へと這って広がり、強く立ち上がろうとする意志は見せなかった。草丈約20cmで、ややこんもりと茂った。
ややこんもりと横へ広がるように茂ったネビキミヤコグサ(1株) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/02
競合ない場所で生育した#ネビキミヤコグサ(1株、草丈20cm) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/05/02
ネビキミヤコグサの花
ミヤコグサ(ふつう二個)よりも、一つの花序に付く小花の数が格段に多いことにぱっと見で気づくだろう。一つの花序に小花はおよそ六個程度が輪生するように咲く。一個しか付いてなかったりするものもあるが、およそ五個から七個あるのがふつう。最多で十個を超えてくるらしいので、ミヤコグサの仲間にしてはかなり花数豊かである。セイヨウミヤコグサ(西洋都草)も花数は多めながら、全体的な姿は地面を這うミヤコグサ型でなければいけない。なお花はすべて黄色であること。一部の蕾が部分的に赤色を帯びることがないでもないが、咲いている花は基本的に(ごく希に現れる例外を除いて)全部明るい黄色である。一部の小花(の全体)が赤みを帯びているのがふつうにちらほら散見されるようならワタリミヤコグサ。
ネビキミヤコグサの蕾 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの蕾 藤沢市・引地川 2020/06/20
蕾の先端部が赤みを帯びるものはふつうにあれど、開花している花の一部が赤っぽいものは(基本的には”まず無い”ものと考えて良いくらい)かなり希有である。
ネビキミヤコグサの赤みを帯びた蕾と旗弁裏側(表は黄色) 藤沢市・引地川 2020/06/20
競合する雑草に負けじと立ち上がるネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサ(六花) 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサ(六花) 藤沢市・引地川 2020/06/20
輪生するように咲くネビキミヤコグサ(七花) 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサ(七花) 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
萼は有毛。萼片細く、萼片と萼筒はほぼ同長。萼片の先端がすこし開出するような話があるが、よくわからない。
ネビキミヤコグサの萼 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの萼 藤沢市・引地川 2020/06/20
花序柄(かじょへい)はミヤコグサより明らかに長い。細くて長くて、花は上を向こうとする性質があるため、花序柄はひょろっとへにょっとひん曲がってちょっとだらしない姿に見えてしまう。
ネビキミヤコグサ 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの長くてひん曲がる花序柄 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの長くてひん曲がる花序柄 藤沢市・引地川 2020/06/20
生育状況によっては茎もまたくねっと曲がると思われる。他の草(あるいは自分自身)をかいくぐって太陽光の当たる上へ上へと茎を伸ばしてゆくためだろう。
ネビキミヤコグサの実
ネビキミヤコグサの若い実 藤沢市・引地川 2020/06/20
ネビキミヤコグサの若い実 藤沢市・引地川 2020/06/20
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本帰化植物写真図鑑』 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編・著 全国農村教育協会発行(2001)
マメ科の花って可愛い
ミヤコグサ、セイヨウミヤコグサは花が咲いてれば まず目につく。
私は仕事やら何やらで 厚木と相模原市南部を毎日 いったりきたり
途中で車を停めて 草地を散策もしますが、、、
見た事ない感じ、、、。
ネビキミヤコグサも可愛いですね
厳密に分類するのが難しい感が ひしひし伝わります。
もし、セイヨウミヤコグサらしい花を見かけたら お知らせします。
相模原市で探すには
ざっくりで構いませんので どの辺りが有力かヒントありますか~?