椋の木 バラ目/アサ科/ムクノキ属 花期/4月下旬~5月上旬 結実期/10月
学名/Aphananthe aspera (Thunb.) Planch.
自生種
#ムクノキの初夏の葉 茅ヶ崎市今宿・小出川 2020/05/02
林内などに生える落葉高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。ケヤキ(欅)やエノキ(榎)と並んで身近なところにも生えている至ってふつうの雑木。ただ、公園等で独立して生えていて樹形が群を抜いて優れるケヤキや、低所にも葉や実を付けて人目に触れやすいエノキに比べると、各段に地味で目立たない存在ではあるかもしれない。葉はケヤキなどと紛らわしく、幹に際立った特徴なく、花や実が人目に触れるようなところにあまり付いていない。樹高20m程度の大きな木ともなれば、見上げたところで素人目にはこれが何者なのかさっぱり見当が付かない、といったムクノキも多い。従って、知名度は高く、意外と市街地にも生えていたりはするものの、一般の人には馴染みの薄い木かもしれない。神社境内でムクノキの巨木が保護されていることがある。
川沿いに植えられた#ムクノキ(白色矢印、他は主にエノキ) 茅ヶ崎市今宿・小出川 2020/05/15
葉は互生で、四月に生え出る。葉先は尾状(びじょう)に長く尖る。表裏ともにつるつるしておらず、かさかさ(がさがさ、ざらざら、と感じるかもしれない)した感触。しっかり成長した葉はざらざらとサメ肌のごとし。古くは木材をつるつるに仕上げる際に紙ヤスリとして使用されたそうな。春の若い葉は薄っぺらく、サクラ(桜)の葉と誤認しうるか。無論、樹形や幹(樹皮)の様子からサクラでないことは一目瞭然ではあるのだけれど。ケヤキは鋸歯の様子が異なる。
ムクノキの初夏の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
ムクノキの初夏の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
逆光では網状脈まで白くよく透けて見える、ムクノキの初夏の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
#ムクノキの初夏の葉 茅ヶ崎市・鶴嶺八幡社 2020/05/15
#ムクノキの夏の葉 茅ヶ崎市今宿 2020/07/16
#ムクノキの夏の葉 茅ヶ崎市今宿 2020/07/16
ムクノキの秋の葉 藤沢市・新林公園 2016/10/06
葉脈は整然と並んで多く、葉裏の支脈はくっきりよく浮き出ていて印象的。
#ムクノキの葉裏 茅ヶ崎市今宿・小出川 2020/05/14
ムクノキの花
若い(緑色をした)枝の基部に雄花が、先端側の葉腋(ようえき)に雌花が付く。
ムクノキの花の付き方 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
雄花は雄蕊が五本。雄蕊に隠れるように密かに花被片(かひへん)もあり。生育環境が良ければもしゃもしゃもしゃっと多数の雄花が付くはずである。
ムクノキの雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
ムクノキの雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
ムクノキの雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
雄花は咲き終わると黒ずんで落ちる。
ムクノキの散って地面に落ちた雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
雌花はかろうじて二裂した雌蕊が目に留まるのみ。毛が多くてもふもふ。
ムクノキの雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/02
ムクノキの実
実は緑色からほぼ黒の濃紺に熟し、しわっとしおれる。
ムクノキの若い実 藤沢市・新林公園 2018/08/07
ムクノキの実 藤沢市・新林公園 2016/10/06
ムクノキの実 藤沢市・新林公園 2016/10/06
ムクノキの実 藤沢市・新林公園 2016/10/06
丸いうちは瑞々しいがやや水っぽくて味薄く、しおれてくると餡子(あんこ)のようにねっとり熟成する。酸っぱさや苦みはないが、発酵した風味を伴う甘みは物足りない。旨さ七割引きの干しブドウ(葡萄)とでもいったところか。中のタネは大きめなので食べごたえはない。食べられるというだけでさほどおいしいものではない。
ムクノキの実 藤沢市・新林公園 2016/10/06
ムクドリ(椋鳥)はムクノキの実を好んで食べることから名が付いたとか。いずれにせよ、ムクノキの実は鳥の良き食料となる。そのため、消化されなかった種子が鳥の糞に混じって散布されるのだろう、民家の庭から勝手にムクノキが生えてくることもままある。
藤沢市・新林公園(休憩広場)、茅ヶ崎市芹沢(神奈川県企業庁水道局芹沢ポンプ場西側水路沿い、目線にあり、強剪定された)
鎌倉広町緑地(御所谷入口を入ってすぐ右手、花は高所)、高来神社(境内に大木多い)
大井町上大井・三嶋神社(かながわの名木100選「上大井の三嶋神社のムクノキ」)
今度、田中田士英作俳句の、椋のみを噛んだどの子も唇黒し、を詩吟で吟じるものですから椋のみがどんなみなのかしらべさせていただきました、とてもさんこうになりました。みじかなところにもありそうなのできをつけてあるきたいとおもいました。