クコ

枸杞 ナス目/ナス科/クコ属 花期/7月~10月 結実期/10月~11月
学名/Lycium chinense Mill

食用薬用自生種

花が多く咲いているクコ 三浦市・毘沙門海岸 2016/09/17

花が多く咲いているクコ 三浦市・毘沙門海岸 2016/09/17

中国原産ともいわれる落葉低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。藪の中から細い一本の幹をぴょーんと伸ばして生えてくる。海浜植物ではないが、湘南・鎌倉・三浦半島では特に海辺の地域で見かけることが多い。空気も湿潤な水辺近くがお好みなのかもしれない。

クコの大群落 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

クコの大群落 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

クコ 平塚市・八幡子供球場 2018/07/26

クコ 平塚市・八幡子供球場 2018/07/26

藪をよじ登って上部に突き出るためだろう、幹や枝に棘(とげ)ができることがある。葉が何らかの事情で落ちたあとに残った葉柄(ようへい)が棘のように見えているものと思われる。

クコの幹にある棘 平塚市・八幡子供球場 2018/07/26

クコの幹にある棘 平塚市・八幡子供球場 2018/07/26

クコの葉 横須賀市西浦賀・燈明堂海岸 2017/08/07

クコの葉 横須賀市西浦賀・燈明堂海岸 2017/08/07

クコの下部の大きな葉 平塚市・馬入水辺の楽校 2018/10/28

クコの下部の大きな葉 平塚市・馬入水辺の楽校 2018/10/28

クコの葉は汚く見苦しいものがじつに多い。犯人は、初夏に現れるトホシクビボソハムシ(十星首細葉虫)という小さな甲虫(こうちゅう)の幼虫で、多数の食痕(しょっこん、虫食い穴)を作ってしまう。葉裏に潜んでいる幼虫も粘液と糞にまみれた気色の悪い地球外生物みたい(身にまとった異物を除去してみれば正体はカブトムシ(甲虫)の幼虫のような姿)。これに加えて、葉には虫癭(ちゅうえい、虫こぶ)も多数できる。クコフシダニ(枸杞節壁蝨)という小さなダニが棲み付いてしまったことによるイボ状の変形らしい。クコの葉はこの両者にダブルで襲われるため(どちらも一匹二匹ではなく集団で襲来する)、たいへん汚らしく気持ちが悪いものとなることが多い。

虫食いと虫こぶで見苦しいクコの葉 茅ヶ崎市西久保 2019/06/05

虫食いと虫こぶで見苦しいクコの葉 茅ヶ崎市西久保 2019/06/05

虫食いと虫こぶで見苦しいクコの葉 茅ヶ崎市西久保 2019/06/05

虫食いと虫こぶで見苦しいクコの葉 茅ヶ崎市西久保 2019/06/05

クコの葉を食害するトホシクビボソハムシの幼虫 茅ヶ崎市西久保 2019/06/05

クコの葉を食害するトホシクビボソハムシの幼虫 茅ヶ崎市西久保 2019/06/05

虫こぶまみれのクコ 藤沢市・江の島 2019/07/25

虫こぶまみれのクコ 藤沢市・江の島 2019/07/25

クコの花

はじめ紫色(濃い紫色、個体差あり)で、のち白っぽく色落ちする。ナス科なので一斉には満開せずぽつりぽつりと順次咲いてゆく。

クコ 三浦市・城ヶ島 2017/08/07

クコ 三浦市・城ヶ島 2017/08/07

クコ 横須賀市西浦賀・燈明堂海岸 2017/08/07

クコ 横須賀市西浦賀・燈明堂海岸 2017/08/07

クコの実

赤い実がなる。味は同じナス科のトマトのようで、甘い果物のつもりで食べるとまずい。乾燥させてドライフルーツにしたクコの実は杏仁豆腐にちょこんと一つ乗っているアレなので、多くの人が目にした記憶はあるだろう。ミックスナッツにもよく入っている。クコの実はゴジベリーとも呼ばれ、健康食品ないし薬膳としても注目を浴びているようだ。自然界では鳥に人気が高いのか、熟した実は早々と売り切れてなくなる。

クコの実 茅ヶ崎市萩園 2019/08/27

#クコの実 茅ヶ崎市萩園 2019/08/27

自分でクコの実を取って来て乾燥させて‥と企む人が出てくるだろうが、液果(えきか)なので汁気が多くやすやすとは乾いてはくれない。そうこうしているうちに傷んで変色し、カビも生えてしまって途中で挫折、となることが予想される。干し柿さえ作ることができない温暖で蒸れ蒸れな神奈川県南部ではドライフード作りは適さない。

クコの実 茅ヶ崎市萩園 2019/08/27

#クコの実 茅ヶ崎市萩園 2019/08/27

ミニトマトっぽく見える赤い実はヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)を筆頭に有毒なものが多いので、野良で見かけても軽々しく口にしてはいけない。


観音崎公園(展望園地)、剱崎、毘沙門海岸