キキョウ

桔梗 キク目/キキョウ科/キキョウ属 花期/6月~11月上旬 結実期/10月~11月
学名/Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.

改良種

環境省レッドリスト「絶滅危惧II類(VU)」
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」

キキョウ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

#キキョウ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

今にあっては、園芸栽培される多年草(宿根草)。草丈が低い矮性(わいせい)のものなど、多彩な園芸品種が流通している。”秋の七草”の一つに数えられる。元は、日当たりの良い山野に生える野草。野生のものは全国的に絶滅の危機に瀕しているが、神奈川県内では相模湖の方面にごくわずかながら自生地が残っているらしい。かつては湘南・鎌倉・三浦半島にも生えていたようで、古い標本が残されている。高度経済成長(-1973)を過ぎて以降は未発見なので、もうあるまい。花は早ければ梅雨入り(6月上旬ないし中旬)の頃から咲き始めるので、ホームセンターの園芸コーナーにポット苗が並ぶのもその頃から。茎は直立してひょろっと背高に、草丈1m程度まで伸びるのが基本。そういったものは地際でばたばた倒れやすい難点があるので、数年かけて茎が太くなる大株に育てた上で深植えするとよい。矮性品種はコンパクトでかわいらしいが、キキョウらしい姿ではなし。また購入時には草丈が矮化剤を使って抑制されていた可能性があるので、翌年以降も20cm程度の高さに収まるかどうかはわからない。栽培自体は簡単なので、直射日光が当たる場所に植えておけばよく育ちよく咲いてくれるだろう。

キキョウ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

#キキョウ 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

花壇で栽培されるキキョウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

花壇で栽培される#キキョウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

花壇で栽培される白花のキキョウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

花壇で栽培される白花の#キキョウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

矮性キキョウ(3株すべて)の黄葉と紅葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/29

矮性#キキョウ(3株すべて)の黄葉と紅葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/29

鎌倉市の佐助稲荷神社裏(西側)、梶原地区と常盤(ときわ)地区にまたがって桔梗山(ききょうやま)なる小山あり。もしかしたらかつてキキョウが自生していたのかもしれない。

キキョウの花

花冠は五裂。花色はふつう青紫色。白や薄ピンク色などの園芸品種もある。秋の花という印象が強いかもしれないが、夏本番の前から開花する。花は雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)。花冠が開いて間もないうちは、雌蕊を雄蕊が囲って一体化している状態。雄蕊が熟して雄性期を迎えると花粉を放出し(面白いことに雌蕊に花粉を付着させ)て、用を終えると雄蕊は倒れて開く。雌蕊に付いていた己の花粉は虫が持って行ったり風雨で落ちたりして売り切れる。そうなった頃に今度は雌蕊の先端にある柱頭(ちゅうとう)が五裂して雌性期(しせいき)に入り、他の株からもたらされた花粉を受粉する、という(自家受粉(じか-)を避ける)仕組み。花は咲き終わって茶色くしおれても落ちずに残って見苦しいため、(種子を採取するつもりでないなら)花殻(はながら)は鋏(はさみ)で切除して取り除く。

キキョウの蕾 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

#キキョウの蕾 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

キキョウの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 20220/08/20

#キキョウの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 20220/08/20

キキョウの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 20220/08/20

#キキョウの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 20220/08/20

キキョウの白花 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

#キキョウの白花 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

キキョウの白花 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

#キキョウの白花 鎌倉市・海蔵寺 2017/07/11

キキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/08/27

#キキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/08/27

キキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/08/27

#キキョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/08/27

キキョウの雄蕊が雌蕊を囲って花粉を付着させている段階 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/11/03

#キキョウの雄蕊が雌蕊を囲って花粉を付着させている段階 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/11/03

キキョウの白花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

#キキョウの白花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

キキョウの白花 茅ヶ崎市浜之郷 2022/08/03

#キキョウの白花 茅ヶ崎市浜之郷 2022/08/03

キキョウの薄ピンク花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/10/06

#キキョウの薄ピンク花 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/10/06

キキョウの付着していた花粉がなくなってそろそろ開くだろう雌蕊 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

#キキョウの付着していた花粉がなくなってそろそろ開くだろう雌蕊 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

キキョウの花柱が五裂した雌性期 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/10/06

#キキョウの花柱が五裂した雌性期 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/10/06

キキョウの白花の萼 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

#キキョウの白花の萼 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/07/17

キキョウの萼 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

#キキョウの萼 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

花はウリハムシ(瓜葉虫)およびクロウリハムシ(黒瓜葉虫)の食害を受けやすいので注意が必要。すぐ近くの畑でカボチャ(南瓜)などのウリ科の植物が栽培(という名の放置)されていたりすると、キキョウもウリハムシ団から襲撃されやすく、花は齧(かじ)られ放題に。薬害が出ない程度に極力こまめに薬漬けにして入念な防除をした方がよい。アザミウマ類(スリップス)予防にもなる。

キキョウの花を食い荒らすクロウリハムシ団 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/09/11

#キキョウの花を食い荒らすクロウリハムシ団 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/09/11

リンドウ(竜胆)の花と混同せぬよう。トルコギキョウは(トルコではなく)北米原産の園芸植物で、キキョウっぽい花を咲かせる(キキョウではなく)リンドウの仲間。

キキョウの実

キキョウの未熟な実 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/11/03

#キキョウの未熟な実 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/11/03

キキョウの熟して裂開した実 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/11/03

#キキョウの熟して裂開した実 鎌倉市・大船フラワーセンター 2020/11/03


#海蔵寺

#瑞泉寺、#長谷寺、#大船フラワーセンター(花壇に大量、ウリハムシ多く花殻もこまめに摘まれないので開花初期に)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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