雉筵 バラ目/バラ科/キジムシロ属 花期/3月~6月上旬(、7月下旬~8月)
学名/Potentilla fragarioides L.
自生種稀少保護
キジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
主に丘陵地や山地の、日当たりの良い、土手や堤などの少しばかり乾燥気味な草地に生える、常緑の多年草。背丈の高い他の草が茂ってくると埋もれてしまうので、低草地を好む。名前は、鳥のキジ(雉)が座るときに敷いた筵(ござのようなもの)に見立てられたものらしいが、ちょっと何を言っているのかよくわからない。昔は大きく育ったキジムシロの株が地面を覆わんばかりに繁茂していたのだろうか。『神奈川県植物誌2018』によれば”県内では丘陵~山地にかけて普通”とのことだが、湘南・鎌倉・三浦半島では滅多に見かけるものでなし。花が雑草のヘビイチゴ(蛇苺)と同じなせいか、栽培されることまずなし。
春のキジムシロ 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
キジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
土手に生えたキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
土手に生えたキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
土手に生えたキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
土手に生えたキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
林縁の斜面に生えたキジムシロ 平塚市土屋 2024/03/28
キジムシロ 厚木市・神奈川県立自然環境保全センター 2018/03/25
#キジムシロ 箱根湿生花園 2017/04/10
筵状に見えないでもないキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2018/03/28
#キジムシロ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/03/30
土手にちょこんと生えたキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
花盛りなキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
土手に生えたキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
明るい日陰に生えたキジムシロ 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
葉は根生葉(こんせいよう)が主で、ロゼット状に広がる。あまり背高には起き上がらず、基本的には地べた張り付き型。もこもこ立ち上がっても草丈20cm程度。他のヘビイチゴの仲間との大きな違いは、奇数羽状複葉であること。小葉は七枚程度。小葉が、先端の三枚が大きく、合計五枚から九枚あれば、キジムシロ。ぱっと見では目立つ小葉三枚しかないように見えることもしばしばあるので、しっかり間近で側小葉の有無を確認すること。春の若葉は小葉三枚のみということもあるのでミツバツチグリ(三葉土栗)っぽく見えてしまうことも(株全体を確認すれば必ず小葉五枚以上の葉がある)。なお夏に入ると異様に大きな葉を付けることがある。基本小葉三枚ながら、どうも小さなもう一対の葉がある、といったものはキジムシロとミツバツチグリの雑種と推定されているオオミツバツチグリ(大三葉土栗)である疑い。茎が立ち上がる前のキンミズヒキ(金水引)と誤認しないよう。
キジムシロの葉 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
キジムシロの葉 平塚市土屋 2024/03/28
キジムシロの葉 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
キジムシロの葉 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロの葉 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
キジムシロの葉裏 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
キジムシロの葉(なぜか側小葉がずれている) 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロの葉(なぜか側小葉がずれている) 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
茎、葉柄(ようへい)、萼などには、長めの毛が多く生えている。
キジムシロの茎と萼に多く生えた毛 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロの茎 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロの茎 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
地表を這うランナー(走出枝、ストロン・匍匐茎 ※当サイトでは両者を厳格には区別せずランナーと呼ぶ)があれば、ツルキジムシロ(蔓雉筵)。神奈川県内では箱根などの山地にのみ僅かに分布あり。神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」。
他にキジムシロの名を持つものとして、ヨーロッパ原産の帰化植物ハイキジムシロ(這雉筵)=掌状五枚葉で花弁は四枚のものが目立つ、同じくヨーロッパ原産の帰化植物オキジムシロ(雄雉筵)=直立型で花弁と花弁の間がすかすかに空く、中国・朝鮮半島原産の帰化植物コバナキジムシロ(小花雉筵)=花弁が極小、の三種も湘南・鎌倉・三浦半島で出くわす可能性あり。
キジムシロの花
地面を這うように(ときに斜上して)びよーんと長く茎(葉は付く、根は出ない)を伸ばし、その先に花弁五枚のヘビイチゴ形をした明るい黄色の花を咲かせる。異様に徒長したようにも感じる長い茎は、土手などの傾斜地に生えて花を(競合する他の雑草から)突き出すのに適しているのかもしれない。花径は1.5cm程度。似たような姿となるミツバツチグリは小葉三枚、オヘビイチゴ(雄蛇苺)は湿った場所に好んで生えて小葉は掌状五枚。曇天日など暗いと花は閉じる。
キジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
土手から花を突き出したキジムシロ 秦野市・弘法山 2017/04/06
キジムシロの茎 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
キジムシロの茎 茅ケ崎里山公園 2018/03/28
キジムシロの立ち上がった茎 平塚市土屋 2024/03/28
キジムシロ 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
キジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロ 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロ 秦野市・弘法山 2017/04/06
なぜか花弁間がすかすかなキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
なぜか花弁間がすかすかなキジムシロ 茅ケ崎里山公園 2019/04/03
キジムシロの萼 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
キジムシロの(花後の)萼 秦野市・葛葉緑地 2022/03/13
キジムシロの花後 茅ケ崎里山公園 2021/03/19
極々希に八重咲きする個体も。
横浜市戸塚区・舞岡公園、横浜市栄区・横浜自然観察の森
茅ケ崎里山公園(一寸峠(ひとあしとうげ)東向かいのさかみち土手、ミツバツチグリとの雑種である疑い)、吾妻山公園(シバザクラ園西方)
藤沢市・伊勢山公園
厚木市・自然環境保全センター、秦野市・葛葉緑地(くずはのつり橋東側)、秦野市・弘法山、#箱根湿生花園
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
キジムシロ、、、君もか?
私は見た事が有るかもしれないよ
蛇イチゴだと思って丁寧に観察したことが無いのが惜しい。
mirusiruさんのお陰で草花の見方が丁寧になりました!
ミミナグサを探したり、カントウタンポポと西洋タンポポの見分けに悩んだり
楽しいですね、mirusiruさん ありがとう。
キジムシロの画像で最近のもありますね
暖かくなるにつれ次々と芽吹き花が咲きます。
季節ごとに取材を重ね編集する作業はご尊敬申し上げます
大半の大衆が知る前に足元の草花の種類が減ったり無くなったり。
心がザワザワします、、