雉 鳥類/キジ目/キジ科/キジ属 見頃/4月~6月
学名/Phasianus versicolor Vieillot, 1825
食用在来種
鳥獣保護管理法「狩猟鳥獣」
キジの雄 寒川町田端 2020/04/14
甲高く”ケーン、ケーン”と大声で鳴くといわれる(実際はニワトリの鳴き声から頭の”コ”を抜いたような”ケーッ”という絶叫、水辺から聞こえてきたら声の主はカモ(鴨)かも)。日中は開けた草原や畑、水抜きされた田んぼなどでてくてく歩きながら餌をついばみ、夜は樹上で寝る。日本の国鳥。
キジの雄 寒川町田端 2020/04/14
繁殖シーズンに顔を赤らめた雄が縄張りを主張するためによく鳴くことで知られるが、「雉も鳴かずば撃たれまい」(口は災いのもと)の諺(ことわざ)の通り、普段は地面と保護色になっている羽根のためなかなか見つけられるものでない。鮮やかでド派手な柄(がら)のこの羽根のどこが保護色なんだと思われるかもしれないが、草木に紛れると意外と上手く”消える”。雌の羽根はウズラ(鶉)のように地味な茶色だが、こうなってしまうともう目の前にいても気づかないだろう。
農地で餌を探しているキジの雄(白色矢印) 寒川町田端 2020/04/14
キジは雑食性で、畑に立ち入っては野菜の芽をついばんでしまうため農家からは嫌われている。とはいえ、鳥獣保護法などの関係で、残念ながら勝手に捕獲し食らうわけには参らない。駆除もできない。
農地で餌を探すキジの雄 寒川町田端 2020/04/14
肉が美味。トリ(鳥)といえば今ではニワトリを思い浮かべる人が多いだろうが、昔はキジのこと指したそうだ。なおキジ丼、キジ焼きなどにいうキジはニワトリ肉であることも多いので騙されてはいけない。ややこしい。
キジは、猟友会が狩猟鳥獣の確保を目的として放鳥を行っており、神奈川県内でも毎年600羽程度が野に放たれているという。そのためか、大型の鳥でありながら湘南・鎌倉・三浦半島でも希に見かけることができるだろう。意外と数はいて、タヌキ(狸)よりも遭遇する機会は多いくらい。またキジの仲間で中国原産のコジュケイ(小綬鶏)も狩猟用に放鳥されれ、神奈川県内に広く定着している。
キジの雄 箱根湿生花園 2017/04/10
キジの雄 箱根湿生花園 2017/04/10
横浜市泉区・戸塚区・境川遊水地公園
横須賀市・太田和つつじの丘、葉山町・峯山(長者ヶ崎背後の山々)、鎌倉市・関谷耕作地、藤沢市・立石周辺境川沿い田畑、寒川町田端
箱根湿生花園
最近の知見(学術的には「非公認」)ですが、
「キジ雄の成鳥」は、
8月末頃に「完全換羽」するようで、
「尾」が付け根から完全に脱落している(喩えるならば、牡鹿の角の抜け落ち)個体が確認されています。
雄鶏の異変!? 8月~9月はキジの換羽期 | ゆうのつぶやき
https://www.kaiundou.biz/yasukonotsubuyaki/?p=758
再び、立派な尾になるのは翌春の繁殖期前(3月前後)頃のようです。
雄キジが換羽で「尾が脱落する」ことは知られていません。
「尾が無い」奇妙な雄キジを度々と認めたので、
「日本野鳥の会」に問い合わせをし、
『雄化したメスかも知れない。その画像が欲しい』と返答されていました。
その観察事例:
2021-08-25、
居住地に隣接する斜面に、尾が存在しない雄キジ(ニホンキジグループ)を認めた。
容姿は「雄キジの成鳥」そのもので、体つきも大きくて立派だが、尾が(ウズラ的に)完全に欠けている。
驚いたことに、飛翔することができ、彼方の田畑の方に向かって飛び立っていったが、飛翔時でさえ「尾」がなく、非常に奇異な形態だった。
その日以降も、度々と目撃した。
「雉」のその後(観察記録からの抜粋:時系列)
2021-12-15:
窓外の眼前に「尾が短い」雄キジ1羽が飛来した。
容姿は「雄キジ」で、体つきも大きくて立派ですが、尾の長さが「コジュケイ」程度の短小さ。
やがて、杉木立に向かって歩み、木立内に消えて行った。
飛来時には「尾がない」と見紛う大型の鳥が舞い降りてきたので、何が飛来したのかと戸惑ったほど。
2022-03-09:
朝(曇天:外気温 +2℃)、近隣に生息しているキジが、散発的に「母衣打ち」を始めた!:初聞きなし。
2022-03-11:
朝(外気温 +4℃)、あちらこちらからキジの母衣打ちが聞こえる。
2022-04-11:
朝(外気温11℃)、窓外の至近(5m程)から見目麗しい立派な雄キジが「ドドドドドド」と母衣打ちを繰り返し始めた。
2022-05-23:
正午、キジの母衣打ちが近くから轟き、15:30(外気温21℃)まで断続的に続いた。窓外に仁王立ちの雄を認めたが、終ぞ雌は現れなかった。
2022-07-02:
斜面の草地に、キジのファミリーが出現。キジの幼鳥(5羽)を目撃するのは初体験で(カルガモの成鳥並みの大きさだったので戸惑ったが)、しんがりの雌親によってキジと同定。同地ではシジュウカラの巣がアオダイショウの襲撃で受難したが、キジは無難な様だ。
2022-07-09:
間近で、雄キジが母衣打ちを繰り返した。幼鳥がずいぶんと大きく成長していたので、再度の発情期なのだろうか。