木五倍子 クロッソソマ目/キブシ科/キブシ属 花期/3月中旬~4月上旬
学名/Stachyurus praecox Siebold & Zucc. var. praecox
自生種
キブシ 藤沢市・江の島龍野ヶ岡自然の森 2019/03/15
主に林縁部に生える落葉低木ないし小高木で、雌雄異株(しゆういしゅ)または雌雄同株。名はキフジ(木藤)とも。春に痩せたブドウ(葡萄)の実のような形状をした花を垂らすため、”あの奇妙なものは何だ”と訝(いぶか)しく思う人があるだろう。湘南・鎌倉・三浦半島で、林がある丘陵地で普通種。直射日光の当たりづらい明るい日影を好むか。鎌倉の谷戸(やと)にもよく生えているため、寺境内などで観光客の目にも触れているはずである。
キブシ 横須賀市西浦賀・燈明崎道 2017/03/17
キブシ 横須賀市・貝山緑地 2017/03/22
キブシ 鎌倉市・円覚寺 2017/03/25
キブシ 藤沢市・新林公園 2017/03/23
展葉(てんよう)はふつう花が咲き終わってから。
キブシの葉 三浦市南下浦町(みなみしたうらまち)菊名 2024/04/02
キブシの葉 藤沢市・新林公園 2017/05/15
キブシの葉裏 藤沢市・新林公園 2017/05/15
葉が厚め大きめな変種をエノシマキブシ(江ノ島木五倍子)という。伊豆諸島に分布がある変種ハチジョウキブシ(八丈木五倍子)とキブシの中間型で、神奈川県内では主に江の島から三浦半島にかけての沿岸部に分布がみられる。内陸部のキブシに比べると花序がやたら長いことなどの異質さを見出せるものあり。花序に付く小苞も姿がやや異なる。なお丹沢や箱根といった山地には変種コバノキブシ(小葉の五倍子)なるものもあり。名前の通り葉がちっちゃい。※花後の葉の形状なども観察しないと判別できないため、本項ではいずれもキブシとして扱う。
名前が紛らわしいコブシ(辛夷)はまったくの別種で、ハクモクレン(白木蓮)の仲間。
キブシの花
総状花序と呼ばれる形状。雄花、雌花、両性花がある模様。一般的に見かけるのは両性花。
キブシの両性花 三浦市南下浦町菊名 2024/04/02
キブシの両性花 三浦市南下浦町菊名 2024/04/02
キブシの両性花 横須賀市・観音崎公園 2018/03/11
キブシの両性花 藤沢市・江の島龍野ヶ岡自然の森 2019/03/15
キブシの両性花 藤沢市・江の島龍野ヶ岡自然の森 2019/03/15
キブシ 藤沢市・新林公園 2017/03/23
キブシの両性花 藤沢市・新林公園 2017/03/23
キブシの咲き終わって枯れた雄花 藤沢市・新林公園 2017/05/15
キブシの実
キブシの若い実 横浜市金沢区・金沢自然公園外 2017/04/28
キブシの膨らみかけの未熟な実 藤沢市・新林公園 2017/05/15
キブシの未熟な実 葉山町・南郷上ノ山公園 2017/06/03
キブシの未熟な実 葉山町・南郷上ノ山公園 2017/06/03
観音崎公園、円覚寺、江の島龍野ヶ岡自然の森(人工林)
新林公園
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)