烏柄杓 オモダカ目/サトイモ科/ハンゲ属 花期/4月下旬~9月 収穫期/8月
学名/Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb.
有毒薬用自生種
#カラスビシャク 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/28
カラスビャクシではなくカラスビシャク。日当たりが良い畑などに生える多年草で、テンナンショウ(天南星)の仲間。道端や草地にも出るようだが、比較的人目に触れやすいのは畑のもの。畑を囲う雑草地にではなく、ふかふかに耕した畝(うね)で作物に紛れて生えてくる。従って、畑をやっている人からは目の敵(かたき)にされやすいしつっこい嫌われ雑草という扱い。畑をやっていない人からしたら、視覚的に他の雑草に紛れやすいこともあってあんまりお目にかかれない意外と希少な植物なのだけれど。観察は、頻繁に人の手が入らない休ませている(放ったらかしの)畑がお薦め。温暖な間は次々と珍妙な花を突き立てるので茶亭の近くなどで栽培してみても味があって面白いとは思うが、しつっこく生え出てくる迷惑雑草にもなるため地植えするなら覚悟が必要。別名スズメノヒシャク(雀の柄杓)、シャクシソウ(杓子草)。
カラスビシャク 鎌倉市・浄妙寺 2018/04/22
カラスビシャク 鎌倉市・建長寺・仏殿前庭 2024/05/04
カラスビシャク 二宮町・一色小学校 2024/04/28
カラスビシャク 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/07/12
畑に生え出たカラスビシャク 鎌倉中央公園 2017/05/20
畑に生え出たカラスビシャク 鎌倉中央公園 2017/05/20
ほぼ同時期に、似たような姿のオオハンゲ(大半夏)も咲く。主な違いは、生育場所と、葉の形状。カラスビシャクの葉は小葉三枚に完全に分かれるのが特徴。ただし、生えてきたばかりの葉と成長した葉では様子がかなり異なるので注意したい。
#カラスビシャクの最も幼い心形(ハート形)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/24
カラスビシャクの幼い葉 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20
カラスビシャクの若い葉 鎌倉市・東慶寺 2017/05/21
カラスビシャクのやや若い葉 鎌倉中央公園 2017/05/20
カラスビシャクのわずかに若い葉 鎌倉中央公園 2017/05/20
カラスビシャクの大きく成長した葉 鎌倉中央公園 2017/05/20
葉柄(ようへい)の下方、地面すれすれのところにムカゴを作る。ときに葉柄上部、つまり小葉三枚の集合地点にムカゴを作るものも。ムカゴはぽろりと脱落せず、葉が黄色く枯れてよれよれに腐ると葉ごと地面に接地してじきに発芽に至る。結局分離しなかった葉は腐って消滅。芽が出るのは来春になるのを待って、などではなく、下手をすれば数日後。カラスビシャクがしつっこい迷惑雑草たりえるはこうした増殖力の強さも関係しているだろう。なおオオハンゲはムカゴを作らない。
カラスビシャクの葉柄下方にできたムカゴ(白色矢印) 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/07/12
カラスビシャクの葉柄下方にできたムカゴ 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/07/12
カラスビシャクの葉柄上方にできたムカゴ 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/07/12
#カラスビシャクの葉柄の下部ないし上部にできたムカゴ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/24
#カラスビシャクの葉柄の両端にできたムカゴ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/12
カラスビシャクの枯れた葉と熟したムカゴ 茅ヶ崎市東海岸南 2019/07/12
カラスビシャクは一度栽培すると後々面倒なことになるので注意が必要。小さなムカゴは土中に密かにまみれており、その土を再利用するとカラスビシャクが生えてくる。気づくと、庭の植えたはずのない場所から、あちらこちらから、あれここにも、あららこんなところにも、カラスビシャクが抜いて抜いてもしつっこく発生し続ける羽目に。
カラスビシャクの植え付け約一週間で発芽したムカゴ(を掘り返してみたもの) 茅ヶ崎市東海岸南産 2019/07/19
翌年の春を待って、ではなく当年のうちに大きく成長し花を咲かせて来る模様。
カラスビシャクの二期作目の蕾 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/09/01
塊茎(かいけい、地下にできる芋)は生薬の半夏(はんげ)になる。カラスビシャクそのものをハンゲと呼ぶことも。半夏とは文字通り”夏の半ば(なかば)”、夏のど真ん中のこと。ちょうどこの頃に旺盛に茂っていたはずのカラスビシャクがにわかに地上部を枯らして塊茎だけになるため、塊茎を掘り起こして収穫するのにちょうど良い時期なのである。季節感を表す七十二候(しちじゅうにこう)で旧暦7月2日(現代の新暦で8月)の頃を「半夏生(はんげしょう)」という雑節に定めてあるのは、このカラスビシャクの塊茎に因む。”半夏が生み出される頃(収穫できる頃)”の意なのか、”半夏から芽が生え始めちゃう頃(なのでその前に収穫しなさいよ、の意)”なのかは、何とも判断しがたいところであるが。なおドクダミ科のハンゲショウ(半化粧)という植物は(ちょうど同じ時期に)葉を半分白色に染めることに由来。
#カラスビシャクのの塊茎(半夏、左上は薄皮を剥いたもの) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06
カラスビシャクの花
小型で緑色をしているため、雑草などと保護色になってしまって、目が慣れるまでは探してもなかなか見つけられないかもしれない。ササ(笹)の若葉やら何やら、カラスビシャクっぽい紛らわしい植物はいくらでもある。テンナンショウの仲間なので、花は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる形態。仏炎苞が黒っぽい紫色を帯びるものはムラサキハンゲ(紫半夏)と呼び分けることも。
カラスビシャク 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/07/12
#カラシビシャクの仏炎苞の中身 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/28
釣り糸はウラシマソウ(浦島草)のようには垂れず、上に向かって立つ。
#カラスビシャク 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/28
カラスビシャク 鎌倉中央公園 2017/05/20
カラスビシャクの実
カラスビシャクの若い実 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/07/12
東京都小平市・#東京都薬用植物園、横浜市戸塚区・舞岡公園、横浜市戸塚区・#俣野園(鉢植え)
衣笠山公園、横須賀しょうぶ園、子安の里、光則寺(門前など)、東慶寺、鎌倉中央公園、大船フラワーセンター、茅ヶ崎市芹沢・茅ヶ崎斎場、氷室椿庭園、大磯城山公園、大磯運動公園、二宮町・一色小学校
建長寺(仏殿前庭)、建長寺回春院(山門下石段脇)
>しつっこく生え出てくる迷惑雑草にもなるため地植えするなら覚悟が必要。
>小さなムカゴは土中に密かにまみれており、その土を再利用するとカラスビシャクが生えてくる。気づくと、庭の植えたはずのない場所から、あちらこちらから、あれここにも、あららこんなところにも、カラスビシャクが抜いて抜いてもしつっこく発生し続ける羽目に。
う~ん。
これまた、最近、生えだしています。
今でも、
ヤマノイモ科
https://mirusiru.jp/nature/flower/onidokoro#comment-910
と、オオハンゲに悩まされているのに…
https://mirusiru.jp/nature/flower/oohange#comment-912
もう手遅れなのかもしれない。
芝庭だったのだが…
元凶は「オオデマリ」なのだが、
https://mirusiru.jp/nature/flower/oodemari#comment-865
人智の及ばぬ自然の摂理(生態系と生物多様性)なのだろう。