螻蛄 昆虫/バッタ目/ケラ科/ケラ属 成虫期/4月~10月
学名/Gryllotalpa orientalis Burmeister, 1839
自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
オケラ 鎌倉市・浄智寺 2021/08/31
通称オケラ、正式名はケラ。植物にコウヤボウキ(高野箒)に近縁のオケラ(朮)があるが、これはまったくの無関係。昆虫のオケラは、主に湿った田んぼ周辺の土の中でまるでモグラ(土竜)のように穴を掘って生活しているコオロギ(蟋蟀)の仲間。従って、普段目にする機会はない。また、高度経済成長期における強力な農薬の使用、イネ(稲)を栽培していない間の乾田化の徹底、近年は田んぼそのものの大幅な減少、何でも食べてしまうウシガエル(牛蛙)の帰化も影響しているかもしれない、オケラは生息数および生息域を確実に激減させているものと考えられる。いかんせん土中にいるため、実態はよくわからない。
オケラ(体長(=鼻先~尻先、突起物を除く)29mm) 横浜市戸塚区 2018/06/26
オケラ 横浜市戸塚区 2018/06/26
オケラ 横浜市戸塚区 2018/06/26
普段は土中に隠れているが、田植えの際に掘り起こされてしまったのか、餌探しなのか、交尾相手を探しているのかよくわからないが、地上を歩き回っていることがある。小走りでちょこまかちょこまかと休まず歩き回りよく逃げる。逃げている最中に柔らかい土を見つければあっという間に土中に潜ってしまうかもしれない。しっかり翅(はね)が整った成虫であれば意外にも飛べるという。夜間は灯火に飛んでくるのだとか。田んぼ周辺に暮らしているためか水によく浮き、泳ぐことだって可能。水陸両用どころか、地下も空もいけちゃう万能生物。
バケツに張った水面を泳ぐオケラ 横浜市戸塚区 2018/06/27
背面から水に落ちると起き上がれないオケラ 横浜市戸塚区 2018/06/27
前脚が奇妙な形をしているのは爪が発達したモグラの前脚と同じで、トンネル掘削専用機だから。オケラは咬(か)むことはないそうだが、オケラを捕まえるとこの硬い穴掘りマシーンで人の手をかき分けかき分け這い出ようと頑張るのだが、これが結構痛い。よく見れば肘(ひじ)の部分などに鋭利な棘(とげ)が付いているが、これが刺さると軽く咬まれたかのように痛い。
オケラ 横浜市戸塚区 2018/06/26
オケラの持ち方 横浜市戸塚区 2018/06/27
雑食。餌は野菜や根菜など植物性のもの、ミミズや煮干しなど動物性のものを併せて与える。ダイソーなどの百均で売られているキンギョ(金魚)の餌といった配合飼料も食べてくれるので簡便。ただし個体によって好みがわかれるようで、例えば本個体はジャガイモ(馬鈴薯)を食べない。よく動きよく走るので体力の消耗が激しく、餌と水は欠かしてはいけない。動物食をする昆虫なので、糞便はかなりくさい。
オケラ 横浜市戸塚区 2018/06/26
オケラになる
博打で負けるなどして無一文になることを「オケラになる」という。これは、オケラを指でつまみ上げると両手のひらを広げて万歳をするかのような格好になることから、手のひらの中には一文もなくすっからかんでお手上げ状態になっていることを意味している。
オケラ 鎌倉市・浄智寺 2021/08/31
オケラ 鎌倉市・浄智寺 2021/08/31
横浜市戸塚区・舞岡公園
浄智寺、湘南タゲリ米の里
私が居住する丘陵は、
落葉性広葉樹の(樹高20㍍ほどの)オニグルミが大量の葉を斜面に散らすためか、
ミミズや「ケラ」の巣窟になっています。
ケラは、
地中性昆虫で保護色により目にすることは稀で、
天敵(野鳥、カエル、など)の採食行為で存在を知る程度ですが、
初夏の求愛時には「ジー」と地面が唸るかのような独特の鳴き声を間断無く響かせるので「巣窟である」ことを認識します。
https://mirusiru.jp/nature/flower/sarasamokuren#comment-876