鉄線、鉄仙 キンポウゲ目/キンポウゲ科/センニンソウ属 花期/5月中旬~11月
学名/Clematis florida Thunb. ‘Sieboldii’
〃 (シノニム)/Clematis florida Thunb. ‘Sieboldiana’
〃 (シノニム)/Clematis florida Thunb. ‘Bicolor’
有毒外来種稀少
#テッセン 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
園芸栽培される、中国を原産とする常緑の草本状の木本性蔓植物(木本化する蔓性多年草)で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。名は中国名の鉄線蓮(铁线莲)から。茎が針金のように細く、花は大きくハス(蓮)のように美しい、の意だろうか。センニンソウ属に分類される植物(の特に園芸品種)を総称してクレマチスというが、その原種の一つである。あるいは品種、変種、園芸種とも。総称であるクレマチスのことを、(中国原産の原種の名である)テッセン、あるいは(日本原産の原種の名である)カザグルマ(風車)と呼んでしまう人も大勢いるので注意が必要。※本サイトでは、テッセン(およびカザグルマ)という名は原種にのみ用いることとする。日本へ入ってきたのは江戸時代の寛文年間(1661-1673)とされてきたが、正しくは室町時代(1336-1573)なのではないかとの新説が現在は有力視されている。いずれにせよ日本で古くから栽培されてきたものである。
フェンスに絡められた#テッセン 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
#テッセンの葉 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
#テッセンの葉 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/05
鉄線という名前の通り茎が細く、折れやすい。立ち枯れることも多いが、地中から再び新しい茎が出てくるだろう。挿し木で増やすときは必ず一節以上を地中に埋める深植えしておくこと。
#テッセンの茎 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
テッセンの花
雄蕊が紫色の花弁と化しており華やか。新旧両枝咲き(しんきゅうりょうえだざき)で、四季咲き。ふつう結実しない。カザグルマと違って、花柄(かへい)に苞(ほう)がある。
#テッセンの蕾 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/05
#テッセン 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
じつはこのテッセン、ちょっと正体不明である。長らく日本で伝統的に栽培されてきたのは雄蕊が紫色の花弁と化した「テッセン」だろうと思われる。いま現在「テッセン」の名前で流通しているものもこれである。花は見栄えがする。対して、日本のカザグルマに似た感じの一重の白花を咲かせる、現在「フロリダ」の名前で流通しているものもまた(そう呼ぶ人はまずいないが)テッセンである。花中心部の蕊がきゅっと縮こまっている見るからに地味なこちらの一重咲きの「フロリダ」こそがテッセンの原種(野生種)だとも考えられるが、中国で自生している(とされる)テッセンが未発見なので本当にそうなのかどうかは不明。「テッセン」の枝変わりで先祖返りしたものではないかとも。※本サイトも、蕊が花弁化した「テッセン」をテッセンとし、一重咲きの「フロリダ」はフロリダ(クレマチス・フロリダ)として扱う。学名から、クレマチス・シーボルディ、クレマチス・シーボルディアナ、クレマチス・フロリダ・バイカラー、などとも。※どの学名をテッセンあるいはフロリダに当てるべきかは意見が割れているようながら、本サイトではこれらすべてはテッセンを指すものとしておく。中国原産のテッセンであるが、江戸時代に日本からヨーロッパにもたらされ、園芸種の交配親となったようである。※クレマチスの頁の「クレマチス栽培の歴史」を参照。嘉永4年(1851)にフォーチュンがヨーロッパに持ち帰った”二種”のテッセンとやらの正体は不明。テッセンとカザグルマの八重咲き品種(または変種)’ユキオコシ(雪おこし)’で、八重咲きクレマチスの交配親になったのではないかとかどうとか。なおクレマチスは原種であっても個体差が大きく現れる傾向があるため、色や形状が多少違った花が咲くこともある。よく見るテッセンの感じとはちょっと違えど、それも同じテッセンという扱いになる。ホームセンターの園芸コーナーでも販売されることがある(主に3月)が、栽培されているものを見かけるのは希。フロリダは一般受けする花ではないので、ネット通販で入手する。
#テッセン 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
#テッセン 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
#テッセン 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
#テッセンの花の裏側 相模原市南区・相模原麻溝公園 2022/05/25
花が白色の’シロマンエ(白万重)’という品種(または変種)はテッセンの枝変わりに由来する。従って、テッセンを栽培していると突然シロマンエの花が咲くことが希にある。
#円覚寺松嶺院、#コンフォール茅ヶ崎浜見平(左富士通り沿い、樹名板は残っているが滅失)
相模原市南区・#相模原麻溝公園(管理事務所前花壇、第2駐車場南側フェンス外、白万重・フロリダ・カザグルマなども、かながわの花の名所100選、相模原⿇溝公園クレマチス散策マップ オモテ・ウラ)
参考資料
『別冊NHK趣味の園芸 クレマチス 育て方から最新品種まで』 金子明人監修 日本放送出版協会発行(2009)
『クレマチス』 日本クレマチス協会監修 六耀社発行(2000)
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『牧野日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)