エドヒガン

江戸彼岸 バラ目/バラ科/サクラ属 花期/3月中旬~4月中旬
学名/Cerasus itosakura (Sieb.) Masam. et Suzuki f. ascendens (Makino) H.Ohba et H.Ikeda

稀少

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

園芸栽培されることもある落葉高木。春彼岸(旧暦3月下旬)に合わせるように開花するため一般にはヒガンザクラ(彼岸桜)と呼ばれることが多い、サクラ(桜)の野生種の一つ。ただし本来ヒガンザクラはコヒガン(小彼岸)の別称である。湘南・鎌倉・三浦半島では”江戸”の呼称が好まれないのか品種の違いに疎いのかよくわからないが決まって(コヒガンなども含めて)ヒガンザクラと呼ばれ、エドヒガンという名は一切といってよいほど使われていない。従って、ヒガンザクラと呼ばれているサクラの中から自力で品種を見定めてエドヒガンを探し当てるよりしようがない状況である。”関東の”という意味でアズマヒガン(東彼岸)、”葉がない”状態で花が咲くため”歯がない”老女に喩(たと)えてウバザクラ(姥桜)ないしウバヒガン(姥彼岸)、おそらく枝をあまり横に広げず高木になるためタチヒガン(立彼岸)、といった別名も。神奈川県内では最北部の小仏山地(高尾山周辺の神奈川県域)に自生がある。公園に植えられていることもないではないが希。高木になるせいか、あまり好んで栽培されてはいないようである。

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

葉の展開は花に遅れる。ソメイヨシノの見慣れた葉の形状に比べて明らかに細身。葉身の基部に蜜腺あり。

成木の樹皮は、サクラでありながら横ではなく縦に裂け目が入る特色あり。

エドヒガンの花

花期はソメイヨシノ(染井吉野)とだいたい同時。少し早いか、ときに遅れる。花はぱっと平開せず半開き。ソメイヨシノに比べて明らかに小さく、拍子抜けしてしまうほど。花径2cm前後、花弁を人為的に広げて測れば2.5cm弱。花色は僅かばかりピンクが濃いか。女子が喜びそうなかわいらしい色付きである。

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガン('大磯小桜') 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’) 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

エドヒガンとコヒガンは、萼筒(がくとう)基部がぼこっと膨らんでいる大きな特徴を有する。膨らみと萼片の間のくびれ部分は、エドヒガンは(膨らみ部分の長さよりも)短く、コヒガンは長め。花柄、萼筒、萼片は有毛。

エドヒガン('大磯小桜')の葉柄や萼筒などの特徴 大磯運動公園 2017/04/10

#エドヒガン(’大磯小桜’)の葉柄や萼筒などの特徴 大磯運動公園 2017/04/10 ※例年より開花遅れ

きれいに咲いている花を分解してみれば、雌蕊の花柱基部(下半分)がエドヒガンは有毛。コヒガンは無毛である。なお花柱は花の咲き終わりとともに傷む。

シダレザクラ(枝垂桜)はエドヒガン系の変異であるものが多いとされている。確かに萼筒の形状などが共通している。


東京都新宿区・#新宿御苑(イギリス風景式庭園の玉藻池側、3月下旬)、東京都八王子市・#大光寺(3月下旬~4月上旬、シダレザクラと、京王高尾線「高尾」駅ホームからも)、横浜市中区・#根岸森林公園(樹名板あるようだが萼筒の形状が異なる、平成29年(2017)芝生広場中央にシンボルツリーとすべく若木も植栽)

#浄智寺(拝観受付裏の大樹タチヒガン、市指定天然記念物、かながわの名木100選、東国花の寺百ヶ寺)、#大磯運動公園(大磯小桜として、3月中旬・ただし花期は安定しない)

オオイソコザクラ(大磯小桜)


大磯町在住齊藤廣昭氏の生家(福島県福島市)にある樹齢三百年以上というサクラを接ぎ木で増やしたもの。現在、大磯町の大磯運動公園と星槎湘南大磯キャンパス駐車場に植栽されている。かつて大磯運動公園の現地案内板で「小彼岸桜」と説明されていたが、萼筒形状・雌蕊有毛などからコヒガンではなくエドヒガンである。平成31年(2019)4月現在 仮名’大磯小桜’として「日本花の会」に新品種認定申請中。令和2年(2020)2月1日 同会が’大磯小桜’を新しい園芸品種として認定(認定番号第020号)。ただしエドヒガンであることを認め、”この桜も花などの形態的特性に明確な区別性はみられません”と述べている。「日本花の会」はどうやら関係者の思い入れや地域貢献性など人間の都合をもって新品種を認定しているようであるが、植物分類学的には支持されるものではなくエドヒガンということになろう。今後、大磯町でしか見られない大磯町オリジナルの大磯町育ちの新品種’大磯小桜’などと観光向けに宣伝されるようになるかもしれない。

#東慶寺(看門(拝観受付)後方のソメイヨシノ似のもの、ヒガンザクラとして通っているがコヒガンか)、#大船フラワーセンター(平成31年(2019)サクラの柵内に若木1本植樹・大きく成長するまで近くで見れない)、#茅ケ崎里山公園(桜の小径に若木1本=不良・早め、丘の村子供の森に1本・ジンダイアケボノも1本あり)、#花菜ガーデン(駐車場に並木)

座間市・#相模が丘仲よし小道(さくら百華の道、1.6km64品種220本=コシノヒガンザクラ・コヒガンも)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『生きもの出会い図鑑 日本の桜』 勝木俊雄著 学研教育出版発行(2014)

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