ジンダイアケボノ

神代曙 バラ目/バラ科/サクラ属 花期/3月下旬~4月上旬
学名/Cerasus spachiana ‘Jindai-akebono’

改良種稀少

ジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#ジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

園芸栽培される落葉高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。東京都調布市の神代植物公園(じんだい-、「深大寺そば」で有名な天台宗別格本山・深大寺(じんだいじ)に隣接)に原木がある、サクラの園芸種である。日本のエドヒガン(江戸彼岸)オオシマザクラ(大島桜)の雑種という。であるならば、両親はソメイヨシノ(染井吉野)と同じであり、ソメイヨシノとジンダイアケボノは兄弟姉妹という間柄になる。ジンダイアケボノが誕生したのは日本ではなくアメリカ合衆国のワシントン州。現地では’Akebono(アケボノ)’という品種名が付けられていた。これが日本の神代植物公園に逆輸入され植栽されることとなったが、日本には既に’曙(アケボノ)’と名付けられた別のサクラがあったため、’アメリカ’と改名された。この中から趣が異なる一本が発見され、平成3年(1991)に新品種として’神代曙’という名前が与えられたものである。ややわかりづらい変遷を経ているが、(エドヒガン×オオシマザクラ)=Akebono=アメリカ≒ジンダイアケボノ、ということ。いま戦後各地に植えられたソメイヨシノは齢(よわい)七十を過ぎて傷んだ木がたいへん多く目立つようになり、寿命を迎えつつある。そこで、サクラの苗を頒布している「公益財団法人日本花の会」は病気に弱いなどの問題を抱えているソメイヨシノの苗木の販売を平成21年(2009)から取り止めており、現行のソメイヨシノに代えてジンダイアケボノを植樹するよう奨めている。湘南・鎌倉・三浦半島では”次世代のサクラ”であるジンダイアケボノを見かける機会はまだほとんどないものの、もしかしたら今後そこかしこに植えられるようになってくるのかもしれない。実際、お役所が先導して事業を計画している街路樹ではまだわずかながらソメイヨシノを抜根(ばっこん)してジンダイアケボノの苗木に植え替えるところがちらほらと出始めている。ただし近縁とはいえジンダイアケボノの花はソメイヨシノとはかなり違った雰囲気のものであるから、大衆が違和感なくすんなり受け入れるとはにわかにはちょっと想像しがたい。ジンダイアケボノはソメイヨシノよりはやや小型の木で、ソメイヨシノより病気に強く、開花はほぼ同時期ながら若干早く咲く。※正しい品種名は’神代曙’であるが、本頁ではジンダイアケボノとカタカナ表記する。

ジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#ジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

ジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#ジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

ジンダイアケボノの若木 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノの若木 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

白とピンク色が同居するジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#白とピンク色が同居するジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

白とピンク色が同居するジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#白とピンク色が同居するジンダイアケボノ 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

目障りになるほどのものではないが、開花時に開きかけの葉芽を伴う。

ジンダイアケボノの開花時の葉芽 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノの開花時の葉芽 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノの花

小花柄(しょうかへい)や萼の形状からひと目でエドヒガン系とわかる姿。しかしエドヒガンにしては花が大きすぎる、花色が艶(あで)やかすぎる、と誰の目にも明らかに違和感を感じるもの。花色は淡いパステル調のピンク色ながら、花弁先端付近はやや色濃く染まり、グラデーション(色調変化)豊かな(これまでに見たことがない)景色を作る。開いたばかりの若い花ほど色濃く、徐々に淡い色合いに変化してゆく。多数あるサクラの品種の中でも群を抜いてかわいらしい、女子力がアップしたフェミニンな紅差しコーデとでもファッション雑誌が表現しそうな花色であるが、ソメイヨシノの素朴で儚い出で立ち(いでたち)こそがサクラの至極の美と捉えるならばジンダイアケボノは個性を立たせすぎていて少々あざとく感じてしまわないでもない。花径はソメイヨシノより小さく3~3.5cm前後。

ジンダイアケボノのピンク色濃い(開花直前の)蕾 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノのピンク色濃い(開花直前の)蕾 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノ 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

花柄(かへい)はない(ように見える)。小花柄は一地点で分岐する散形花序。小花柄、萼筒、萼片、いずれも多毛。萼筒はエドヒガン型(膨らみの長さ>凹みの長さ)の壺形。ただし凹み(くびれ)は少しばかり弱め。萼片は(ルーペで覗き込めば)細かな鋸歯あり。萼片先端はよく尖り、僅かに内側に曲がっている。

ジンダイアケボノの毛が多い小花柄や萼 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノの毛が多い小花柄や萼 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノの毛が多い小花柄や萼 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノの毛が多い小花柄や萼 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

ジンダイアケボノの萼 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#ジンダイアケボノの萼 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

ジンダイアケボノの特徴 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

#ジンダイアケボノの特徴 二宮町・ラディアン花の丘公園 2020/03/26

エドヒガンのDNAを受け継いでいるので、同様に雌蕊の花柱(かちゅう)基部には毛が生えている。

ジンダイアケボノの有毛な雌蕊 茅ケ崎里山公園 2020/03/25

#ジンダイアケボノの有毛な雌蕊 茅ケ崎里山公園 2020/03/25


東京都調布市・#神代植物公園(原木はさくら園ではなく芝生広場北側のトイレ横)、横浜市中区・#横浜公園、#横浜市金沢区西柴三丁目(国道16号線「片吹」交差点を東へ入った道路沿いに並木、旧「新金沢八景 春色(しゅんしょく):西柴の桜トンネル」のソメイヨシノから植え替えられた)、横浜市南区・#大岡川プロムナード(一部)

#茅ケ崎里山公園(西駐車場内の丘の上、丘の村子供の森)

#観音崎公園(花の広場)、二宮町・#ラディアン花の丘公園(若木)

参考資料

『さくら百科』 永田洋・浅田信行・石川晶生・中村輝子編 丸善発行(2010)

『増補改訂 フィールドベスト図鑑 vol.10 日本の桜』 勝木俊雄著 学習研究社発行(2009)

『新日本の桜』 木原浩・大場秀章・川崎哲也・田中秀明著 山と溪谷社発行(2007)

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