マツバラン

松葉蘭 マツバラン目/マツバラン科/マツバラン属 花期/4月~11月
学名/Psilotum nudum (L.) P.Beauv

自生種稀少保護

環境省レッドリスト「準絶滅危惧(NT)」
神奈川県レッドリスト2020「準絶滅危惧」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧II類」

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

常緑の多年草。ふつう樹木の幹に生えている着生植物。岩に生えたり、ときに地面から生え出てくることもある。草丈は20~30cm。遠目にはスギナ(杉菜)でも茂っているかのような姿をしている。名前に反して、ランの仲間ではなく、シダ植物。従って花は咲かない。根と葉が分化しておらず茎しかない単純で原始的な形態をしている、と学術的に説明されるのが最大の特徴。とはいえ、地下茎(ちかけい)には根っこにしか見えない仮根(かこん)や、地上茎には極小ながら葉っぱにしか見えない葉状突起(ようじょうとっき)なるものはあったりする。太古の植物、生きた化石(生きている化石)と呼ばれることも。地上茎は二又の分岐を繰り返す。その姿から別名ホウキラン(箒蘭)。珍妙な形態ゆえに江戸時代から園芸栽培が盛んに行われてきた園芸植物でもあり、園芸品種が存在する。従って、野良にあるものも自生していたものなのか、人為的に栽培されていたものから胞子が飛んで野生状態で生えてしまっているだけなのか、判断が付かない。神奈川県内のみならず東京都内でも近頃は目撃例が増えているとのこと。温室で栽培されることもあるような熱帯・亜熱帯地域の植物なので、昨今の地球温暖化はもしかしたら追い風になっている可能性がある。自生地では栽培や販売目的で持ち去れてしまう盗掘行為が大きな問題になっている。

エドヒガン(市指定天然記念物「タチヒガン」)の高所に着生したマツバラン 鎌倉市・浄智寺 2024/05/03

#エドヒガン(市指定天然記念物「タチヒガン」)の高所に着生したマツバラン 鎌倉市・浄智寺 2024/05/03

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバランの大株 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバランの大株 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

民家のソメイヨシノに着生したマツバラン 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

マツバランの花

シダ植物なので花は咲かない。代わりに胞子を飛ばすための胞子嚢(のう)を作る。胞子嚢は若いうちは緑色で、熟すと黄色っぽく変色する。

マツバランの胞子嚢 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

マツバランの胞子嚢 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

マツバランの胞子嚢 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

マツバランの胞子嚢 鎌倉市浄明寺 2024/05/04

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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