オオバジャノヒゲ

大葉蛇の髭 キジカクシ目/キジカクシ科/ジャノヒゲ属 花期/6月中旬~7月上旬 結実期/12月~3月

自生種稀少保護

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

丘陵地などの日当たりのよくない林内に生える常緑の多年草。沢近くなどのややべちゃっと湿った泥の草地を好む。名前からしてジャノヒゲの近縁種ではあるものの、ジャノヒゲにそっくりなものを想定しているとまったくの見当違いとなる。ジャノヒゲやナガバジャノヒゲ(長葉蛇の髭)と同列には扱わない方がよい別物と認識しておきたい。ヤブラン(藪蘭)コスプレをしたジャノヒゲ、とでもいおうか。葉の形状、花柄(かへい)が葉よりも高く突き出る様子、実の様子、あたりはジャノヒゲやナガバジャノヒゲよりもどちらかといえばヤブランに似る。湘南・鎌倉・三浦半島にも自生があるようだが、まず見かけない。花や実が付いていない状態では貧相なヤブランと誤認してしまって、オオバジャノヒゲと気づくことなく通り過ぎてしまっている可能性も否定できない。土壌が年中べちゃついている三浦丘陵には比較的多い模様。市街地などには分布しないと思われる。

葉は線形。ただしジャノヒゲやナガバジャノヒゲのように細いものでなく、むしろヤブランやキチジョウソウ(吉祥草)を思わせるすこし幅広なもの(幅6.5mm)。

ジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲの葉の幅の比較

ジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲの葉の幅の比較

ジャノヒゲやナガバジャノヒゲと同様に、葉の表は主脈部分が一本線に凹まない、葉裏には緑色と白っぽい緑の縞々模様がある。葉の縁(ふち)には視認できない程度の小さなぎざぎざがあるため、指で(葉先から基部の方向に向かって)なぞるとざらざらする。

オオバジャノヒゲの葉表 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの葉表 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの葉裏に見える緑と白の縞々模様 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの葉裏に見える緑と白の縞々模様 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

花期の葉は伸び切っていないため、上に向かってしっかり立ち上がる姿。草丈は人の脛(すね)から膝(ひざ)くらい。

花期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

花期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

花期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

花期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

花期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

花期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

実ができるまでには葉は伸び切っており、ジャノヒゲやヤブランなどと同様にたらりと垂れ下がるふつうの姿に。気になる点は葉の少なさ。ヤブランを基準に考えれば明らかに葉の本数が少なく、見るからに貧相である。AGA(男性型脱毛症、要するに禿げ)なのではないかとさえ感じられ、見ていて妙に寂しい気持ちになってきてしまう。

結実期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

結実期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

結実期のオオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

結実期のオオバジャノヒゲ(細い葉は別物) 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

根茎(こんけい、葉の付け根の部分)から、ごく浅い地中を這うように1mくらい伸びる白色の地下茎を出し、その先端に子株を作って増殖してゆく。従って、オオバジャノヒゲは狭い範囲に点在して生えやすい。

オオバジャノヒゲの、落ち葉に埋もれた場所で長く伸びる地下茎 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの、落ち葉に埋もれた場所で長く伸びる地下茎 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

葉が妙に黒っぽい色をした園芸品種がコクリュウ(黒竜)の名で流通している。オオバジャノヒゲと並んで庭園に植えられることがある。

オオバジャノヒゲの花

ジャノヒゲやナガバジャノヒゲのように葉に隠れてしまうものではなく、葉より高い位置まで花柄(かへい)がしっかり伸びるため花はよく目立つ。小花が下を向くのはジャノヒゲやナガバジャノヒゲと同様ながら、大きめなので見栄えがする。花色も白色で、きれい。紫色を帯びるものもあるらしい。白花品種はシロバナオオバジャノヒゲ(白花大葉蛇の髭)とも。見頃は6月20日前後。

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲ 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/06/17

オオバジャノヒゲの実

実(のように見える種子)は、緑色から、紺色を帯びたほぼ黒色に熟す。紺とはいい難し、しかし黒いともいい難し。真っ黒ではないのでどちらかといえば紺色なのかもしれないが、印象としては紺というよりは黒のような‥、というなんとも表現しがたい微妙な色合い。喩(たと)えとして適切ではないかもしれないが、白内障ですこし白っぽく濁ってしまった瞳の色、を思わせる。ストロボを焚いて写真撮影をするとより青みが強調されるので、より紺色っぽく写るだろうと思われる。明確に黒色でやや照りがあったらヤブランの実だろう。

オオバジャノヒゲの実 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの実 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの実 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの実 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

ジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲ、ヤブランの実の比較

ジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲ、ヤブランの実の比較

オオバジャノヒゲの実は葉に埋もれずして、葉よりも高い位置まで長い柄(え)を伸ばして黒っぽい実を付ける、という点でヤブランと紛らわしいが、オオバジャノヒゲの果柄(かへい)断面は扁平なので指で摘まんでみれば違いは明白。ヤブランの柄は丸みを帯びた(あるいは四角っぽく感じられる)ものである。

オオバジャノヒゲの扁平な果柄 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲの扁平な果柄 横浜市磯子区・氷取沢市民の森 2018/12/23

オオバジャノヒゲとヤブランの果柄断面の模式図

オオバジャノヒゲとヤブランの果柄断面の模式図

細すぎてあまり実感は得られないかもしれないが、ジャノヒゲおよびナガバジャノヒゲの果柄も扁平である。

オオバジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、ジャノヒゲの果柄の比較

ジャノヒゲ、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲの果柄の比較

なお、硬い地面に投げつけるとよく跳ねるのはジャノヒゲの実だけで、ナガバジャノヒゲ、オオバジャノヒゲ、ヤブランの実は特に跳ねるものでない。


横浜市磯子区・氷取沢市民の森

神武寺、武山、大楠山

旧華頂宮邸、鎌倉広町緑地、氷室椿庭園(旧氷室家住宅前、コクリュウも)

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