犬槇、犬槙 マツ目/マキ科/マキ属 花期/5月下旬~6月上旬 結実期/9月下旬~10月
学名/Podocarpus macrophyllus (Thunb.) Sweet
有毒自生種
#イヌマキの色付きはじめた実 茅ヶ崎市・中央公園 2018/09/19
林内に生える常緑の高木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。針葉樹である。関西でホンマキ(本槇)とも呼ばれるコウヤマキ(高野槇)に対して、”人の役に立たないもの”の意味を表すイヌが冠された。材が劣ると判断されたか。葉の美しさでやや見劣りもする。別名クサマキ(草槇)。鎌倉ではイブキ(伊吹)と共に社寺境内に古木があるので、観光客の目にもちらりと入っているはずである。なお湘南・鎌倉・三浦半島ではイヌマキは単にマキ、イブキはビャクシン(柏槇)の名で通っている。神奈川県内では丘陵地などの薄暗い林内に自生あり。但し、中国原産で日本の野山に生えるものは帰化したものとも。出自の詳細は不明。
#イヌマキ(市天然記念物「マキ」、白色矢印) 鎌倉市・鶴岡八幡宮 2020/01/09
#イヌマキ(写真中央) 鎌倉市・円覚寺 2019/12/08
#イヌマキ 鎌倉市・報国寺 2023/03/12
#イヌマキ 鎌倉市・報国寺 2023/03/12
きれいに刈り込まれた#イヌマキ(本堂向かって左手) 大磯町・妙大寺 2020/11/18
#イヌマキの色付きはじめた実 茅ヶ崎市・中央公園 2018/09/19
#イヌマキの葉 大磯町・妙大寺 2020/11/18
イヌマキの変種で全体的にコンパクトにまとまっているものをラカンマキ(羅漢槇)という。高木にならず、葉が短く密生するため、庭木や生垣に多用されている。
イヌマキの花
バラ(薔薇)がややピークを過ぎかけ、ハナショウブ(花菖蒲)にはまだ少し早い、という時季に花を咲かせる。花弁はない。
上向きに立ち上がったやや黄色っぽい何本もの人の指のような姿のものが(雄株の)雄花。びっしり並んでいる小さな丸っこいものが弾けると花粉が放出される。
#イヌマキの雄花の蕾 茅ヶ崎市・中央公園 2019/05/18
#イヌマキの雄花 茅ヶ崎市・中央公園 2019/05/18
実の赤ちゃんのような姿のものが(雌株の)雌花。坊主っくりが付いているが、花粉の取り込み口である珠孔(しゅこう)はその先端部分ではなく基部に開いている。
#イヌマキの雌花 茅ヶ崎市・中央公園 2019/05/18
#イヌマキの雌花 茅ヶ崎市・中央公園 2019/05/18
#イヌマキの雌花 茅ヶ崎市・中央公園 2019/05/18
イヌマキには枯れ葉などのゴミが堆積しやすく、新梢(しんしょう)には黒色のアブラムシ(油虫)が大量に湧いてその糞尿が付着し、それが原因となった病気と思われる黒い煤(すす)にもまみれ、クモ(蜘蛛)の巣も多く張られ、正直なところ見るにきれいとはいえない状態のものがほとんどである。
イヌマキの実
緑色の玉と赤色の果肉らしきものが組み合わさった奇妙な形状の実(のように見えるが裸子植物なので露出した種子である)ができる。先端の緑の玉は種子、その基部の膨らんだ赤い部分は花托が肥大化して果托となったものである。種子は有毒、果托は果肉として食べることができる。やや脂(やに)臭さが感じられるもののほのかに甘く、まずからず、さほどおいしからず。なお果托の中心部には種子に養分を送るための柄(え)が通っているので、それがやや口に残るかもしれない。有毒部分ではないようであるが。
#イヌマキの若い実 茅ヶ崎市・十二天神社付近 2018/06/12
#イヌマキの若い実 茅ヶ崎市・十二天神社付近 2018/07/07
#イヌマキの未熟な実 茅ヶ崎市・十二天神社付近 2018/09/08
#イヌマキの色付きはじめた実 茅ヶ崎市・中央公園 2018/09/19
#イヌマキの色付いた実 鎌倉市・円覚寺 2019/12/08
#イヌマキの色付いた実 鎌倉市・円覚寺 2019/12/08
#イヌマキの実 茅ヶ崎市・中央公園 2018/09/19
#地面に落ちたイヌマキの種子と枯れ葉 茅ヶ崎市浜之郷 2019/12/13
横浜市戸塚区・#北天院(かながわの名木100選)
横須賀市鴨居・#西徳寺(かまくらと三浦半島の古木・名木50選)、#覚園寺(市指定天然記念物「マキ」、かながわの名木100選)、#鶴岡八幡宮(市指定天然記念物「マキ」)、#安養院(市指定天然記念物「マキ」)、#浄光明寺(市指定天然記念物「マキ」、かまくらと三浦半島の古木・名木50選)、#円覚寺(JR横須賀線「第一円覚寺踏切」向かい)
厚木市飯山・#長谷寺(ちょうこくじ、飯山観音、市指定天然記念物、かながわの名木100選)、#小田原城址公園(市指定天然記念物「小田原城跡のイヌマキ」)