石榴草、柘榴草 ナデシコ目/ザクロソウ科/ザクロソウ属 花期/7月~10月
自生種
ザクロソウ、丸葉はハナイバナ、紫花はウリクサ 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
乾燥した畑や道端に雑草として生えている一年草。名は、牧野博士によれば葉がザクロに似ているから。とはいえ、特に似てはいないし、ザクロの葉といわれてその姿を思い出せる人はまずいまい。ザクロといえば(花も結構特異だったりするが)果実である。ザクロソウの熟した実が裂開して赤紫色の種子を露出させた姿がザクロを連想させたに相違ない。茎は直立はしないが、か細く長くよく分岐させて斜上する。地面にべたあっと張り付くような姿ではない。全体小型なので草丈は人の足首かその少し上くらいまで。湘南・鎌倉・三浦半島でありきたりの普通種。夏場休ませて何も植え付けていない畑を探せばあるだろう。
畑に生えたザクロソウ 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
畑に生えたザクロソウ 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
畑に生えたザクロソウ 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
ザクロソウ 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
葉は、茎下方では三枚程度が輪生する。じつは生えている位置がちょっとずれている偽輪生(ぎりんせい)らしい。光沢あり。
紛らわしい近似種はクルマバザクロソウ(車葉石榴草)。クルマバザクロソウの方が大型であるが、雑草として道端に生えていたり茎がひょろ長だったりする姿は似ている。葉がやや似ている雑草にオオフタバムグラ(大双葉葎)がある。
ザクロソウの花
集散花序と呼ばれる形状の花序となる。花序柄(かじょへい)は長い。クルマバザクロソウは葉に近いところで花が咲くので違いは明白。小花は小さく、花径は3mm程度。花色は黄色とか黄褐色とか黄緑色とかいわれるが、厳密にはそうなのだが、日光に照らされた状態で肉眼ではほぼ白色に見えるだろう。雄蕊と雌蕊も同色。花弁(のように見える萼裂片)は五枚。
ザクロソウ 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
時間とか日照とか気温とか開花に条件があるのかたまたまなのか、花がまったく咲いていないものによく出遭う。
ザクロソウの実
熟すと中に納まっていた赤紫色の種子を露出する。が、地面に這いつくばってまじまじ覗き込んでみたとて、肉眼では見えるか見えないかぎりぎりの0.5mmもない小さな粒。
ザクロソウの熟して裂開した実 茅ヶ崎市堤 2019/10/10
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『牧野日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)