藪枯らし ブドウ目/ブドウ科/ヤブガラシ属 花期/6月下旬~8月
薬用自生種駆除
ヤブガラシ 藤沢市・江の島 2017/08/24
どこにでも生える蔓性の多年草。他の植物に覆いかぶさって繁ってくるため”藪をも枯らす”ようなやつだ、の意。藪に生える辛子という説も。生垣に、花壇に、フェンスに、家の壁に、もうどこにでも生えて何にでもよじ登って絡まってはびこる。引っこ抜こうにも、若いうちの茎は根元のあたりでぶちっと切れてしまって駄目、大きく成長すると今度は丈夫になりすぎて引っこ抜けない。じつは土の中に頑丈な地下茎が這っていてそいつが親玉、これを丸ごと除去しなければいつまでも毎年毎年何度も何度も生え直してくるという、生命力が抜群に旺盛な迷惑雑草である。手入れをする余裕のない家によく生えてくるためビンボウカズラ(貧乏葛)とも。
フェンスに絡まるヤブガラシ 茅ヶ崎市萩園 2018/05/25
民家の勝手口を覆わんとするヤブガラシ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/21
サツキの生垣を覆ったヤブガラシ 平塚市中堂 2018/05/26
葉は互生で、鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう)と呼ばれる珍しい形状。アマチャヅル(甘茶蔓)の葉によく似るが、ヤブガラシの葉表は無毛。大きさは様々。
ヤブガラシの葉 茅ケ崎里山公園 2017/08/17
庭に生えてきたヤブガラシは面倒でもこまめに除草しておくことをお薦めする。ヤブガラシが生えていると見た目にだらしない印象を与えるばかりでなく、絶叫必至な恐怖の巨大イモムシ(芋虫)が出現するのである。
ヤブガラシの葉の裏に‥ 茅ヶ崎市下町屋・小出川 2019/09/02
体長8cm(≒成人男性の大きな中指ほど)はあろうとかいうコスズメの幼虫が 茅ヶ崎市下町屋・小出川 2019/09/02
コスズメ(小雀)や尻の方まで目玉模様があるセスジスズメ(背筋雀)の幼虫がヤブガラシの葉を食草としている。成虫は昔のステルス戦闘機みたいな形状をしたガ(蛾)。
ヤブガラシの花
ヤブガラシの花は雌雄同株(しゆうどうしゅ)の両性花で雄性先熟。はじめ花床(かしょう)はオレンジ色で雄蕊が四本立ち上がり緑色の花弁が開く。雄性期なのはどうやら朝のうちだけで、午後にはもう雄蕊も花弁もぽろりと落ちてしまうようだ。のち雌性期を迎えると花床がピンク色に変わって雌蕊が一本伸びる。
ヤブガラシ 茅ヶ崎市行谷 2018/06/19
ヤブガラシ 藤沢市・江の島 2017/08/24 08:06
花はとても小さいものながら良好な蜜を出すようで、集まってくるのはアリ(蟻)やらチョウ(蝶)やらハナムグリ(花潜)やら、ときにスズメバチ(雀蜂)まで。人にとっては迷惑この上ない雑草でしかないヤブガラシだが、たくさんの昆虫の命を支えているのも事実。
ヤブガラシの実
ヤブガラシはふつう結実しない。