山葵 アブラナ目/アブラナ科/ワサビ属 花期/3月中旬~4月 旬/11月~2月
学名/Eutrema japonicum (Miq.) Koidz.
食用自生種改良種稀少保護
#ワサビ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/03/30
渓流や湧水の澄んだ水べりを好む、日本原産の多年草。カラシ(辛子)・ワサビの、あの香辛料(薬味)のワサビである。栽培は主に、川の源流域にある”わさび沢”とか”わさび田(だ)”と呼ばれる農場で行われている。故に、ミズワサビ(水山葵、水わさび)やサワワサビ(沢山葵、沢わさび)と呼ばれる。セイヨウワサビ(西洋山葵、西洋わさび)に対して、ホンワサビ(本山葵、本わさび)とも。神奈川県近隣で有名な生産地といったら伊豆半島の天城山(あまぎさん)系。「静岡県わさび栽培地域」として、平成28年(2016)農林水産省の日本農業遺産に、また平成30年(2018)に国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定されており、静岡県伊豆市にある”筏場のわさび沢(いかだば-)”などは深い山間(やまあい)に畳石式わさび田が広がって見事。わさび田の底は土ではなく、人為的に入れられた砂である。生育適温は、水温9℃~16℃。神奈川県内でもかつてはワサビの栽培が試みられた。(現在は人が足を踏み入れるのも困難な)山奥の水辺などにちらほら生えているワサビは、そうした栽培ものの名残りである可能性も大いに考えられるため、自生なのか逸出なのかは判断が付かない。沢ではなく、ふつうに陸地にある畑で栽培するとハタケワサビ(畑山葵、畑わさび)ないしオカワサビ(陸山葵、陸わさび)と呼ばれる。種としては同じもの。但し栽培方法が異なるためハタケワサビは地下茎が大きく育たず、花芽などを食用にする。ホームセンターの園芸コーナーでも春に「畑わさび」として「山わさび」(※後述)と一緒に並べて販売されている。「畑わさび」は畑で栽培ができる本わさび、「山わさび」は西洋わさびである。
小規模な#ワサビ田 横浜市泉区・天王森泉公園 2019/04/15
ふつうワサビとして食用にするのは、緑色をした地下茎(根茎)の部分。収穫まで二年半かかる。そのままかじると苦いだけで不味い。すりおろす(細胞を潰す)と、シニグリンがミロシナーゼ酵素の働きによってアリルイソチオシアネートになり、苦みが辛みに変化する。ぐいぐいと力を入れることなくきめ細かにクリーミーにすりおろすと、ワサビ本来の辛さや香りを引き出すことができる。なお風味はすりおろして三分の間だけがピークで、その後は徐々に失われてしまう。ワサビはおろしたてに限る。なおダイコン(大根)と同じで、葉に近い地下茎の上部は辛みが弱く、先端側の下部は辛みが強い(脂が多いトロなどに合う)。一般家庭で使用されるチューブ入りワサビも、元来は本種をすりおろしたものである。”本わさび”の表記あるものは本種を主原料としている。そうでない安価なものはセイヨウワサビを原料に用いて本わさびっぽい風味に仕立てたものである。
ワサビは地下茎のみならず、葉も茎も食べられる。
#ワサビ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/03/30
セイヨウワサビは、欧州原産の外来種で、日本のワサビとは似て非なるもの。食用にする地下茎は白っぽい色で、粘り気が少なくシャープな辛さが持ち味。ステーキやローストビーフに添えられる。こちらは水辺ではなく普通に畑で栽培が可能。日本国内における主な生産地は北海道で、山に逸出帰化もしているためヤマワサビ(山山葵、山わさび)と呼ばれることも(山に自生するホンワサビをヤマワサビと呼ぶ人もいるので注意が必要)。エゾワサビ(蝦夷山葵)とも。粉わさびの原料はセイヨウワサビである。
湘南・鎌倉・三浦半島の林内でみられるワサビっぽい形状の小型な葉は、ユリワサビ(百合山葵)であろう。
ワサビの花
アブラナ科なので、白色のナノハナ(菜の花)のような花を咲かせる。
#ワサビ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/03/30
横浜市戸塚区・#俣野園、横浜市泉区・#天王森泉公園(近くで見れない)
#森戸川源流
#馬堀自然教育園
相模原市南区当麻・#無量光寺(笈退り(おいしゃり)が旧栽培地、ワサビ残存なし)、相模原市南区当麻・#ガン沢(桜井運輸建物南側林内が旧栽培地、残存あり)