筑波錦紋草 シソ目/シソ科/キランソウ属 花期/4月中旬~下旬
学名/Ajuga yesoensis Maxim. ex Franch. & Sav. var. tsukubana Nakai
自生種稀少保護
ツクバキンモンソウ 藤沢市・新林公園 2016/04/13
明るい林内に生える多年草。日本海側に分布するニシキゴロモ(錦衣)の変種に位置付けられている。名は、葉脈と葉裏が紫色を帯びる姿が美しく、錦の衣をまとったようだとされたもの。キンモンソウはニシキゴロモの別名である。茨城県・筑波山(-さん)の名が冠されているのは発見地であるためで、筑波山の特産というわけではない。日本固有種。ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)の異名を持つキランソウ(金瘡小草)の近似種で、(花期終わる頃には)うっかりすると見間違えてしまいそうになることも。湘南・鎌倉・三浦半島ではキランソウは普通種ながら、ツクバキンモンソウは珍しい。花冠の形状だけなら同属のジュウニヒトエ(十二単)もよく似ている。
ツクバキンモンソウ 藤沢市・新林公園 2016/04/13
ツクバキンモンソウ 藤沢市・新林公園 2016/04/13
キランソウとツクバキンモンソウの見分け方
花色で植物の同定をするのはやめた方がよい、という禁を犯して花色から目星を付けてしまうのが(交雑が進んでいない現状では)最も簡単。キランソウは濃い紫色で、ツクバキンモンソウは白に近い極薄紫、が基本。
但し、花が薄紫色のツクバキンモンソウ、白に近い極薄紫のキランソウ(シロバナキランソウ)もいるので、念のため”茎と葉柄(ようへい)の長毛の有無”なども確認したい。
キランソウ
茎と花柄にも長い毛がよく目立つ。
ただし花期終わりには茎が伸びてすこし立ち上がってくるので要注意。
ツクバキンモンソウ
萼には長毛が生えるものの、茎と花柄には短毛があるのみで毛はあまり目立たない。
両者ともに花冠の上弁はほぼない(1mm程度あることはある)。二裂した上弁がしっかり視認できるようであればタチキランソウ(立金瘡小草)の可能性が視野に入ってくるので注意したい。神奈川県内では北西部に偏って分布し、湘南・鎌倉・三浦半島にはないようであるが。
花期に茎が直立するツクバキンモンソウ 藤沢市・新林公園 2016/04/13
横浜市栄区・栄プール~天園
衣笠山公園、鎌倉広町緑地、新林公園
参考資料
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)