トキホコリ

時繁 バラ目/イラクサ科/ウワバミソウ属 花期/8月下旬~9月 結実期/9月~12月中旬
学名/Elatostema densiflorum Franch. & Sav. ex Maxim.

自生種稀少保護

環境省レッドリスト2019「絶滅危惧II類(VU)」
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧II類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IB類」

トキホコリの葉 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの葉 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

直射日光が当たらない乾燥しない林縁などに生える一年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。ぱっと見の姿は同属で多年草のウワバミソウ(蟒蛇草)によく似ており紛らわしいが、茎上部の節間が狭く詰まっている、葉の先端が尾状(びじょう)に長くは伸びない、茎に細かな毛がたくさん生えている(個体差あり)、主にこの三点がトキホコリであると見分けられる特長である。ウワバミソウは谷戸(やと)深部の暗い林床で水が湧き出るややべちゃついた土壌にシダ類などと共に大群生するのをまま見かけるが、トキホコリはそこまで暗くない、そこまで湿らない、という場所を好むようである。日が当たり過ぎて明るいと、あるいは土が少しでも乾燥しているともう生えていない。生育できる環境にはちょっと口うるさそうで、土壌の程良い湿り具合、暗からず明るからず、ある程度冷涼で、空気が乾燥せず高めの湿度を常に維持していること、より背高な他の野草と競合しない場所であること、踏圧(とうあつ)を受けないこと、といったあたりの条件が必要なのかもしれない。湿地に生えるところもあるらしい。神奈川県内の自生地は、川崎市・相模原市緑区・綾瀬市・鎌倉市の数地点のみ。但し気に入った生育地では群生して多数あり。そのためか、最新の県版レッドリストではカテゴリー(ランク)が一段格下げられた。察するに、移植や栽培は難。全草柔らかく一年草のため、すぐに傷んで終わりだろう。草丈は個体差大きいが20cmくらいまで。名は、ときに(所により)繁茂する、の意。埃(ほこり)っぽいわけではない。

やや若さを感じるトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

やや若さを感じるトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

道端の林縁に生えたトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

道端の林縁に生えたトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの群生 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの群生 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの群生 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの群生 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

道端に生えたトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

道端に生えたトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

道端に生えたトキホコリ(白色矢印) 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

道端に生えたトキホコリ(白色矢印) 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

駐車場に生えたトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

駐車場に生えたトキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリ 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

葉は互生で左右非対称。ウワバミソウより葉先が長く伸びないので、ちょっともっさりした印象。コウロコフウチョウ(小鱗風鳥)が求愛ダンスをしているような姿。

トキホコリの葉 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの葉 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの毛が生えた茎 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの毛が生えた茎 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花

ウワバミソウは真夏より前に、トキホコリは夏の盛りを過ぎた残暑に開花する。葉腋(ようえき)に密着した謎の塊が花序で、この中に単性の雄花と雌花が混在するとのこと。花弁はなく蕊のみを出す。白っぽい点がそれなのだろうが、ぱっと見の外観からは詳しい様子はさっぱりわからない。花径(蕊部全体の直径)は0.3cm前後で、十倍ルーペで覗いてもまともには見えない。三裂した極小な雌蕊を三片の雄蕊で囲っている両性花のようなものがある、ような感じに見えないでもないが、小さすぎてよくわからない。小花は多数あるので、咲いては実を作る咲いては実を作るという作業を長い期間に渡って継続する。

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの花序 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの実

葉腋にあった花序がもっこり膨張をしながら、一部の小花は開花しながら、一部は果実となって種子(のように見える痩果(そうか))を作って放出する。果序周辺にこびりついている0.7mmほどの小さな茶色の粒々がそれ。雨に流されるのを待っていると思われる。あるいは極度に乾燥しても風で吹き飛ぶか。一個の果序からできる種子の数は(ぱっと見の印象から)百個以上はあろうかと思われる。

トキホコリの果序と種子 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

トキホコリの果序と種子 鎌倉市山ノ内 2021/08/29

時期的にそろそろ枯死するだろうトキホコリの果序 鎌倉市山ノ内 2019/12/08

時期的にそろそろ枯死するだろうトキホコリの果序 鎌倉市山ノ内 2019/12/08

時期的にそろそろ枯死するだろうトキホコリの果序 鎌倉市山ノ内 2019/12/08

時期的にそろそろ枯死するだろうトキホコリの果序 鎌倉市山ノ内 2019/12/08


東京都府中市・東京農工大学府中キャンパス(農学部本館西側)、東京都町田市・小山田緑地(おやまだ-)、川崎市多摩区・生田緑地

鎌倉市山ノ内

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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ウワバミソウ