菊藻 シソ目/オオバコ科/シソクサ属 花期/8月下旬~11月中旬
学名/Limnophila sessiliflora (Vahl) Blume
自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2020「準絶滅危惧」
#キクモ 海老名市大谷産 2021/08/28
水田ないし池や沼の浅いところに生える多年草。種子植物なので藻類(そうるい)ではないが、広い意味での藻(水辺に生える植物全般)、要するに水草の一種。基本的には浅い水底の泥の中に根を張り、茎はだらだらと水底を這うように漂い、水面から上はくいっと直立して水上に出現する、という姿になる。土中にランナー(走出枝、ストロン・匍匐茎 ※当サイトでは両者を厳格には区別せずランナーと呼ぶ)を伸ばすのである程度は群生する。田んぼで見かけるものはやけに小振りで育ちの悪いものが多い。イネ(稲)や他の水田雑草より背丈が低いので、十分な日照を得られていないのかもしれない。あるいは中干しの影響か。あるいは濁って見づらい水中で茂っているか。ある程度深い水の中では水中葉が発達し、ぜんぜん違った姿となる。水中葉は糸のように細く裂けて、もさもさ茂る。アクアリウムをやっている人にはこちらの姿の方が見慣れているかも。アクアリウム用水草としては、リムノフィラないしアンブリア(Ambulia)、あるいはキンギョモ(金魚藻)の名前で流通している。但しこれらの正体は必ずしもキクモとは限らない。外国産のセイヨウキクモ(西洋菊藻、学名/Limnophila heterophylla)なども出回っている。日本在来種のキクモは、茎が(日差しの影響かもしれないが)赤みを帯びる傾向があり、白っぽい毛が多く生える。となると、アクアリウム用水草としてはあまり美しくないか。水上の草丈は20cm程度まで。神奈川県内では県央地域を中心に田んぼに自生あり。湘南・鎌倉・三浦半島では(水田そのものも減少しており)あまり見かけない。
田んぼに生えたキクモ(周囲はヒルムシロか) 海老名市大谷 2020/09/04
成長途上の#キクモ(周囲の葉はヒシ) 海老名市大谷産 2021/07/20
#キクモ 海老名市大谷産 2022/08/15
#キクモ 海老名市大谷産 2021/08/28
#キクモ 海老名市大谷産 2021/08/28
#キクモ 海老名市大谷産 2021/09/13
水上葉はマーガレットを思わせる形状。
#キクモの葉(水上葉) 海老名市大谷産 2021/09/13
田んぼに生えたキクモ(周囲の糸葉は水中葉) 海老名市大谷 2020/09/04
キクモの花
葉腋(ようえき)に一つ咲く。ちっちゃいトレニアの花みたいな形状で、花冠はぱっとは全開しない。花色は、紫(ピンク)。花柄(かへい)はなく、萼には毛が生える。花柄(果柄)があり、茎や萼に毛が多く生えていなかったら、コキクモ(小菊藻)の可能性。神奈川県内に自生はないが、栽培ものの逸出が今後現れる可能性。
#キクモ 海老名市大谷産 2021/09/13
#キクモ 海老名市大谷産 2021/08/28
#キクモ 海老名市大谷産 2021/08/28
#キクモ 海老名市大谷産 2021/09/13
株全体が水中に沈んでいる状態では、閉鎖花を付けて実を結ぶらしい。
キクモの実
花のあと、葉腋にて膨らむ。果柄はない。
#キクモの実 海老名市大谷産 2020/10/27
横浜市戸塚区・舞岡公園
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
海老名市に住む森田と申します。海老名市内の自然に興味があって、日常から海老名耕地や相模川河川敷を徘徊しております。実は本日(2023年9月20日)、中新田の田んぼで、初めてこの「キクモ」の花を見付けました。オオフサモに似ている水生植物が生えていることは数年前から認識していましたが、花が咲いているので驚きました。一旦帰宅し、カメラを持って花の撮影に出かけ、写真を整理しながらインターネットで、この植物の名前を調べていて、このサイトにたどり着き、さらに驚いたのは、写真のコメントに「海老名市大谷産」とあったことです。思わずコメントを書き込んでしまいました。ありがとうございました。