田虫葉 モクレン目/モクレン科/モクレン属 花期/3月末~4月上旬
薬用改良種稀少
#タムシバ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/04/08
コブシ(辛夷)の説明で必ず名前を挙がるのがタムシバ。確かに両者は花がそっくり。「コブシの花には一枚葉が付属し、タムシバの花には葉が付かないことで見分けられる」という解説が定型文だが、この他に、タムシバの花は緑色の枝に付く(コブシの花は茶色の枝に付く)、タムシバの雄蕊先端が赤い、といったあたりも見分けポイントとなる。開花時期も遅く、コブシの花が終わってすっかり傷んだ頃になってようやく、タムシバは花を開き始める。日本固有種。
#タムシバ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/04/08
蕾は明るい黄緑色をしているものの、花開くと色は薄れて白っぽく変わる。コブシに見られる花弁外側の赤紫色の筋(すじ)模様は、タムシバにはない。
#タムシバ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/04/08
#タムシバ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/04/08
タムシバの花には爽やかで良好な芳香があるため別名ニオイコブシ(匂辛夷)とも。葉は花のあとに出るが、噛むとキシリトールのような甘味を感じるとか。タムシバという名はカムシバ(噛む柴)から転じたものといわれている。
#タムシバ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2017/04/08
タムシバは主に日本海側の寒冷な山地に分布し、神奈川県に自生はない。県内平地は比較的温暖なためおそらく生育には環境が不向き。従って社寺境内や公園などに植えられていることもない。神奈川県内でタムシバらしきものを見かけたらそれはコブシであると即断して不都合ない。私の知る限りでは、神奈川県近郊でタムシバを見ることができるのは東京都小平市にある東京都薬用植物園だけ。
コブシとタムシバの交配種とされている園芸品種’ワダズメモリー(Wada’s Memory、ワダスメモリー、東北弁ではなくシャクナゲ(石楠花)育種家として著名な和田弘一郎氏に因む名前)’がタムシバないしニオイコブシとして植栽されていることが稀にある。爽やかな甘い芳香が強いのが特徴。ワダズメモリーの花にはコブシのように葉が付属する。
東京都小金井市・#JR中央本線「武蔵小金井」駅北口(シルクロード五番街にワダズメモリーの並木)、#東京都薬用植物園(ロックガーデン中央に低木あり、生育やや不良、花も葉も近くで観察できない・香りも試せない、3月末~4月上旬)、横浜市金沢区・#金沢自然公園(平成25年度(2013)「横浜市動物園年報」に3本ありと記載、平成29年(2017)なんだろ坂に2本確認=1本には「タムシバ」との樹名板あるがアメリカ産園芸種’イユーファー(Iufer)’、1本は詳細不明・花付き極めて不良)
大船フラワーセンター(なし)、#花菜ガーデン(「往にし方の小庭(いにしえのこにわ)」の水のパーゴラ付近にワダズメモリー1本=生育やや不良・平成26年(2014)花芽なし・平成29年(2017)開花あり・令和2年(2020)枯死近し=花期普通・一斉に満開しない、令和5年(2023)植え替え=花数大量・但し花はぐったり美しからず・同年初夏に枯死・抜根、同所にアップライト1本)
相模原公園(りりちゃん橋周辺にあったという古い情報あり、平成29年(2017)ないとの回答・現地確認したがやはりなし)、麻溝公園(平成29年(2017)ないとの回答)、厚木市・神奈川県自然環境保全センター(存在したという古い情報あり、平成29年(2017)ないとの回答)
参考資料
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)
>野生のタムシバでしょうか。神奈川県南部にないんですよね。見てみたいものです。
当地の谷津(丘陵)の大半は、
私有地なので(行政かJAなどでの)「苗木の頒布」なのではと思われます。
しかし、所有者の当代家族は実情を全く知りません。
タムシバは、
4/9(日)の朝には花を一片も残さずに散らした名残でした。
開花時に見なければ、何の木だったのかさえ分からないほどのありさまです。
来年は、ご一報申し上げます。
谷津に散在する「コブシ」は、いち早く開花し、春を実感しました。
モノトーン調の情景に出現した「サラサモクレン」は、薄ピンク色の花ゆえに、目を引きました。
草木に彩りが溢れてきた頃に開花した「タムシバ」は、存在感が希薄で、バスに乗り遅れた感を帯びていたような…。
たちまちに萌木色に包まれています。
ところで、
今朝、そのタムシバの手前の脇に直立していた高木(樹高8㍍ほど)が花を付けた!
ナツツバキだと思っていたが、「カリン」だった!
身近に、不思議がいっぱいです。