タカトウダイ

高燈台 キントラノオ目/トウダイグサ科/トウダイグサ属 花期/6月~7月

有毒薬用自生種稀少保護

タカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/07/15

タカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/07/15

林縁部や明るい草地に生える多年草。トウダイグサ(燈台草)の仲間で、夏本番の到来と共に出現するもの。茎は立ち上がり、名前の通りなかなかの背高に成長する。なお燈台(灯台)は航海の安全を守るために漁港突端などに設置されている航路標識のことではなく、夜間に明かりを灯すための燭台(しょくだい)などの道具をいう。湘南・鎌倉・三浦半島の海辺を除く地域で初夏にそれらしきものを見かけたらおよそタカトウダイだろう。自然が多めに残っている地域に少なからず自生があるような話を聞いたことはあるが、はて、それはどこぞにあるものか。人目に触れる草地ではおそらく夏恒例の刈払いで選別されることなく一切合切刈り倒されてしまうだろう。市街地周辺では見かけない。

タカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/07/15

タカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/07/15

タカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

タカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

目を凝らして葉をよくよく見れば細かい鋸歯が確認できる。

タカトウダイの葉 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

タカトウダイの葉 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

ナツトウダイ(夏燈台)なる名前が紛らわしい近似種あるが、夏に咲くのはナツトウダイではなくタカトウダイの方。腺体の形状がまったく異なるので混同することはない。全体的な姿も異なり、一本の茎を上に上に伸ばして背高になるのがタカトウダイ、背丈が低くもこもこっと群生しているかのような姿になるのがナツトウダイである。タカトウダイの海岸型にハマタカトウダイ(浜高燈台)というものも。

タカトウダイの花

トウダイグサ科独特の杯状花序(はいじょうかじょ)と呼ばれる形態の花が咲く。雌性先熟(しせいせんじゅく)。うっすら黄緑色に変色している花びらのようなものは苞(ほう、苞葉)と呼ばれる葉っぱ。光沢ある小さな、もしかしたらこれが花弁かと思しき四個の楕円形は腺体(せんたい)と呼ばれるもので、虫をおびき寄せるためのもの。花弁はない。腺体に囲まれた部分にあるいぼいぼ突起の球体は子房(しぼう、実になる)で、その先端からニ裂する三本の花柱(かちゅう)が突き出る(雌性期)。受粉が済むと、子房の柄(え)が直角に折れ曲がって脇へ避ける。すると数本の雄蕊が生え出てくる(雄性期)。用が済んだ古い腺体はオレンジ色に変色する。

タカトウダイ 鎌倉中央公園 2018/07/08

タカトウダイ 鎌倉中央公園 2018/07/08

若いタカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

若いタカトウダイ 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

タカトウダイ、雄性期か 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

タカトウダイ、雄性期か 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

花序の枝はぴーんと長く伸びて、花が広範囲に飛び散って見える。ハマタカトウダイの枝が短いので花が密集して見える。

タカトウダイ、黄色い腺体は雄花だったか 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

タカトウダイ、黄色い腺体は雄花だったか 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/06/25

タカトウダイ 鎌倉中央公園 2018/07/08

タカトウダイ 鎌倉中央公園 2018/07/08

苞が異様に黄色かったら湿地性のノウルシ(野漆)である可能性。ただし神奈川県内では既に絶滅し自然界にはなく、箱根湿生花園などでわずかに栽培されているのみ。花期も異なる。

タカトウダイの実

突出して膨らんだ子房が実。一時的に下垂するようだが、その後直立する。実の表面は無毛で、疣(いぼ)のような小突起が多数ある。

タカトウダイ 鎌倉中央公園 2018/07/08

タカトウダイ 鎌倉中央公園 2018/07/08


横浜市緑区・四季の森公園、横浜市戸塚区・舞岡公園

鎌倉中央公園(田んぼ周辺)

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