シュロソウ

棕櫚草 ユリ目/シュロソウ科/シュロソウ属 花期/7月末~9月中旬
学名/Veratrum maackii Regel var. reymondianum (O.Loes.) H.Hara

有毒

神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧II類」

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

主に山地の少し湿った林床に生えるやや大型になる多年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。変異が出やすく、葉の長さや幅に違いが感じられたり、花の色が違ったり、そういったものは変種としてなんちゃらシュロソウ等の名前が付けられ呼び分けられることがある。草丈は『神奈川県植物誌2018』によれば30~90cm。但し実際にはシラヤマギク(白山菊)と同等の1.5m程度までひょろっと背高に伸長するものがある。神奈川県内では、横浜市北部、相模原市北部、あるいは丹沢や箱根といった山地に多からず分布。湘南・鎌倉・三浦半島には自生なく、栽培もされていない。季節柄仕方ないことではあるが、葉は傷み、花はアオバハゴロモ(青羽羽衣)あたりが出す白い蝋物質やクモ(蜘蛛)の巣にまみれ、背高に伸びた茎はオニドコロ(鬼野老)などが絡みつくわ台風で傾くわで、お世辞にも美しいとはいえない個体が多く、見栄えはいまいち。毒草として有名なバイケイソウ(梅蕙草)の仲間。

シュロソウの開花し始めた密生 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの開花し始めた密生 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

開花中のシュロソウ 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

実が出来始めたシュロソウ 箱根湿生花園 2024/09/24

実が出来始めた#シュロソウ 箱根湿生花園 2024/09/24

実が出来始めたシュロソウ 箱根湿生花園 2024/09/24

実が出来始めた#シュロソウ 箱根湿生花園 2024/09/24

葉は、ぱっと見た感じでは根生葉(こんせいよう)のように見えないでもないが、茎の下方に集中して生えた茎生葉(けいせいよう)である。上の方へ行けば行くほど葉は細く線状になる。茎下部のやや幅広な葉は、見たところ季節外れのエビネ(海老根)かしゃきっとしてないシラン(紫蘭)か何かか、いずれにせよランの仲間ではなかろうか、といった印象を受けるだろう。ランの仲間ではないが。シュロの幼株の葉もなんとなく似ている。葉が細いものは変種ホソバシュロソウ(細葉棕櫚草)という。神奈川県内では山地に分布あり。やや小型、花序がやや貧弱、『神奈川県植物誌2018』は葉の幅が3cm以下のものとしている。

シュロソウの葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの葉 箱根湿生花園 2024/09/24

#シュロソウの葉 箱根湿生花園 2024/09/24

シュロソウの茎中部の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎中部の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎下部の葉 箱根湿生花園 2024/09/24

#シュロソウの茎下部の葉 箱根湿生花園 2024/09/24

シュロソウの茎下部の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎下部の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎下部の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎下部の葉 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

参考)シュロの幼株 大和市・泉の森 2025/08/15

参考)シュロの幼株 大和市・泉の森 2025/08/15

茎の基部に、まるでシュロの木の幹を覆うシュロ毛のような繊維があるらしい。牧野富太郎博士は、シュロソウという名は古い葉の鞘(さや)がシュロ毛のような繊維状の姿になって残ることに因むと述べて、茎の下部(最下の葉よりも下部)が毛むくじゃらな絵図を付している。『神奈川県植物誌2018』も’基部はシュロ状の繊維がある’と記載。多くの資料にそういった話が出て来ることは承知しているものの、命名のきっかけになるほど立派なシュロ毛の現物は見た例(ためし)がない。

シュロソウの茎の基部 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎の基部 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの茎の基部 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの茎の基部 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの茎の基部 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの茎の基部 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの茎の基部に残る繊維 横浜市緑区・四季の森公園 2024/09/05

シュロソウの茎の基部に残る繊維 横浜市緑区・四季の森公園 2024/09/05

シュロソウの茎の基部 箱根湿生花園 2024/09/24

#シュロソウの茎の基部 箱根湿生花園 2024/09/24

シュロソウの茎の基部 箱根湿生花園 2024/09/24

#シュロソウの茎の基部 箱根湿生花園 2024/09/24

シュロソウの花

花色は、コバノカモメヅル(小葉の鴎蔓)のような暗紫褐色(あんしかっしょく、暗い感じのやや紫がかった茶色)。花には小さなハエ(蠅)が多く寄って来る。

シュロソウの蕾 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの蕾 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花のサイズ感 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花のサイズ感 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

『神奈川県植物誌2018』に’花は径1cm以下’とあるも、県内の丘陵地で見かけたシュロソウの花径は1.5cm近くあった。1cmないし1cm弱という話は他にもちらほら耳にするので、山地では小さくなるとか地域差があるのかもしれない。

シュロソウの花径(1.5cm) 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの花径(1.5cm) 秦野市・葛葉緑地 2024/08/21

シュロソウの花の裏側 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花の裏側 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花序の細かな毛が多い軸 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

シュロソウの花序の細かな毛が多い軸 横浜市緑区・四季の森公園 2024/08/19

花が緑色のものは変種で、アオヤギソウ(青柳草)という。

シュロソウの実

シュロソウの若い実 箱根湿生花園 2024/09/24

#シュロソウの若い実 箱根湿生花園 2024/09/24

シュロソウの若い実 箱根湿生花園 2024/09/24

#シュロソウの若い実 箱根湿生花園 2024/09/24


東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター、東京都調布市・#神代植物公園(築山)、東京都調布市・#野川公園(自然観察園)、東京都八王子市・片倉城跡公園(片倉沢)、横浜市南区・#横浜市こども植物園(野草園)、横浜市緑区・四季の森公園(里山林内=里山の北口広場側登り口階段沿い・そのじゃぶじゃぶ池側の林内)

秦野市・葛葉緑地(くすのき広場)、#箱根湿生花園(岩場植物区の滝の向かいの園路沿い)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『牧野 日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)

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