シモツケソウ(キョウカノコ)

下野草(京鹿子) バラ目/バラ科/シモツケソウ属 花期/5月下旬~6月中旬
学名(シモツケソウ)/Filipendula multijuga Maxim. var. multijuga
学名(キョウカノコ)/Filipendula purpurea Maxim.

改良種

キョウカノコ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

#キョウカノコ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

シモツケソウは、山内(さんない)の草地や林縁に生える多年草。神奈川県内では丹沢や箱根に自生がある。キョウカノコはキョウガノコともいい、古い時代から栽培されているもので、”シモツケソウの園芸種”という位置づけがされることもあるが、”シモツケソウとコシジシモツケソウ(越路下野草)の交雑種”と考えられている。キョウカノコは人為的に栽培されているものだけが知られており、山野にはない。両者の見た目はよく似ていて、シモツケソウ自体に変化が大きいこともあって、(山奥に生えているシモツケソウを採ってきてキョウカノコと並べて花壇に植えれば何らかの違いが顕在化するのかもしれないがそうもできないので、)見分けは困難だろうと思われる。キョウカノコも古くから栽培されているものと最新の品種では形態がかなり変わっているものと推測される。公園や鎌倉の寺境内あるいは民家の庭などに植栽されているものは、山に生えていて扱いが比較的難しいだろう植物をわざわざ植える必要もふつうはないので、キョウカノコの方であろう。が、そのキョウカノコにシモツケソウと思しき特徴が表れていたりもする。結局のところ、明確な線引きはできないでいる。違いを平たくいえば、人に栽培されてきたキョウカノコの方が見栄えが優れる、ということ。具体的には、全体的に大型で、花序が大きかったり、花色のピンクが濃かったり、葉の鋸歯が小さめでおとなしく感じられる、など。またキョウカノコの側小葉は極端に小さくて数も少ない。逆にシモツケソウは葉の形状が野性味溢れており、鋸歯がやや深めにも入ることで尖って荒々しく見え、側小葉はしっかりとした大きさのものがある、といった違いあり。ただし、判断に窮する中間的なものもある。苞葉(ほうよう)の形状も違うとかどうとか聞くが、そこまで確認できない場所に植栽されていることもままあるのでここでは触れない。※本頁では、基本的に両者を区別せずシモツケソウ(キョウカノコ)とするが、どちらかであることを明示して植栽しているものは原則としてそれに従い、どちらかの性質が顕著に表れているだろうものは独自に判断して掲載する。湘南・鎌倉・三浦半島に自生なし。やや希に植栽されることがある。

シモツケソウ 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#シモツケソウ 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

シモツケソウ(キョウカノコ) 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

#シモツケソウ(キョウカノコ) 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

キョウカノコ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

#キョウカノコ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

#キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

葉は、大きなカエデ(楓)のような掌状(しょうじょう)。に見えるが、それは頂小葉で、葉柄(ようへい)に小さな側小葉が付くので、正確には奇数羽状複葉である。頂小葉だけが異様に大きくよく目立つ。

シモツケソウの模範的と思われる葉と側小葉 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

#シモツケソウの模範的と思われる葉と側小葉 横浜市南区・こども植物園 2021/06/12

シモツケソウの(鋸歯がおとなしめな)葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#シモツケソウの(鋸歯がおとなしめな)葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

シモツケソウ(キョウカノコ)の葉 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

#シモツケソウ(キョウカノコ)の葉 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

シモツケソウ(キョウカノコ)の葉柄と側小葉 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

#シモツケソウ(キョウカノコ)の葉柄と側小葉 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

キョウカノコの(ちょっと鋸歯は粗い)葉 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

#キョウカノコの(ちょっと鋸歯は粗い)葉 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

キョウカノコ(白花)の葉 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

#キョウカノコ(白花)の葉 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

シモツケソウの大きな側小葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#シモツケソウの大きな側小葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

シモツケソウの(鋸歯がおとなしめな)葉と側小葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#シモツケソウの(鋸歯がおとなしめな)葉と側小葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

キョウカノコ(白花)の側小葉がなくなった葉柄 藤沢えびね・やまゆり園 2022/04/23

#キョウカノコ(白花)の側小葉がなくなった葉柄 藤沢えびね・やまゆり園 2022/04/23

キョウカノコ(白花)の側小葉(白色矢印)がほぼ完全になくなった葉柄 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

#キョウカノコ(白花)の側小葉(白色矢印)がほぼ完全になくなった葉柄 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

側小葉がやたら大きな品種をハコネシモツケソウ(箱根下野草)、痩果(そうか)に縁毛(えんもう)ある変種をアカバナシモツケソウ(赤花下野草)と呼び分けることがある。どちらも野生種なので、県内では丹沢や箱根にあるのみ。

シモツケソウの花

花色はふつう濃いめのピンク。白花のものも。キョウカノコという名は、花序の姿が”鹿の子絞り”という染め物の紋様に似ていることから。見頃は5月末~6月初旬。頂芽(ちょうが)に付く大きな花序は一歩先んじて咲いて(側芽の花はまだ蕾)先に咲き終わりがち、株全体の満開を待っていると中心部だけ傷んでいるという状態に。

シモツケソウ 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#シモツケソウ 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

シモツケソウ(キョウカノコ) 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

#シモツケソウ(キョウカノコ) 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

シモツケソウ(キョウカノコ) 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

#シモツケソウ(キョウカノコ) 鎌倉市・海蔵寺 2018/06/02

キョウカノコ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

#キョウカノコ 鎌倉市・光則寺 2022/06/02

キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

#キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

#キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

#キョウカノコ(白花) 藤沢えびね・やまゆり園 2022/05/30

ほぼ同時期に花を見かける公園に多々植栽されているそれっぽいものは、草本ではない樹木のシモツケの方だろう。シモツケソウとシモツケはまったく別の植物なので注意が必要。シモツケソウ(キョウカノコ)とシモツケは葉の形状がまったく異なるので見分けは容易。クサシモツケ(草下野)といったらシモツケソウを指す。


シモツケソウ

横浜市南区・#こども植物園(野草園)

#海蔵寺、#円覚寺松嶺院(キョウカノコも

厚木市・#荻野運動公園野草園(鋸歯おとなしめ)、#箱根湿生花園(6月10日頃、コシジシモツケ・オニシモツケ・シモツケソウも)

キョウカノコ

#光則寺(鋸歯は粗め)、#円覚寺松嶺院(シモツケソウも

#収玄寺(鋸歯は粗め、やや早咲き)、#藤沢えびね・やまゆり園(暗めの林床に白花、コシジシモツケソウも)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

シモツケ