竜脳菊 キク目/キク科/キク属 花期/10月下旬~12月上旬
学名/Chrysanthemum makinoi Matsum. & Nakai
薬用自生種稀少保護
#リュウノウギク 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
多年草。ノギク(野菊)と総称されるものの一種。(本サイトが定義するところの)ノギクはシオン属に分類されるものがほとんどで、湘南・鎌倉・三浦半島で自生が見られるキク属のノギクは本種のみである。シオン属に比べて、花期が明らかに遅い、葉の形状が明らかに異なる。神奈川県内では広域でちらほら見かける普通種という扱いにはなろうが、湘南・鎌倉・三浦半島ではそこかしこに生えているものでなくちょっとばかり希少。『神奈川県植物誌2018』には”乾いたススキ草原や岩場などに生える”とある。実際に目にしたものは、乾燥気味な林縁部、林縁部の湿った岩崖、に生えていた。全草柔らかくて細かい毛が密に生えており、葉はベルベット状なので触るとふかふかしていて気持ち良い。名は、葉を揉んで嗅ぐと、竜脳という、東南アジア原産のリュウノウジュ(竜脳樹)なる木から採れる香料に似た香りがすることから。クスノキ(楠、樟)由来の樟脳(しょうのう、昭和時代(-1989)に使われた防虫剤のにおい)にも似ているという。確かに爽やかに良く香る。
岩崖に生えたリュウノウギク 三浦市菊名・水間神社(みずま-)付近 2020/11/13
岩崖に生えたリュウノウギク 三浦市菊名・水間神社付近 2020/11/13
#リュウノウギク(支柱で茎枝を立てたもの) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/09
#リュウノウギク(支柱で茎枝を立てたもの) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
#リュウノウギク(支柱で茎枝を立てたもの) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
#リュウノウギク(支柱で茎枝を立てたもの) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/09
葉は濃いめの緑色で、掌状(しょうじょう)に一回ないし二回およそ中裂し、さらに鋸歯が少し入る。ということで、(花期の遅さと併せて)他の(シオン属の)ノギクとは見分けは簡単。しかし今度はイエギク(家菊)(の白花を咲かせる小菊)とほぼ同形なので紛らわしい。リュウノウギクの葉裏は緑一色(で、表面に白色のクモ毛が密生)ながら、イエギクの葉裏は葉脈が少し白っぽく見える(ものがある)、という違いあり。加えて、全体的な姿(茎が直立する力の弱さ)、総苞片の形状、あたりから総合的に判断する。葉を揉んだ香りは、イエギクにもリュウノウギクに似た芳香がある。
リュウノウギクの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
#リュウノウギクの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
リュウノウギクの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
#リュウノウギクの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
生育不良なリュウノウギクの葉 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10
#リュウノウギクの葉裏 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/09
#リュウノウギクの茎下部の花期には傷んだ大きく深めに裂けた葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
リュウノウギクはノジギク(野路菊)に似ている、という定型文に惑わされがちだが、ノジギクは西国に自生があるのみ。特殊な植物園や余程の好事家(こうずか)でもない限り栽培する理由も見当たらない。従って湘南・鎌倉・三浦半島ではまず見かけないだろうものとして無視してしまって問題ないだろう。葉裏の葉脈が白からず、総苞片が幅広で先端が揃っていなければ、ノジギクである可能性も。
対して、イソギク(磯菊)のように葉に白色の縁取りがあるリュウノウギク類似のノギクは見た目がかわいらしいのでまま栽培される。葉が三中裂であればノジギクの変種にして四国の海岸に自生するアシズリノジギク(足摺野路菊)、羽状に五裂であれば九州の海岸に自生するサツマノギク(薩摩野菊)だろう。
茎は細く、柔らかめで頼りない。直立する力は弱く、しゃきっと自立せず、倒れて荒れる。イエギクよりも更に、明らかにへなへなよれよれ。雨が降ると水を含んだ葉の重さに耐えられず全体的にぐったりうなだれ、枝は基部から折れかねない。という性質から想像するに、自然界では傾斜地ないし岩崖からだらりと垂れ気味に生える姿が典型的なのかもしれない。
#リュウノウギクの茎上部 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
#リュウノウギクの茎上部 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
#リュウノウギクの茎中部 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
#リュウノウギクの茎中部 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
リュウノウギクの花
他のシオン属のノギク類より明らかに大きく、頭花(頭状花序)の直径はまちまちで3cm~5cm。花弁(のように見える舌状花)は白。いわゆる白花の小菊といった感じの花。咲き進むとピンク色を帯びてくる。全体的に花数さほど多くなし。冠毛はない。開花はシオン属のノギクがほぼ咲き終わりかけてから、イエギクと同時期。見頃は11月上旬遅め。
#リュウノウギクの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2021/10/25
#リュウノウギクの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/15
#リュウノウギクの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/15
#リュウノウギクの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/15
#リュウノウギクの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/15
#リュウノウギク 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
#リュウノウギク 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/16
#リュウノウギク 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/09
#リュウノウギク 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/09
リュウノウギク 三浦市菊名・水間神社付近 2020/11/13
総苞(そうほう)は扁平。総苞片はカワラノギク(河原野菊)ほどではないにせよ細めで、外片と内片の先端がしっかり揃う。総苞すぐ直下に付く小さな葉も、軽く三裂しようとする傾向が見られる。
#リュウノウギクの総苞 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/13
#リュウノウギクの総苞 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/09
リュウノウギクの総苞 三浦市菊名・水間神社付近 2020/11/13
横浜市南区・#こども植物園(薬草園)、横浜市戸塚区・#舞岡公園(小谷戸の里)
鎌倉中央公園、高麗山公園
最後は自家栽培ですか。
自家栽培する株の入手は、どうなっているのですか?
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