河原野菊 キク目/キク科/シオン属 花期/10月中旬~11月中旬 結実期/12月上旬~中旬
学名/Aster kantoensis Kitam.
自生種稀少保護
環境省レッドリスト「絶滅危惧II類(VU)」
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
名前の通り河川中流域の日当たりの良い砂礫地(されきち)という特殊な場所に生える野生のノギクの一種で、一年草(越年草)。草丈は個体差大きいがおよそ人の膝(ひざ)から女性の背丈未満、大体1m前後といったところ。分布は全国でも、栃木県・鬼怒川(きぬがわ)、東京都/神奈川県・多摩川、神奈川県・相模川、静岡県・安倍川など、ごく限られた場所しかない。神奈川県内でも純粋な自生地といえるのは現在は相模原市緑区小倉(おぐら)の相模川くらいだといわれており、他の自生地は人為的に移植し保護活動が行われているところのものである。公園や植物園、鎌倉の寺境内等で栽培されることまずもってなし、園芸店で売られていることなし。
咲き始めのカワラノギク圃場(下半分) 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
満開のカワラノギク圃場(背景は富士山と大山) 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
満開のカワラノギク圃場(背景は大山) 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
満開のカワラノギク圃場(背景は大山) 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
満開のカワラノギク圃場 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
貧相なカワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
生育は砂礫地でないとだめ。大石がごろごろしているだけではだめ、土でもだめ、他の植物がわしゃわしゃ茂っているような場所は嫌い、等々、希少種らしく好みにうるさいので環境保全が難しい。乾燥に弱いので水分を保持できる多くの丸石が必要なのだが、相模川では上流にダムが建設されて生育環境は激変、人間の生活は安全なものとなったが、増水が減って生育に必要な丸石や水分が供給されなくなってしまった。逆に、近年の地球温暖化に伴い問題となっている爆弾低気圧による度を越した猛烈な増水害で、逆に生育地が洗われカワラノギク自体も砂礫も流され失われてしまうといった被害が発生している。現状としては、徹底した人為的な保護を継続して受けないと、絶滅しかねない状況といえる。環境を整えて移植して柵で囲ったらあとは自然に任せる、という態度を取るとたちまち荒れて大型台風で根絶してしまう危険あり。年により、花が咲いている咲いていない以前にろくずっぽ生えてさえいない、なんていう悲惨な光景を目にすることも。河川敷に入り込む自動車(四輪駆動車や河川の工事車両)に踏み荒らされる、イネ科の外来種シナダレスズメガヤ(撓垂雀茅)が繁茂し生育地が侵略されている、等の問題も。
砂礫地に生えるカワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
結実期のカワラノギク(背景は富士山と大山) 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
茎生葉(けいせいよう)が特徴的で、強い日差しと乾燥に耐えられるような細くてやや短めな線形。混同しかねない葉にヤマジノギク(山路野菊)あり。但し生育地は河原でなく、分布域も東海以西の関西地方なので神奈川県内に自生なし。舌状花の冠毛が1mm程度しかない点で、5mm近くあるカワラノギクと区別する。
カワラノギクの茎上部の葉 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
カワラノギクの茎上部の葉 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
カワラノギクの茎中部の葉 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
カワラノギクの開花時期の茎下部 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギクの花
頭花はノギクらしい形状。直径は3.5~4cmで、十分見栄えのする花。花色は淡い紫色からほぼ白色、ときに明瞭な紫色。見頃は10月末から11月初旬にかけて。
カワラノギクの蕾 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
カワラノギクの蕾 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
カワラノギクの蕾 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/10/11
カワラノギクの蕾 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギク 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギクの総苞 寒川町・相模川・神川橋下流 2020/11/05
カワラノギクの実
カワラノギクのちょうど熟した実 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
カワラノギクの熟した実 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
カワラノギクの熟した実 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
カワラノギクの熟した実 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
カワラノギクの熟した実 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
砂礫地のためか、越冬用の子株はロゼットと呼ぶには少し背高に伸びた状態。
カワラノギクの結実期にある越冬ロゼット 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
カワラノギクの結実期にある越冬ロゼット 寒川町・相模川・神川橋下流 2021/12/15
東京都小平市・#東京都薬用植物園(温室前にヤマジノギク園芸種(紫花))、東京都調布市・#神代植物公園(植物多様性センターに少々)
寒川町一之宮・相模川(神川橋下流東岸にカワラノギク圃場、11月初旬に「カワラノギクを相模川神川橋下の河原に見に行こう」開催、平成27年(2015)荒れ、令和2年(2020)・令和3年(2021)再整備が功を奏して状況良好、毎月第3日曜日 さむかわエコネットによる圃場整備)
愛川町田代・中津川(田代運動公園上流の河川敷にカワラノギク圃場、11月初旬に「カワラノギク鑑賞会」)、厚木市・酒井スポーツ広場、海老名市・相模三川公園(さがみさんせん-)上郷河原野菊園、相模原市緑区小倉・相模川(津久井湖下流の市立湘南小学校東側河原「カワラノギクのふるさと」、周辺立入は湘南小の要許可、10月下旬「カワラノギクを守る会」主催花見会、11月下旬 湘南小学校主催花見会)、#相模原市立博物館(駐車場にプランター)
湯河原町・幕山公園(ヤマジノギク移入)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
カワラノギクは初めて聞く品種。
寒川は、宮山駅~寒川神社しか歩いたことがありませんが、一つ手前の寒川駅で降りて、神川橋の方向へ行けば見られるのですね。