長柄小蜜柑草 キントラノオ目/コミカンソウ科/コミカンソウ属 花期/7月中旬~8月 結実期/8月下旬~9月
外来種駆除
ナガエコミカンソウ 大磯城山公園 2018/09/18
アフリカ南部の東方沖(インド洋)にあるモーリシャスなどのマスカリン諸島が原産という一年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。世界各国に帰化しているらしく、貿易相手国である北米や台湾などを経由して日本へも入って来たか。近年勢力を拡大させているようで、湘南・鎌倉・三浦半島では市街地の道端などで帰化雑草としてちょくちょく見かける普通種に。
ナガエコミカンソウ 鎌倉市・光則寺 2019/08/27
ナガエコミカンソウ 鎌倉市・光則寺 2019/08/27
全体的な姿は近似種のコミカンソウに似る。生育状態によって、草丈は人の足首から膝(ひざ)程度。葉の形状が異なり、また名前の由来ともなった長い柄(え)を持つ実が目立つのでコミカンソウと混同することはないか。コミカンソウ同様に、よく見れば葉は対生ではなく互生している。
ナガエコミカンソウの良く成長した株の葉 茅ヶ崎市円蔵 2018/08/10
ナガエコミカンソウの良く成長した株の葉 茅ヶ崎市円蔵 2018/08/10
日陰にある育ちの良くないものは特にコミカンソウ体形になる。
小柄なナガエコミカンソウ 大磯城山公園 2018/09/18
ナガエコミカンソウの花
花は枝の下側で下向きに、葉に隠れるようにして咲く。従って、人間目線からは(枝葉をめくってみない限り)花の有無は確認できない。雌花は枝全体に付く。黄色い葯(やく)がある雄花は柄(え)が短め。いずれにしても花は小さすぎて、肉眼では”白っぽい花のようなものがあるなぁ”くらいにしかわからない。
ナガエコミカンソウ 鎌倉市・光則寺 2019/08/27
ナガエコミカンソウの雄花 鎌倉市・光則寺 2019/08/27
なかなか冷え込まない年は秋深まって(11月下旬~12月上旬)からも若々しい株が現れ、花を咲かせて実を付ける。夏に刈られたものが亡霊のように復活したのかもしれない(しつっこい外来帰化種にありがちな性質)。
ナガエコミカンソウの実
実は枝の上部に出てくるため、人の目線からでもすぐに見つけることができる。コミカンソウの仲間としては明らかに長すぎる果柄(かへい)を有するのが最大の特徴。実には毛や突起はなく、つるっとした表面をしている。
ナガエコミカンソウの若い実 茅ヶ崎市円蔵 2018/08/10
ナガエコミカンソウの若い実 茅ヶ崎市円蔵 2018/08/10
実が葉の上側に姿を現してこず、枝から下に垂れるばかりのものがある。
ナガエコミカンソウの下垂型の実 茅ヶ崎市矢畑 2019/09/06
ナガエコミカンソウの下垂型の実 茅ヶ崎市矢畑 2019/09/06
つるっとした実が枝の下方に付いていて柄が短かったら熱帯アメリカ原産のキダチコミカンソウ(木立小蜜柑草)の可能性。神奈川県内にはまだ広まっていないようであるが。
光則寺(庫裏玄関周辺)、大磯城山公園(山野草花壇)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
確かに、日当たりの悪い、所に涼しげに、葉には小さい粒を付けて咲いていたので、空いてる鉢の隅に植えたら、先住の花を押し退けて大きく育ちました。小さい花が付くのを期待したのですが、残念です。