コオニタビラコ

小鬼田平子 キク目/キク科/ヤブタビラコ属 花期/3月~5月 結実期/4月~6月中旬
学名/Lapsanastrum apogonoides (Maxim.) Pak & K. Bremer

自生種

コオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

コオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

主に田んぼに生える一年草(越年草)。春の、まだ水が引き込まれていない、田起こしもされていない、そんなしばらく放置されている田んぼに、小指の爪(つめ)くらいの小さなタンポポ(蒲公英)みたいな黄色花が咲いていたら、それはおよそこのコオニタビラコか近似種のヤブタビラコ(藪田平子)であろう。湘南・鎌倉・三浦半島で、田んぼがある場所ではどうということのない普通種の水田雑草。

春の田んぼの畔に生えたコオニタビラコ(青花はオオイヌノフグリ) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/03/03

春の田んぼの畔に生えたコオニタビラコ(青花はオオイヌノフグリ) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/03/03

春の田んぼに生えたコオニタビラコ(黄色花) 寒川町田端 2020/03/12

春の田んぼに生えたコオニタビラコ(黄色花) 寒川町田端 2020/03/12

田んぼの水路周辺に生えたコオニタビラコ(黄色花のほとんどすべて) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

田んぼの水路周辺に生えたコオニタビラコ(黄色花のほとんどすべて) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

一斉に咲いたコオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

一斉に咲いたコオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

コオニタビラコの春の若めの株 寒川町田端 2020/03/12

コオニタビラコの春の若めの株 寒川町田端 2020/03/12

コオニタビラコの春の若めの株 寒川町田端 2020/03/12

コオニタビラコの春の若めの株 寒川町田端 2020/03/12

「春の七草」にいうホトケノザは、ホトケノザ(仏の座)ではなく本種の春の葉のこととされる。七草粥を食べる人日(じんじつ、1月7日)は現代の暦では寒い真冬なので、葉は小さく赤紫を帯びており食用には適さない。(スーパーマーケットで市販されている七草セットは温室栽培のものなので、きれいな緑色の若葉である。)

コオニタビラコの葉 寒川町田端 2020/04/11

コオニタビラコの葉 寒川町田端 2020/04/11

コオニタビラコの葉 寒川町田端 2020/04/11

コオニタビラコの葉 寒川町田端 2020/04/11

葉は、頂小葉に見える先端の大きな裂片が、コオニタビラコは丸っこく、ヤブタビラコは五角形、とよくいわれるが、個体差があってそうとも言い難い。葉裏はほぼ無毛。ヤブタビラコの葉裏はややまばらながらしっかり毛が生える。

葉の形状が定説とは逆になっているヤブタビラコとコオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/27

葉の形状が定説とは逆になっているヤブタビラコとコオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/27

コオニタビラコの花

ちっちゃなタンポポ系の花で、頭花(とうか、キク科の花の形状をいう)の花径は1cmないし1cm余り。一重咲き。花色は明るい黄色。好天日にしか咲かないと思われる。長きに渡ってちらほら咲いているのは見かけるが、辺り一面でどっと一斉に咲き誇るのはごく僅かな期間しかない。

コオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

コオニタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/25

花を裏側から見て、萼片(に見える総苞内片)はふつう五枚。たいへん紛らわしい花を咲かせるヤブタビラコはふつう八枚なので、花が咲いていれば見分けは簡単。

コオニタビラコの総苞内片(5枚) 寒川町田端 2020/04/11

コオニタビラコの総苞内片(5枚) 寒川町田端 2020/04/11

コオニタビラコの総苞片(6枚) 寒川町田端 2020/03/12

コオニタビラコの総苞片(6枚) 寒川町田端 2020/03/12

コオニタビラコの実

特にどうということのない、円筒形から軽く三角錐をした実ができる。ヤブタビラコの実は基部がぷくっと膨れた壺形になる。種子(のように見える個々が痩果(そうか))に冠毛は付かない。

コオニタビラコの実(垂れ下がっているもの) 寒川町田端 2020/04/11

コオニタビラコの実(垂れ下がっているもの) 寒川町田端 2020/04/11

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

ヤブタビラコ

オニタビラコ

『コオニタビラコ』へのコメント

  1. 里山ライフ 投稿日:2023/03/30(木) 19:30:02 ID:8e2ca7c0a 返信

    タビラコとは「田平子」と漢字で表記するのですね
    以前から家屋周囲で目に付く存在で、
    見つけ次第に抜き取っていたので「種」に無知でしたが、
    mirusiru.jp での画像と解説が秀逸なので「同定」できました。
    そのどれもが居住地に生えています。
    ●コオニは、
    主として(タチツボ、マルバ)スミレが生育するような環境に「ぺったりと這いつくばるように、平べったく、カーペット状に繁殖」しています。
    ●ヤブは、
    樹下などの薄暗い場所に点在気味のようです。
    ●オニは、
    取付道路の周辺域ですが、そこかしこにも散在。

    タビラコの類は、
    根こそぎ簡単に引き抜けるので、
    ノゲシの類ほどは嫌悪していませんが、
    自生し群生化しているスミレなどの環境保全を優先し、
    容赦なく抜いているので、花を見ることは稀ですが「後学」のためになりました。
    ところで、
    タビラコ類やノゲシ類を食草(吸蜜)とする生物(幼虫、成虫)は何なのかも気になります。

    種名を知ると、面白みが増しますね。
    改めて、mirusiru.jp の精力さに敬意を表します。

    • mirusiru.jp 投稿日:2023/04/01(土) 07:27:57 ID:6f3f86b9a 返信

      コオニタビラコもヤブタビラコも花が咲いてないとなんだかよくわからない存在になっちゃうので、普通種ではあれ見つけるのに意外と苦労するかもしれません。その花も小さいですし。花時の葉は虫に食われている印象はないですね。

  2. ワタナベエイコ 投稿日:2022/12/20(火) 20:50:53 ID:5d5168a81 返信

    春の七草のコウニ田平子をさがしていますが、まだ探すことができません。
    今年の七草はせりとコウニタビラコがなくてヤブ田平子を使いました!
    家の周りでせり以外は調達できました

    • mirusiru.jp 投稿日:2022/12/20(火) 21:59:38 ID:fd2b640ec 返信

      ワタナベエイコさん、こんばんは。

      コウニではなく、コオニです。小鬼。
      黄色い花が咲いている春であれば、田んぼに行けば結構簡単に見つけられるのではないかと思います。今の時期に探し出すのはちょっと難易度高そうです。

      セリも田舎であれば結構そこいらに生えている雑草です。田んぼ、湿地周辺、せせらぎ周辺、あるはずです。それと気づいていないだけで視界には入っているのではないでしょうか。
      お住まいの地域によっては猛毒のドクゼリを引いてしまう可能性があるのでご注意ください。

      自分で調達した春の七草、いいですね!

  3. 多摩NTの住人 投稿日:2021/05/21(金) 18:56:55 ID:f7791114f 返信

    こんにちは。植物観察を初めてから15年以上になりますが、コオニタビラコを見たのは比較的最近でした。ニュータウンには田んぼが無く水田雑草の類は縁遠かったです。ヤブタビラコのほうが見つかり易いですね。オニタビラコは赤鬼、青鬼ともそこらじゅうにあります。

    • mirusiru.jp 投稿日:2021/05/21(金) 19:33:19 ID:f8660ec13 返信

      多摩NTの住人さん、こんばんは。
      もうそろそろワタリミヤコグサとやらを見物にそちらへ伺わなければいけない時期となりました。今年はもう雨期に入っちゃいましたけど。というより今日は風速10mのほぼ台風ですけども。

      私のところは身近に田んぼがあるせいで、コオニタビラコは春になれば毎年見かけるただの雑草という感じです。植物との出会いは環境差が大きいですよね。私なんかは逆にヤブタビラコ探しにかなり苦心しましたもの。ヤブタビラコの時期に生えている場所に私が縁遠いのでしょうね。あるいは、視界に入っていながら見ていなかったか。。青鬼はぜんぜん見かけません。私がわかっていないだけなのか。オニタビラコの話もちょっと棚上げしてすっとぼけているところです。