藪田平子 キク目/キク科/ヤブタビラコ属 花期/4月~6月上旬 結実期/4月下旬~6月
学名/Lapsanastrum humile (Thunb.) Pak & K. Bremer
自生種
#ヤブタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
乾燥しないところに生える、一年草(越年草)。私の中ではまあまあな希少種という認識で探し出すのにかなりの苦労を要したのだが、『神奈川県植物誌2018』にはなんなら近似種コオニタビラコ(小鬼田平子)よりも分布が多いものとして掲載されている。であるならばどうということのない雑草。田んぼの中ではなく畦の方に生えるという話は耳にはするが、それはどうか。林縁や土堤(どてい、どて)にも生えるらしい。やや薄暗い林床でも見かける。土が程良く水分を含んでいる場所を好む模様。よく水を飲み、乾燥に弱く、水切れを起こすとたちまち葉っぱがちりちりに(すぐに水やりすれば元に戻る)。
日陰に生えたヤブタビラコ(ハート葉はドクダミ) 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
日陰に生えたヤブタビラコ(ハート葉はドクダミ) 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコの越冬ロゼット 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/09
ヤブタビラコの越冬ロゼット 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/09
#ヤブタビラコの越冬ロゼット 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/09
#ヤブタビラコ(1株) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
#ヤブタビラコ(1株) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
#ヤブタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
ヤブタビラコの特徴
コオニタビラコとの大雑把な違いは以下の通り。
開花時期がちょっと遅い。
大型化する。
葉裏は有毛。
茎がびよーんと異様に長く伸びるものがままある。
総苞内片がふつう八枚。
実の形状は基部がぷっくり膨れた壺形。
越冬に使ったロゼット葉がそのまま大きく成長して茂る。頂小葉に見える先端の大きな裂片はおよそ五角形になるのが模範的な形状ながら、そうとも言えないものも多い。葉の形状でコオニタビラコと見分けることは困難。
ヤブタビラコのロゼット葉 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコの葉 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
#ヤブタビラコの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
葉裏は多かれ少なかれ毛が生える。コオニタビラコの葉裏はほぼ無毛。毛量がかなり少ない個体では判断に困る。
ヤブタビラコのまばらな毛が生えた葉裏 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
ヤブタビラコの毛が少なめな葉裏 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコの花
ぱっと見はコオニタビラコとほぼ同形の印象。頭花(とうか)は花径約8mmで、コオニタビラコより僅かながら小さい。但し花弁(のように見える舌状花)の枚数はコオニタビラコより多め。
#ヤブタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
#ヤブタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
ヤブタビラコ 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコ 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
#ヤブタビラコ 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
花を裏側から見て、萼片(のように見える総苞片)がふつう八枚ある。コオニタビラコはふつう五枚。
ヤブタビラコの総苞片 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコの総苞片(8枚) 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコの総苞片(8枚) 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
茎がしっかり直立し、茎上部に付く葉が披針形(ひしんけい)だったら、ユーラシア大陸原産の帰化雑草ナタネタビラコ(菜種田平子)である可能性。太い茎が直立していたらオニタビラコ(鬼田平子)か。
ヤブタビラコの実
花が咲き終わると花首がくいっと下を向いて、実の基部がぷくっと膨らんで壺形になる。種子(のように見える個々が痩果(そうか))に冠毛は付かない。
ヤブタビラコの未熟な実 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
ヤブタビラコの未熟な実 二宮町・吾妻山公園 2021/04/07
#ヤブタビラコの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
#ヤブタビラコの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
#ヤブタビラコの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
#ヤブタビラコの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
ヤブタビラコの熟した実、の総苞片(8枚) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/04/25
茅ヶ崎市行谷(田んぼ)、二宮町・吾妻山公園(野鳥の森~展望台トイレ間の人通りない通路沿いの日陰に群生)
大和市・泉の森(各所に大量)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)