莔麻 アオイ目/アオイ科/イチビ属 花期/6月~9月 結実期/8月~10月
外来種駆除稀少
外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
日本生態学会「日本の侵略的外来種ワースト100」
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
インド原産の一年草。名はキリアサ(桐麻)などとも。種子がトウモロコシ(玉蜀黍)などの家畜の飼料に紛れて日本へ入ってきた模様。となれば、ウシ(牛)、ブタ(豚)、ニワトリ(鶏)あたりが飼育されている農村部で帰化が多いか。これらの糞にもイチビのタネが混入している疑いあり。しかして、日当たりの良い農地周辺や里山を流れる川べりに好んで生えてくるようである。湘南地域では北部を中心にちらほら帰化があるという話を聞く。どこにでもまんべんなく生えているわけではなく、また大きくなるため悪目立ちし(特に農地周辺や道端では)夏場に刈払われる可能性は高いだろう、見かける機会は多くはない。トウモロコシの生育を阻害することが知られる強害雑草。
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
ぱっと見の姿は、昭和時代(-1989)には市街地の道端にたくさん生えていたオオオナモミ(大葈耳)を思わせる、がっちりした姿の大型雑草となる。草丈はおよそ人の腰くらいであるが、中には胸あるいはそれ以上に巨大化するものも。
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
葉は大きな心形(ハート形)。両面に短毛密生し、ふかふかした気持ち良い触り心地。
イチビの葉 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの葉 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの葉裏 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
茎や枝には細かい毛が多い。茎に密生している腺毛(せんもう)は触るとふかふかするのかと思いきや、しっとりと湿っていて指は汁気で濡れる。このイチビ汁が薬草張りに青苦くさくてじつに不快である。全草悪臭。茎からは繊維が採れるらしい。
イチビの茎 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビに生えた腺毛 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの花
やや葉に隠れるように茎に近めな地点で咲く。花色は明るい黄色。かわいらしい花である。朝早いと咲いていない。
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビ 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの短めな花柄 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
花柄(かへい)が葉柄よりも長くて、葉よりも少し突き出て花が咲いているようならタカサゴイチビ(高砂莔麻)である可能性も検討を。葉先は細く長く尖る。
イチビの実
イチビの最大の特徴はなんといっても実の形状に尽きる。芒(のぎ)と呼ばれる棘(とげ)を持つ十五個くらいの分果が円形に並んで、じつに奇妙な形を作っている。はじめ若々しい緑色で、熟すと黒く枯れたように変色する。
イチビの未熟な実 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの未熟な実、分果の芒は二本が合着して一本に見える状態 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの熟した実 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの熟した実 茅ヶ崎市堤 2019/09/06
イチビの熟した実 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
イチビの熟した実 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
イチビの種子 茅ヶ崎市堤 2019/10/05
横浜市戸塚区・舞岡公園
茅ヶ崎市堤
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)