蝦夷禊萩 フトモモ目/ミソハギ科/ミソハギ属 花期/6月下旬~8月
学名/Lythrum salicaria L.
改良種
#エゾミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/24
湿地に生えるやや大型な多年草(宿根草)。ミソハギの近似種。名前に反して北海道の固有種ではない。神奈川県内でも野生状態で見つかってはいるが、ミソハギ同様に広く栽培されている植物であるので、いずれも元々の自生種ではなく逸出帰化したものと考えられている。田んぼ脇に生えているのは農家が植えたものだろう。草丈はミソハギ同様1mくらい、なかなか背高に成長する。同じく地下茎で増えるので密集した群落を形成する。両者は、遠目には同じものにしか見えないが、葉と萼(の付属体)で区別できる。また基本的に全草、ミソハギは無毛、エゾミソハギは細かな毛が多い、という違いも。
#エゾミソハギ(一部ミソハギ混植) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/24
#エゾミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2023/07/28
葉は対生。葉身(ようしん)基部が切形(せっけい)で軽く茎を抱く。ミソハギの葉身基部は楔形(くさびがた)で茎を抱かない。
#エゾミソハギの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2023/07/28
ミソハギとエゾミソハギの雑種はメミソハギ(雌禊萩)と呼ばれるらしい。どこがどう雌なのかはよくわからないが。ミソハギないしエゾミソハギと称して市販されているものはこの雑種も多いので注意が必要。両者の中間的な特徴を持つ。売られている苗の状態では正確な見分けはできない。身近なところに植栽されているものの大体はミソハギで、一部がどちらとも判断できかねる雑種、交雑していないエゾミソハギと思しきものはあんまり見かけるものではない。
エゾミソハギの花
小花はミソハギより大きめらしい。花色はミソハギと同じ明るい赤紫色(濃いピンク色)。どこかで見たことあるような花に感じられるのは、同じミソハギ科のサルスベリ(百日紅)が似たような色の花を咲かせるせい。
#エゾミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2023/07/28
#エゾミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2023/07/28
#エゾミソハギ 茅ヶ崎市浜之郷 2023/07/28
萼片はおよそ正三角形のものがあるのだが、小さくて目立たない。ぱっと見で萼片に感じられるだろう細長い突起は、本当の萼片と萼片の間から出ている付属体(付属片、副萼片)である。この付属体は大きくて、平開しない。対してミソハギの付属体は小さくて、平開する。
#エゾミソハギの蕾で目立つ、平開しない付属体 茅ヶ崎市浜之郷 2023/07/28
#エゾミソハギの萼片 茅ヶ崎市浜之郷 2023/08/05
#箱根湿生花園(付属体にミソハギの性質が出る、7月下旬~)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)