麦草 イネ目/イネ科/オオムギ属 花期/5月~7月上旬 結実期/6月~8月上旬
学名/Hordeum murinum L.
外来種駆除
ムギクサ 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/06/25
道端などに帰化雑草として生える、ヨーロッパ辺りを原産とする一年草(または越年草)。穂がエノコログサ(狗尾草)より大きくて目立ち、麦芽(ばくが)がビールの原料に使われるオオムギ(大麦)に似ている印象を受けるだろう。身近なところに農作物らしきものが勝手に生えているので意表を突く形でちょっとおもしろい。草丈は10~50cmくらいの範囲で様々。固まった群落をつくり、穂を多数出す。神奈川県内では山地を除いて広範囲に帰化が確認されており、普通種と呼べるほどそこここで見かけるほどではないにせよ、珍しいものでもない。耐塩性が高いようで、浜辺にも進出している。
砂浜近くまで進出したムギクサ 茅ヶ崎市東海岸南 2022/5/23
砂浜近くまで進出したムギクサ 茅ヶ崎市東海岸南 2022/5/23
ムギクサの熟しかけている実 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/06/25
ムギクサの熟した実 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/07/21
ムギクサの熟した実 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/07/21
亜種にオオムギクサ(大麦草)なるものあり、『神奈川県植物誌2018』によれば見分けが難しいうえ、県内産のものはオオムギクサの形態に近いものが多いという。※どうせこの手の植物は雑種を作りやすいのでしょうという科学的根拠を伴わない偏見と、同定が面倒くさいイネ科であること、排除されることが望まれる外来帰化雑草であるという興味のなさから、本頁では両者の違いの検討を行わずすべて(広義の)ムギクサとして扱う。
ムギクサの花
オオムギを連想させる長い芒(のぎ、毛)が目立つ。一応、中央小穂(-しょうすい、三個セットになっている粒の中央のもの)の包穎(ほうえい、覆っている皮をいうが本種の場合は各小穂の外側にあるV字形の芒のように見える)に縁毛(えんもう)がある、ということは(肉眼ではほぼ見えない細かな毛だが)確認したい。イネ科の植物なので花は蕊をちょろっと出すだけの極めて地味なもの。初夏に開花。午前中か。一斉には満開せず、穂ごとに順次開花し、結実し、それぞれ枯れてゆく。
雄蕊を出したムギクサ 茅ヶ崎市東海岸南 2022/05/23
ムギクサ(蕊は出ていない) 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/06/25
穂の大きさ・長さ、芒の雰囲気などに違和感あらば、(県内では極めて希な)近似の別の外来種である可能性も。
ムギクサの実
三個セットの小穂のうち結実するのは両性の中央のものだけ。左右の小穂は雄性。熟した実は茶色く枯れてぼろぼろと脱落する(穂が極端に短くなってゆく)。
ムギクサの熟しかけている実 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/06/25
ムギクサの熟しかけている実 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/06/25
ムギクサの熟した実 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/07/21
ムギクサの包穎にある縁毛 相模原市中央区・JR横浜線矢部駅~相模原駅 2023/07/21
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『イネ科ハンドブック』 木場英久・茨木靖・勝山輝男著 文一総合出版発行(2011)
葉山町・一色海岸、江の島、国道134号線「茅ヶ崎駅南口入口」交差点(海辺にかけて)
横須賀市長井・井尻港
相模原市中央区・JR横浜線「矢部」駅(相模総合補給廠西門にかけて沿線に多い)