山楝蛇 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/ヤマカガシ属 見頃/4月~10月
学名/Rhabdophis tigrinus (H. Boie, 1826)
有毒危険在来種稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
ラブドフィス属(ヤマカガシ属)全種=動物愛護管理法「特定動物」
ヤマカガシ 中井町半分形 2022/06/21
体長1m前後の、ふつうの大きさのヘビ(蛇)。体色はオレンジ色がよく目立ち、2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムに採用されて話題となった市松模様のような黒い斑紋が入る。ただし柄(がら)は様々な変異あり、地方によっても異なるという。また、ヘビなので幼体と成体では柄がまったく違ってくるので注意が必要。オレンジ色でないヤマカガシもいる。顔つきはかわいらしいのだが、色合いなどはいかにも”ワタシ、毒持ってますから”と主張する気色の悪いもの。性格はおとなしくて気弱なので、こちらが”きゃー、ヘビがいるぅー!”と叫び声をあげるよりも前に人間を察知してたちまち全力で逃げ出していることだろう。人が小走りするくらいの速さでするするするーっと藪の中へ逃げ込んでゆく。棒で突いたりちょっかい出して追い詰めない限りヤマカガシの方から好んで攻撃してくることはふつうはないので、ハイキング途中で遭遇しても放っておけばよい。くれぐれも踏み潰したりなぶり殺したりなさらぬよう。
池を泳ぐヤマカガシ 鎌倉市・長谷寺 2009/06/16
ヤマカガシ逃亡中 横須賀市・鷹取山公園 2018/10/30
昼行性。好物はカエル(蛙)。自分よりも遙かに大きなヒキガエル(蟇蛙)さえ食らってしまう。だいたいはカエルが多い田んぼや池周辺などの水辺に生息しており、緑あふれる丘陵地に挟まれた谷戸(やと)に田んぼがあった鎌倉や三浦半島は格好の生息場所だった。今はその水辺が減少しているためヤマカガシも滅多に見かけないヘビになってしまった。
田んぼにいたヤマカガシ 中井町半分形 2022/06/21
ヤマカガシの典型的な模様 中井町半分形 2022/06/21
モリアオガエル産卵地にいたヤマカガシ 山北町・旧丹沢湖ビジターセンター 2017/07/03
ヤマカガシ(オレンジ色がほとんどない個体、幼体ではない) 横浜市金沢区・金沢自然観察の森 2018/05/20
ヤマカガシ(オレンジ色がほとんどない個体、幼体ではない) 横浜市金沢区・金沢自然観察の森 2018/05/20
ヤマカガシは有毒なので注意が必要。猛毒で知られるマムシ(蝮)は前歯に毒があるため咬(か)まれれば必ず毒に冒されてしまうが、ヤマカガシの毒は奥歯にあるため深く咬まれさえしなければ、敵(人間)を脅かすために咬みつくふりをしてみました程度の甘い咬み具合であれば、セーフなことが多い。従って、人命にかかわるような重大な事故は滅多に発生していない(朝日新聞平成29年(2017)8月4日によれば確認されている死亡例は四名)。とはいえ、毒性はマムシやハブよりも強いという話もあるので、やはり危険であることに変わりない。危険生物なので「特定生物」に指定されており、飼育等には都道府県知事の許可が必要。
平成29年(2017)兵庫県で小学5年の男児(10)が人差し指と手首をヤマカガシに咬まれて一時意識不明の重体。
長谷寺(ヒキガエルなどのオタマジャクシを食べにくるらしい)
代掻(しろか)き後に「畦」に出没するヘビです。
木に登ることはなく、
地表を這い回りますが、
泳ぐことも得意で「水田に限らず、渡河」している個体も見かけます。
宅地にも出没しますが、そもそも「用心深い」性質らしく、近づくリスク(猫、犬、タヌキ、人間、車両などの波動)に反応して、いち早く「遁走」してしまうので、せいぜい「消え去っていく後ろ姿」の一部を見る程度に限られています。
その用心深さからか、シマヘビ
https://mirusiru.jp/nature/animal/shimahebi#comment-297
と違って、車道での「轢死」事故例を(当地では、誰も)見たことがありません。
当地は、ヤマカガシの生息適地なので、かなりの個体が生息しているはず(夏鳥「サシバ」のお得意様)ですが、滅多にお目にかかれない存在です。