ミシシッピアカミミガメ

みししっぴ赤耳亀 爬虫類/カメ目/ヌマガメ科/アカミミガメ属 見頃/3月~10月
学名/Trachemys scripta subsp. elegans (Wied, 1838)

外来種駆除

外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
日本生態学会「日本の侵略的外来種ワースト100」

アカミミガメ全般=外来生物法「条件付特定外来生物」
生態系被害防止外来種リスト「緊急対策外来種」
国際自然保護連合(IUCN)「世界の侵略的外来種ワースト100」

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

北中米原産の外来種。小さな幼体がミドリガメ(緑亀)の愛称で縁日やペットショップで安価で販売されていた。きれいな緑色でかわいらしいため子供たちに人気があったが、じきに成長して立派な巨大ガメとなり飼育にはそれなりの広さを必要とし、メダカ(目高)やザリガニを入れていた容器などでは飼えなくなる。ミシシッピアカミミガメは小玉スイカくらいの大きさになるためとてもではないが一般家庭の手に負えるものではなく、結局はもてあまし、あるいは飽きて、自分で殺処分することをためらって河川や池への不法投棄に至ることが多いとみられる。アカピッピミシミシガメは一時ネットで話題になったおもしろ誤称。

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

ミシシッピアカミミガメ 鎌倉市・葛原岡神社 2017/04/14

日光浴をするミシシッピアカミミガメ 平塚市・総合公園日本庭園 2017/03/08

日光浴をするミシシッピアカミミガメ 平塚市・総合公園日本庭園 2017/03/08

日本の自然界に帰化した大量のミシシッピアカミミガメは日本在来のニホンイシガメ(日本石亀)などの生息場所を奪ってしまい、社会問題化して久しい。アメリカザリガニ(亜米利加蜊蛄)、ウシガエル(牛蛙)、タイワンリス(台湾栗鼠)、アライグマ(洗熊)などと同様の厄介者という扱いだ。
ミシシッピアカミミガメはいずれも誰かさんが”家族”と称して飼っていたペットおよびその子孫である。環境省は平成28年(2016)4月、日本に帰化した誰かさんの元家族の推定生息個体数は790.9万匹に達すると発表した。

平成28年(2016)現在、特定外来生物への指定は今のところ検討段階にとどまっているため、販売・飼育などは禁止されていない。平成27年(2015)環境省は5年後の平成32年(2020)をめどに輸入を禁止すると発表。段階的に販売・飼育も禁止する方向という。今更遅い。わざわざ手遅れ的に対応することで”ミシシッピアカミミガメ対策費”名目の予算を頂戴しようという魂胆でもあるんじゃないかとうがった見方をしたくもなるレベルで遅い。追記)令和5年(2023)6月1日 (キバラガメとカンバーランドキミミガメを含めて)アカミミガメとして条件付特定外来生物に指定、輸入・販売・購入・頒布・放出が禁止された(罰則あり)。

以下の個体は平塚市西部の丘陵地で発見したもの。背中の甲羅が黄色いのは老齢だかららしい。甲羅が扁平で、黄色みを帯び、尻周辺の縁甲板にぎざぎざが確認できたためニホンイシガメの可能性も疑い、近くに迫ってきていた小学生たちに見つかる前に念のため保護をした。比較的自然が残る丘陵地の林の中を流れる河川源流域であったが、顔を見てびっくり、まさか(案の定)のミシシッピアカミミガメでがっかり。滝つぼ下の清流に水神様の化身のごとくして出現なされたカメ様が、外来種。

老齢のミシシッピアカミミガメ 平塚市中吉沢・霧降りの滝 2017/02/19

老齢のミシシッピアカミミガメ 平塚市中吉沢・霧降りの滝 2017/02/19

老齢のミシシッピアカミミガメ 2017/02/22

老齢のミシシッピアカミミガメ 2017/02/22

ミシシッピアカミミガメの最大の特徴は、名前の通り、目の後ろが赤いこと。

老齢のミシシッピアカミミガメのオス 2017/02/23

老齢のミシシッピアカミミガメのオス 2017/02/23

成体で、前肢の爪が異様に長ければオス。

老齢のミシシッピアカミミガメの背甲 2017/02/22

老齢のミシシッピアカミミガメの背甲(左が頭) 2017/02/22

ひっくり返してみれば腹の甲羅は黄色。なおミシシッピアカミミガメに似てるが腹側の斑紋が薄くて形状が異なり、”赤色の耳”がなかったらリバークーターという名の別の外来カメである疑い。ニホンイシガメやクサガメは腹側が黒色なので見分けられる。

老齢のミシシッピアカミミガメの腹甲 2017/02/22

老齢のミシシッピアカミミガメの腹甲(左が頭) 2017/02/22

ミシシッピアカミミガメは淡水の池を好み、泳ぎが達者。変温動物なので陸に上がってよく甲羅干しをする。雑食、ただし成体は草食の傾向が強くなるという。産卵は2~20個を年に数回。冬は土にもぐり冬眠する。寿命は30年という。小学4年生(10歳)でミドリガメを飼い始めたら初老(40歳)を迎えるまで飼い続けなければいけないということ。

ハスを絶滅させた犯人説が流れているミシシッピアカミミガメ 大磯町・東の池 2019/04/13

ハスを絶滅させた犯人説が流れているミシシッピアカミミガメ 大磯町・東の池 2019/04/13

湘南・鎌倉・三浦半島で見られる淡水カメは、90%がこのミシシッピアカミミガメ、クサガメ9%、スッポン1%といったところか。(思っていたが、平成(-2019)終わりにはクサガメをなっかなか見かけなくなってきたので、ミシシッピアカミミガメ率は格段に上がっているかもしれない。)神社神池もこの外来種が占拠している有様。捕獲・駆除も密かに行われているようだが、成果が上がっているようには感じられない。ところによっては(神社であっても)保護・飼育もしており、減るどころか増える一方である。
本来の生息地である米国では個体数の減少に悩まされ、採取・飼育が禁じられ保護されているというから面白い。

カメなどの爬虫類は食中毒の原因菌であるサルモネラ菌を保有していることがあるため、触ったら石鹸でよく手を洗うこと。幼児や高齢者を中心に、嘔吐・下痢・胃腸炎などの発症例あり。

飼えなくなったミシシッピアカミミガメは‥


伊豆半島にある民間の動物園「iZoo(イズー)」が飼いきれなくなった爬虫類や両生類(ともに特定外来生物を除く)を無料で引き取る活動を続けている(=令和2年(2020)9月7日現在)。平成30年(2018)にはクラウドファンディングで資金を募り、ミシシッピアカミミガメ八千匹を収容できるという人工池を完成させた。
ミシシッピアカミミガメを引き取ってもらえるかどうか、相談してみるとよい。必ず事前に電話等で連絡を入れること。無断で送り付けたり、園内に投棄したりしてはいけない。


体感型動物園 iZoo【イズー】
静岡県賀茂郡河津町浜406-2、0558-34-0003
飼いきれなくなってしまった爬虫類・両生類をiZooで引き取ります


某所の某ワニ園がワニの餌としてミシシッピアカミミガメを与えていたところ(甲羅ごとばりぼり砕いて食べる)、処理できない数のカメが届いてたいへんな迷惑を被ったという噂話を耳にしたことがある。勝手に送り付けてはいけない。


横浜市金沢区・称名寺(阿宇ケ池、スッポンも)

鶴岡八幡宮源平池(平成24年(2012)-25年(2013)源平池浚渫工事実施の際などに駆除、スッポンも)、葛原岡神社(人慣れ)

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『ミシシッピアカミミガメ』へのコメント

  1. 里山ライフ 投稿日:2020/08/12(水) 09:32:53 ID:0c9f17a92 返信

    クサガメ(臭亀)について

    50年数前、
    お盆の墓参からの帰路に「カメ」を見つけ持ち帰った。
    開業医の叔父に見せると『それはヤマガメという野生のカメだから、家に持ち帰ってはいけない。見つけた場所に放してきなさい』と命じられた。
    祖父に「池に放したい」と嘆願すると
    『それはダメだ。割烹仕出し業を営んでいるので「不潔な野生動物」の持ち込みを禁じている。サッサと放してきなさい』と叱られた。
    聞き分けの悪い僕は、
    離れ住まいの自分の部屋で、そのヤマガメ(クサガメ)を「ベビーバス」で飼うことにし、押入れに隠した。
    しかし、ガサガサゴソゴソとうるさい。
    しばらくすると「異様なにおい」が押し入れから漂ってくる。
    カメが汚いからかと、タワシと石鹸で洗ってみた。
    洗っても、洗っても「カメがにおう」ことは変わらなかった。
    日に日に部屋中が臭うようになり、カメに嫌気が差して、見つけた場所に放しに行った。
    爾来、カメは「臭い」生きものと思い込み、縁日で見る「ミドリガメ」には興味を覚えなかった。

  2. 里山ライフ 投稿日:2020/08/11(火) 15:49:36 ID:825e6e66d 返信

    ペットショップや水生動物園でおなじみの「ゼニガメ」が、
    日本固有種「ニホンイシガメ」ということを知った時には何処にも居らず、
    沼や水田などに生息していたカメはヤマガメ(クサガメ)ばかりでした。
    そのクサガメもとんと見掛けません。

    四半世紀前、
    松山城の城濠(堀)に生息していたカメは、
    ミドリガメ(ミシシッピ・アカミミガメ)ばかりでした。
    広大で貯水量豊富なので「カメ」はのんびりと暮らしており、さながら「楽園」だな。との印象でしたが、観察していると「カメの背後から、そ~と近寄ってきたカメに喰いつかれる“共食い”のバトル」が繰り広げられていました。カメの世界は「のどか」ではなく、厳しいことを学びました。
    ところで、クサガメやイシガメは自然界で種(純血)を存続しているのだろうか?