蛇 爬虫類/有鱗目 見頃/4月~11月
アオダイショウの幼体(体長目測1m超) 茅ヶ崎市浜之郷 2019/06/21
肉食の爬虫類(はちゅうるい)。手足がないのにするすると高速移動できる、口を開けることなく舌をちろちろ出せる、自分の頭より大きな獲物に食らいついて丸呑みできる、など得体が知れない。気色が悪いと、カエル(蛙)と並んで嫌われる傾向が強い。大嫌いなら近寄らなければいいのに、ヘビを見つけると棒で突いたり追いかけたりしたがる人が多い。湘南・鎌倉・三浦半島でも開かれた住宅地以外で稀に見る。種によって生息場所は異なるが、自然豊かな場所には何らかのヘビが必ずいると思ってよい。およそカエル(蛙)のいるとこヘビもいる。探して見つけられるものではないけれども。
コブラ(日本の野山にはいない毒ヘビ)をイメージしてもらえばわかりやすいが、ヘビは遠くにいる敵に急に飛びかかって咬(か)みつくことがあるので注意したい。基本的にヘビの側から好んで襲ってくることはないが、ちょっかいを出すなどヘビを追い詰めれば攻撃に転じてくる可能性が出てくる。窮蛇人を咬む。
ニホンマムシ
日本蝮 爬虫類/有鱗目/クサリヘビ科/マムシ属
猛毒危険在来種駆除稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
くさりへび科全種=動物愛護管理法「特定動物」
単にマムシとも。基本体色は褐色で銭形の斑模様が入る。頭が三角形で、胴が太めなメタボ体形。あるいはガリガリに痩せてしまったツチノコに見えないでもない。初めて野山でマムシに遭遇した人は、昭和時代(-1989)によくテレビに出てきたニシキヘビ(日本に生息しない巨大ヘビ)と勘違いするかもしれない。
神奈川県では最も危険なヘビで、湘南・鎌倉地方でも林野が残る地域に生息。ハイキングコースなどでぼーっとひなたぼっこするマムシあり。臆病なため人の気配を感知すると慌てて逃亡を図る。大抵はこちらが発見するより先にかさこそ音を立てて逃げ出している。茂みに迂闊に手足を突っ込むとじつそこにマムシが潜(ひそ)んでいて、がぶりと咬まれる危険もある。猛毒があるため、ハイキングや草木の手入れなどの際には要注意。林業に携わる人などは毒抜きを行うための吸引器具を携帯しているほど。全国で毎年10人程がマムシの毒で命を落としているという。
マムシに咬まれてしまったら
マムシ(蝮)に咬まれてしまった場合は、応急処置として、患部より心臓に近い部分をタオル等で軽く縛って毒が体中に循環するのを和らげ、患部を心臓より低い位置に下げておく。咬まれて約30分で腫れがひどくなるようだ。救急車(119番)は、ためらわずただちに呼びたい。毒を口で吸い出す処置もあるが、人の口内は案外傷だらけなので吸引役の人が毒に侵(おか)される危険を伴う。
心拍数を上げてしまうと毒が全身に回りやすくなるので安静を保つべしといわれてきたが、早く救急車や病院に辿り着けるよう走った方が比較的軽症で済むことが救命救急医らの調査で判明したと平成27年(2015)に報じられている。いずれにせよ、一週間前後の入院は必要になる。
マムシは日中にも見かけるが、じつは夜行性らしい。カブトムシ(甲虫)採集に出かけるときは注意したい。
湘南・鎌倉・三浦半島にハブ(波布)はいない。
ヤマカガシ
山楝蛇 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/ヤマカガシ属 見頃/4月~10月
有毒危険在来種稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
ラブドフィス属(ヤマカガシ属)全種=動物愛護管理法「特定動物」
アオダイショウ
青大将 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/ナメラ属 見頃/4月~10月
在来種保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
シマヘビ
縞蛇 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/ナメラ属 見頃/4月~10月
危険在来種保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
ジムグリ
地潜 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/ナメラ属
在来種稀少保護
大きさは普通。基本体色は赤系で、黒い斑紋が目立つ。うっすら赤っぽかったらヤマカガシ(山楝蛇)、だいたい赤ならジムグリの可能性が高いか。特に幼体は毒ヘビのような見るからに危険な色合いをしているが、大人になるにつれ赤色は弱まっていく。頭部と胴体の境目にくびれがない(首がない)寸胴体形なのが最大の特徴。太いヘビ、という印象を受ける。無毒。おとなしくて神経質という。滅多に見ない。地中に潜ってモグラを食べるという。
横須賀市・鷹取山ハイキングコース(令和元年(2019)5月下旬 遭遇、10秒もしないうちに堆積した落ち葉にするするっと潜って姿を消した)、平塚市土屋(平成28年(2016)5月 道路上に斑紋ない赤ジムグリ、一目散に逃げられた)
ヒバカリ
日計、日量 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/ヒバカリ属
在来種稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「準絶滅危惧」
シロマダラ
白斑 爬虫類/有鱗目/ナミヘビ科/マダラヘビ属
在来種稀少保護
大きさはヒバカリ(日計)程度のやや小型ヘビ。体色はウミヘビ(海蛇)のように白黒白黒の横縞模様。夜行性で体が小さいため人目に付きにくく、”幻のヘビ”と呼ばれる。
タカチホヘビ
高千穂蛇 爬虫類/有鱗目/タカチホヘビ科/タカチホヘビ属
在来種稀少保護
大きさはヒバカリ(日計)程度のやや小型ヘビ。体が黒っぽいのが特徴。頭部を中心に鱗が虹色に輝く。シロマダラ(白斑)同様、体が小さく夜行性のため人目に付きにくく、”幻のヘビ”と呼ばれる。姿が地味なせいか、インターネットが普及した今日でさえ発見報告がほとんど上がらない。地中に潜ってミミズを食べるという。名は発見者に因む。
神奈川県内で目撃する可能性のあるヘビは以上の八種と思われる。
「ニホンマムシ」について
私は「ヘビ」の専門家ではありません。
しかしながら、生物多様性に恵まれた「谷津(谷戸)環境」に居住しており、
その自治会(150世帯)での「マムシ」についての経験上の共有認識を下に、私の体験での考察を加えてコメントします。
猛毒で有名な「マムシ」ですが、
彼ら好みの(人間には不快な)「林床の暗くジメジメした茂み」や「陽が射すことがない水辺」に潜んでおり、
そのようなデンジャラスゾーンに足を踏み入れなければ、出くわすことはありません。
谷津(谷戸)環境の当地には「マムシ」がうじゃうじゃと潜んでいます。
しかし当地では、
人の生活圏に進入してきたことは皆無で、
マムシの被害話も、当自治会や近隣の自治会でも聞いたことがありません。
獲物にならない「人間」を襲撃することはなく、
獲物であっても「鎌首が届く距離」が危険圏内(10~20㌢ほど)です。
被害に合うとすれば、知らずに「踏みつけたか、握ってしまった」時程度です。
一般的なゴム長靴を履いていれば、踏みつけたとしても安全です。
おそらく、
マムシは「デンジャラスゾーンに潜んでいるだけで十分に命をつないでいけるうえ、その圏外を徘徊すれば天敵に捕食されるリスクが高い」からかと
当地のマムシは、人が近づいても滅多に動きません。一般的には「獲物を待ち伏せしているため」と言われていますが、その逆で「動けば、マムシが危険な目にあう」からとの思いです。
経験上、マムシの所在の見当はピンポイントでつきますが、それでも発見は容易ではありません。見事なほどに「完璧な保護色」で、ピクリとも動かなければ見落としてしまいます。
マムシは「近づくリスク」に対して、
「潜み」続けるべきか「逃亡」しておくべきかの選択を心得ているようです。