匙雁首草 キク目/キク科/ガンクビソウ属 花期/7月中旬~9月中旬
学名/Carpesium glossophyllum Maxim.
自生種保護
サジガンクビソウ 藤沢市・新林公園 2022/07/20
やや乾燥気味な薄暗い林床に生える多年草。名は、根生葉(こんせいよう)の形状が匙形でガンクビソウの仲間、の意らしい。草丈は人の膝(ひざ)上(50cm)くらいまで。分枝(ぶんし)はあまりしない。全草、開出気味の毛が密に生えけばけば。神奈川県内に広く自生はあるようながら、湘南・鎌倉・三浦半島ではさほど多く見かけるものでなし。
サジガンクビソウ 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウ 藤沢市・新林公園 2022/07/20
根生葉はロゼット状で、開花時期にも(虫に食い尽くされていなければ)傷まずしっかり生えている。形状は、ほとんどの人は匙みたいだとは感じないのではないか。波状の鋸歯あり。茎生葉(けいせいよう)は、多からず少なからず、茎にまんべんなく付き、上部に行くほど小さく細くなる。
サジガンクビソウの茎生葉 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウの茎が立ち上がる前の根生葉 藤沢市・新林公園 2022/05/10
サジガンクビソウの根生葉 藤沢市・新林公園 2022/07/20
近似種とは、花時の根生葉の有無、根生葉および茎生葉の形状、全体的な草姿(分枝の状況)、頭花が付く場所、頭花の形状、あたりで見分ける。
サジガンクビソウの花
茎の頂上、または、枝ないし葉腋(ようえき)から長く伸びた柄(え)の先端で、くいっと煙管(きせる)の雁首状に曲がって下向きに、頭状花序(頭花)を一個だけ咲かせる。柄は妙にひょろ長なのが特徴。頭花は、はじめ直径1cmほどの細身で、黄色っぽい。咲き進んでいくうちに直径1.5cm程度のやや幅広な円柱形に成長し、(雄蕊が発している)黄色はどんどん色褪せていき、しまいには雌蕊だけがかろうじて咲き残って色薄い緑色になる。よく”サジガンクビソウの頭花は緑白色”だと説明されるが、それは咲き終わりかけている花の色である。近似種より開花時期がちょっと早い。
サジガンクビソウ 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウ 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウの若い頭花 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウ 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウのやや古めの頭花 藤沢市・新林公園 2022/07/20
サジガンクビソウの咲き終わりかけ 藤沢市・新林公園 2021/8/27
サジガンクビソウの咲き終わりかけ 藤沢市・新林公園 2021/8/27
総苞片は反る。基部の数枚は大きく、苞葉のようになる。
サジガンクビソウの総苞 藤沢市・新林公園 2022/07/20
共に枝(または柄)の先に頭花を一つ付けるという点を除けば、サンジガンクビソウはたいしてガンクビソウには似ていない。全体的な姿(サジガンクビソウの方が貧相)、葉の形状(サジガンクビソウの方が細い)、花時の根生葉(サジガンクビソウにはある)、頭花の形状(サジガンクビソウは先細らない)、頭花の黄色(サジガンクビソウは色褪せている)、全部違う。紛らわしいのは、名前だけ。
サジガンクビソウ(の咲き終わりかけ)とガンクビソウの頭花の比較 藤沢市・新林公園 2021/08/27
横須賀市・鷹取山、衣笠山公園(衣笠山~衣笠城址にも)、新林公園、二宮町・吾妻山公園
秦野市・葛葉緑地(けやきの道)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)