藪煙草 キク目/キク科/ガンクビソウ属 花期/8月中旬~9月
学名/Carpesium abrotanoides L.
薬用自生種
ヤブタバコ 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/09/26
薄暗い林床に生えるやや大型な一年草(越年草)。シュウブンソウ(秋分草)に似て、茎が一本直立していたと思ったら横(地面とほぼ水平)に向かって枝が長くびよーんと伸びて安定感を欠く不格好な姿になるのが特徴的。変なタイミングで芯止め(茎の頂上部にある成長点を切り落とすこと)されてしまったために仕方なく側枝が長く発達した、というわけではなく、これで本来の姿である。神奈川県内広く自生あり。湘南・鎌倉・三浦半島でも丘陵地の森の中を通るハイキングコースを歩いているとしょっちゅうというほどではないにせよちょくちょく出遭う普通種。
ヤブタバコの枝が長く伸びて不格好な草姿 藤沢市・新林公園 2016/10/01
ヤブタバコの枝が長く伸びて不格好な草姿 逗子市・池子の森自然公園 2019/09/14
ヤブタバコの枝が長く伸びて不格好な草姿 逗子市・池子の森自然公園 2019/09/14
ヤブタバコ 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/09/26
ヤブタバコのちょっとらしからぬ草姿(雑種の疑いも?) 藤沢市・新林公園 2016/10/01
葉は互生。幅広で大きく、数多く豊かに付く。名は、森の中に生えて葉の形状と大きさがタバコ(煙草)に似るもの、の意。
ヤブタバコの葉 藤沢市・新林公園 2016/09/27
イワタバコ(岩煙草)は同様に葉がタバコっぽいというだけで、似ても似つかないまったくの別種。
ヤブタバコの花
頭状花序(頭花)はガンクビソウ(雁首草)とほぼ同形で、先細る黄色花。ガンクビソウは枝と葉腋(ようえき)から出た柄の先端に頭花を付けるのに対し、ヤブタバコは枝の途中の葉腋にぴたっと密接して頭花がいちいち付いているのが特徴。他に類似するものはないので見分けは容易。
ヤブタバコの葉腋に付く頭花 藤沢市・新林公園 2016/10/01
ヤブタバコの葉腋(葉は虫食いでなくなりかけている)に付く頭花 藤沢市・新林公園 2016/10/01
ヤブタバコ 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/09/26
ヤブタバコ 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/09/26
ヤブタバコ 鎌倉中央公園 2016/10/10
ヤブタバコの葉腋に付く頭花 藤沢市・新林公園 2016/10/01
ヤブタバコの葉腋(枝の途中)にいちいち付く、先細る頭花 葉山町/逗子市・森戸川源流 2017/09/26
横浜市栄区・横浜自然観察の森(コナラの道21番周辺、7月上旬)
はやま三ヶ岡山緑地、森戸川源流、池子の森自然公園、鎌倉中央公園、清水谷、高麗山公園(湘南平車道沿いに多からず点在)
新林公園(草姿がらしからぬもの・頭花が細過ぎるものあり=個体差の範疇なのか雑種が疑われるのかは不明)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)