大泡立草 キク目/キク科/アキノキリンソウ属 花期/6月下旬~8月上旬
学名/Solidago gigantea Aiton subsp. serotina (Kuntze) McNeill
外来種稀少
外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
生態系被害防止外来種リスト「重点対策外来種」
日本生態学会「日本の侵略的外来種ワースト100」
#オオアワダチソウ 東京都調布市・野草園 2020/08/04
日当たりは良いが乾燥しない草地などに生える、北米原産の大型な多年草。元々は明治時代に観賞用に持ち込まれた園芸植物らしいが、日本の野良に威勢良く帰化してしまって問題になった。ぱっと見の姿は近似種のセイタカアワダチソウ(背高泡立草)と瓜二つで、しばしば両者の見分けが問題になるようながら、開花時期がまったく異なるのでじつは同定は誰にでも簡単にできる。夏真っ盛りの8月ないしそれ以前から花が咲いていればオオアワダチソウ、夏休みなんかとっくのとうの大昔に終わった頃にようやく咲き出せばセイタカアワダチソウである。オオアワダチソウは夏の花、セイタカアワダチソウは秋の花。加えて葉の表裏と縁(ふち)の毛の有無を確認すれば間違えようなし。アワダチソウとはアキノキリンソウ(秋の麒麟草)のこと。それより全然大型化し、草丈1m程度になるのでこの名がある。なおセイタカアワダチソウはこれよりも更に背高に超大型化する。見慣れたセイタカアワダチソウに比べればオオアワダチソウは”ちょっと背が低い”という印象を受けるだろう。今なお北海道ではオオアワダチソウの方が優勢で侵略的外来種として元気に猛威を振るっているようであるが、神奈川県内で現在オオアワダチソウを見かけることはまずない。何なら保護が期待される在来種アキノキリソウよりも断然少ないようなので、見かけたらちょっとラッキーくらいな代物となっている。湘南・鎌倉・三浦半島では、そこいらでよく見かける黄色いあいつは全部セイタカアワダチソウの方だと思ってまず間違いない。オオアワダチソウはセイタカアワダチソウほどの大群落を作る能力はない模様。どうも土がからっからに乾いてしまうのが嫌いらしく、水路周辺やら、何なら湿地の方がお好みとのこと。もしかしたら地球温暖化の影響で余りの暑さに耐えられなくなっているのかもしれない、山地でちらほら見かけるという話も聞く。
#オオアワダチソウ 東京都調布市・野草園 2020/08/04
#オオアワダチソウ 東京都調布市・野草園 2020/08/04
セイタカアワダチソウの葉は両面に毛が多くて触るとざらざらしているが、オオアワダチソウの葉は無毛で(絹のようにといったら大袈裟ではあるが)つるつる。ただし(セイタカアワダチソウと共通する性質として)縁には棘(とげ)状の短い毛が密に葉先方向に向かって生えており、逆に撫でると強めにがりがり引っかかる。鋸歯は葉先側半分にのみ小さく入る傾向。
#オオアワダチソウの葉 東京都調布市・野草園 2020/08/04
#オオアワダチソウの葉裏 東京都調布市・野草園 2020/08/04
#オオアワダチソウの茎 東京都調布市・野草園 2020/08/04
黄花のオオアワダチソウやらセイタカアワダチソウをブタクサ(豚草)と呼ぶは誤認。まったく別の(同じキク科ではあるも類似性は特にない)植物である。
オオアワダチソウの花
見た感じはほぼセイタカアワダチソウに同じ。てっぺんの花序はぴーんと真上を向かず、たらりと首(こうべ)を垂れる傾向が見られる。見頃は7月中旬の早めか。
#オオアワダチソウ 東京都調布市・野草園 2020/08/04
#オオアワダチソウ 東京都調布市・野草園 2020/08/04
#オオアワダチソウ 東京都調布市・野草園 2020/08/04
東京都小平市・#東京都薬用植物園(7月10日前後、民間薬原料植物区に多め)、東京都調布市・#野草園
箱根湿生花園(8月上旬~中旬)、箱根町・仙石原湿原(駆除対象)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『牧野日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)
サロベツ湿原で、ガイドさんから教えてもらいました。
アキノキリンソウ、ミゾソバなど、実は横浜でも見られる花でした。
でも、北海道の湿原で見ると、花が美しいんですよね。
どうしてでしょうか、そう思いました。