鬼縛り アオイ目/ジンチョウゲ科/ジンチョウゲ属 花期/2月下旬~3月 結実期/5月下旬~7月中旬 落葉期/5月下旬~7月中旬
有毒自生種
オニシバリの雄花 平塚市・高麗山公園 2017/02/11
丘陵地の林内や林縁部に生える落葉低木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。樹高は人の膝(ひざ)から腰程度。名は、樹皮に含まれる繊維が鬼をも縛れるほどに頑丈だ、という意味。湘南・鎌倉・三浦半島では丘陵地のハイキングコース沿いなどでちらほら見られる普通種。市街地にはない。有毒で樹形も整わないことから、鎌倉の寺境内や公園では栽培されていない。
オニシバリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/02/20
オニシバリ 平塚市・高麗山公園 2017/02/11
オニシバリの葉 藤沢市・新林公園 2019/11/16
オニシバリの葉 藤沢市・新林公園 2019/11/16
オニシバリの花
初春に咲くジンチョウゲ(沈丁花)の仲間なので、花は同時期で同形。ジンチョウゲのようにきれいな球形には集合せず、香りも周囲に広がるほど強いものではない。花色は緑。
オニシバリの雄花 鎌倉市植木・龍宝寺 2013/02/16
雌雄異株(しゆういしゅ)とされる。雄花とされているものは雄蕊と雌蕊の両方を有している(ということは雄花ではなく両性花)。ただし結実しないものあるとか(となるとやはり雄花なのか)。雌花とされているものも雄蕊と雌蕊を有しているが、雄蕊は花粉を作らないという。確かに葯(やく)が黄色い花粉に覆われていない花を見るが、古い雄花らしき花も花粉が売り切れており雌花との見分けがなかなか付かない。よくわからない。花の大きさや長さに差異あるとの話もあるが、個体差のようにも感じられる。花を分解してよくよく観察しても雌雄は判然としない。黄色い花粉があからさまに作られていないものは雌花とみてよいだろうけれども。
オニシバリの雄花 平塚市・高麗山公園 ヤブラン平 2017/02/19
半分に割ってみたオニシバリの雄花、雄蕊の葯が二段構えでその下に雌蕊が確認できる
オニシバリの雌花 平塚市・高麗山公園 ヤブラン平 2017/02/19
花が黄色かったら同属のナニワズ(難波津)。東北地方や北海道などの寒冷地に分布。神奈川県に自生しない。栽培ものを見る機会もまずないのではないか。
オニシバリの黄ばんだ古い雄花 横須賀市・貝山緑地 2017/03/22
オニシバリの実
初夏、鮮やかな赤い実を付ける。小さな子供がつまんで食べてしまいそうな、サクランボ(桜ん坊)を思わせるかわいらしい実であるが、有毒。
オニシバリの未熟な実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2017/05/29
オニシバリの実 藤沢市・新林公園 2019/05/31
オニシバリの実 藤沢市・新林公園 2019/05/31
オニシバリの実 藤沢市・新林公園 2017/05/30
オニシバリの落葉
実が赤く熟すと葉も役目を終えて(軽く黄葉して)散る。枝だけになるので別名ナツボウズ(夏坊主)。林床にも生える背丈の低い植物なので、他の樹木の葉がよく茂って暗い日陰となってしまいがちな夏場は休眠し、他の樹木の葉が散った秋以降に新しい葉を生やして頑張るのがオニシバリ。他の一般的な樹木とはサイクルを逆転させて生き残りを図っているものと考えられる。もしくはただの天邪鬼(あまのじゃく)。
葉をぽろぽろと落とし始めた結実期のオニシバリ 藤沢市・新林公園 2019/05/31
葉をぽろぽろと落とし始めた結実期のオニシバリ 藤沢市・新林公園 2019/05/31
横浜市栄区・横浜自然観察の森(ヘイケボタルの湿地南側)
鎌倉市植木・龍宝寺、鎌倉広町緑地、平塚市・高麗山公園(中央広場の作業倉庫周辺、ヤブラン平の西側、など)
貝山緑地、藤沢市・川名清水谷戸(新林公園への登り口に少々)、新林公園、大磯町・鷹取山