鋸鍬形 昆虫/甲虫目/クワガタムシ科/ノコギリクワガタ属 出現期/6月~9月
自生種保護
ノコギリクワガタのオス 茅ヶ崎市 2017/09/01
今なお子供たちに絶大な人気を誇る甲虫(こうちゅう)の一つ。俗に略してノコ。クワガタとしてはコクワガタ(小鍬形)に次ぐ普通種。流線形で赤みを帯びる大型個体は特に美しく、スイギュウ(水牛)の角(つの)に見立てられる顎(あご)も立派。気性が荒く好戦的で、人に気づくとすぐ威嚇してくる。半面、かなりの臆病者で、すぐにこそこそ小走りで逃げる。捕獲しようとすると手足を縮めてしまうので木からすぐにぽろっと落下し、地面の草むらに紛れてしまう。夜間は比較的よく飛ぶ。湘南・鎌倉・三浦半島では現代においてもちょくちょく見かけることはできるものの、雑木林が宅地開発されてしまい減少の一途をたどっているため、餌であるクヌギなどの樹液が減り、幼虫の棲み処(すみか)となる朽ち木も減りで、前途は決して明るくない。その割には”稀少種になってしまう一歩半手前”の状態をしぶとく維持し続けているような気もするが。
ノコギリクワガタのオス 茅ヶ崎市 2017/09/01
餌は広葉樹の樹液。カブトムシ(甲虫)と同じで、特にクヌギの樹液が大好物。なのだが、真夏の間のクヌギの樹液場はより大型で強いカブトムシに占拠されてしまうため、ノコギリクワガタ(やコクワガタ)はどこかへ追い払われてしまっており姿を見つけることが少々困難。はて、いずこへ消えていなさるか。
ノコギリクワガタのオス
角(つの)が立派じゃないのも、成虫のオス。幼虫時代に餌が良くなかったせいでこうなったという。成虫になってからはこれ以上成長するようなことはない。昭和時代(-1989)にもこのような個体はあったが、どうも最近は小歯型・中歯型の比率が高まっているような気がしてならない。(何の統計も取っていないなんとなくの感覚で申せば)五割近くが小歯型・中歯型。
ノコギリクワガタのオス(小歯型・原歯型) 茅ヶ崎市 2017/08/27
ノコギリクワガタのオス(比較的大きな小歯型・原歯型) 茅ヶ崎市 2016/08/26
ノコギリクワガタのメス
全体的に丸っこく、やや厚みがあり、ものにより赤みを帯び、表面は小さなぶつぶつに覆われる。コクワガタのメスとの見分けがちょっと難しい。
ノコギリクワガタのメス 茅ヶ崎市 2017/09/29