小牡丹蔓 キンポウゲ目/キンポウゲ科/センニンソウ属 花期/8月中旬~9月上旬 結実期/10月中旬~11月
学名/Clematis apiifolia DC. var. biternata Makino
有毒自生種保護
コボタンヅル 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26
山地や丘陵地の林縁部などに生える蔓性の落葉藤本(とうほん)で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。日本固有種。ボタンヅルの変種。山地には多く、神奈川県内では丹沢や箱根では多く見かける普通種。センニンソウ(仙人草)の勢力が強い湘南・鎌倉・三浦半島では大磯丘陵や三浦半島北部で時折見かける程度。鎌倉の寺境内や民家、公園などで栽培されることまずなし。
葉は、ボタンヅルとは異なり、ふつう二回三出複葉(茎から分岐した柄の先に”小葉3枚×3セット”の計9枚の葉が付く)。小葉(しょうよう)はボタンヅルやシロバナハンショウヅル(白花半鐘蔓)より小さい。
コボタンヅルの葉 大磯町高麗・高麗山公園入口 2017/08/19
コボタンヅルの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26
コボタンヅル(左の小さい方)とシロバナハンショウヅル(右)の葉 横須賀市湘南鷹取 2017/10/12
名前が紛らわしいが、コバノボタンヅル(小葉の牡丹蔓)は別の近似種。コバノカモメヅル(小葉の鴎蔓)は名前が似ているだけのまったくの別種。ややこしい。
コボタンヅルの仲間を湘南・鎌倉・三浦半島で見かける頻度は、およそ【センニンソウ8:コボタンヅル2:ボタンヅル0:コバノボタンヅル0】の比である。
コボタンヅルの花
花弁(に見える萼片)が短く、蕊(しべ)の長さとだいたい同等。よって、やや黄色みがかった蕊のもしゃもしゃ感がよく強調されて見えるため、清潔感ある白い華やぎとしてはセンニンソウに劣る。またセンニンソウほど花数多い花序を構成しない。蕾は先端に丸みがあり尖らない。
コボタンヅル 大磯町高麗・高麗山公園入口 2017/08/27
コボタンヅル 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26
コボタンヅルの実
なかなか熟さないが、油断していると10月下旬あたりからにわかに黒っぽく変色し風に飛ばされてなくなってしまう。冠毛は短い。
コボタンヅルの未熟な実 横須賀市山中町 2017/10/24
コボタンヅルの未熟な実 横須賀市山中町 2017/10/24
コボタンヅルの完熟した実 山北町・丹沢湖 2017/10/27
コボタンヅルの完熟した実 横須賀市山中町 2017/11/12
コボタンヅルの完熟した実 横須賀市山中町 2017/11/12
コボタンヅルの完熟した実 横須賀市山中町 2017/11/12
冠毛はすこし黄色っぽいと感じることがある。
コボタンヅルのやや黄色みを帯びた冠毛 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/12/01
横須賀市・鷹取山公園(展望台への階段入口)、横須賀市山中町(塚山公園西方農地フェンス)、森戸川源流、大磯町高麗・高麗山公園入口(レモンガス南側の園縁部で石垣に垂れて・夏の刈払いで丸刈りされる)
#円覚寺松嶺院(「ぼたんづる」として、生育不良)、茅ヶ崎市・市民の森(北側外周にあるが刈払われる)
箱根町・湖尻(県道75号沿い箱根パウエル前、花期は下界と同じ)
参考資料
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)