芥子 キンポウゲ目/ケシ科/ケシ属 花期/4月末~5月上旬 結実期/5月中旬~6月
有毒危険改良種違法稀少
アツミゲシ、ハカマオニゲシ(ボタンゲシ)=生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」
ケシ’一貫種’ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
欧州の辺りを原産とするようだが、原種が発見されていないためよくわからない。現在ケシといったら主に一貫種(いっかんしゅ)と呼ばれる大型種を指す。畑1反(たん、約990㎡=約10a(アール))で1貫(約4kg)もの生アヘンを採取できるという生産性の高いケシで、白花を咲かせる。ソムニフェルム種とも。あへん法で栽培・所持等が禁止されている”禁断のケシ”。
ケシは広義のポピーに含まれる。ポピーの仲間である。ただし一般にポピーといったら栽培等が禁止されていない花観賞用の品種群だけを指し、栽培等が法律で禁止されているものはケシと呼び分けている。
ケシ’一貫種’ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
ケシ’一貫種’ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
花が終わってしばらくたった実(ケシ坊主)は鶏卵ほどに大きく膨らむ。その実の表面を傷つけると樹液のように汁がにじみ出てくる。それが生アヘン。集めて精製すると麻薬のアヘンになる。それを更に加工したものがモルヒネやヘロイン。
ケシ’一貫種’のケシ坊主 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
一貫種の香りは強め。花畑に十分もいると気分が悪くなるくらいに悪臭。ミツバチ(蜜蜂)はよく集まっていたが、気持ち良さそうにひっくり返っているのは見つからなかった。
ケシの種子(ケシの実、とも呼ばれる)は煎ると香ばしいため食用にされる。あんぱんの表面にふりかけられている白い粒々がそれ。七味唐辛子にも含まれている。もちろん流通しているケシの種子は発芽しないように熱処理されたものだけで、合法なものである。
アツミゲシ
渥美芥子
小型のケシ。名は愛知県の渥美半島で帰化し生えていたものが発見され大騒ぎになったことに因む。今日もなお日本各地で”発見”が相次いでいるのはこのアツミゲシが多い。河川敷に帰化していたり、民家の庭に突然生えてきたり。花が美しいのでポピーの一種として誤って栽培されることもあるが、これも栽培禁止の”禁断のケシ”の仲間である。花色は濃淡違い、赤色などあり。セティゲルム種とも。葉が茎を抱く。茎はほぼ無毛。
アツミゲシ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
アツミゲシ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
ハカマオニゲシ
袴鬼芥子
イラン原産で赤色大輪のケシ。ブラクテアツム種とも。これも”禁断のケシ”だが、近似種で栽培できるオニゲシ(鬼芥子)と誤って植えられることがある。花などの見た目で区別することはなかなか難しいところ。
ハカマオニゲシ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
八重咲品種はボタンゲシ(牡丹芥子)とも。花が美しいため違法栽培されることがある模様。
ボタンゲシ 東京都小平市・東京都薬用植物園 2016/05/06
東京都小平市・東京都薬用植物園(ケシ・アサ試験区、5月上旬~下旬に外柵開放、期間中数日間の朝30分間のみ内柵開放=先着70名限定、三脚および脚立使用禁止)