豊年蝦 節足動物/無甲目/ホウネンエビ科 見頃/6月下旬~7月上旬
学名/Branchinella kugenumaensis (Ishikawa, 1895)
在来種稀少保護
ホウネンエビ 中井町 2022/06/21
初夏の田んぼなどに出現する、背泳ぎをするへんちくりんなエビ。といった感じの、じつはミジンコ(微塵子)の仲間。エビのように脚で水底を歩くことはせず、仰向けになって、脚のように生えているたくさんの鰓(えら)をひらひらさせて水中を遊泳する。ときには仰向けではなくうつぶせ状態で遊泳することもある。体長はおよそ2cm程度。尾叉(びさ)と呼ばれる二裂する尾っぽは鮮やかな赤色をしている。すいすいと泳いでいるが人間に対する警戒心が薄めなので、手のひらですくい捕ることも可能だったりする。餌は植物性プランクトンなどの細かな有機物。寿命は四十日程度。名は、このエビが出現した年は豊作になるといわれていることから。見た目や動きがかわいらしいので縁起物扱いされたようだ。学術的には明治25年(1892)に帝国大学農科大学(現東京大学農学部)の石川千代松博士が神奈川県高座郡鵠沼村(現藤沢市の鵠沼地区(地区名に鵠沼が付く全域))で”発見”したのが最初で、学名に反映されている。ホウネンエビは”日本全国の田んぼで見られる”などという説明がされることもあるようながら、湘南・鎌倉・三浦半島ではそうそう見つけられるものではなし。使っている農薬が原因なのか何なのか、水田地帯であってもホウネンエビが泳いでいるのはそのうちの一枚の田んぼでだけということはざらにある。湧いているところでは多数の個体が出現し、わいわい賑やかに泳いでいる姿が確認できるだろう。
ホウネンエビ 中井町 2022/06/21
ホウネンエビ 中井町 2022/06/21
ホウネンエビ 中井町 2022/06/21
ホウネンエビ 中井町 2022/06/21
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藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市
中井町、大井町