伊予葛 リンドウ目/キョウチクトウ科/カモメヅル属 花期/5月下旬~8月 結実期/11月~12月
学名/Vincetoxicum japonicum (C.Morren & Decne.) Decne.
自生種稀少保護
イヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
主に海に面した日当たりの良いあるいは半日陰の草地や林縁に生える多年草。生えている場所といい雰囲気といい、マルバマサキ(丸葉柾)の幼株か、と勘違いしてしまいそうになるもの。マルバシャリンバイ(丸葉車輪梅)の葉にも紛れる。茎は(大きく育った株では複数本が生え出て)分枝(ぶんし)せずに直立し、草丈は人の膝(ひざ、高さ50cm)内外。但し軟らかめなので自立する力は弱く、背高になると周囲に寄りかかるものなくばばったり倒れることも。名は、伊予国(いよのくに、愛媛県)で見つかったことに因むらしいが、その地方の特産ではまったくない。別名スズメノオゴケ(雀の苧小笥)。神奈川県内では、三浦半島、江の島、真鶴半島にのみ分布あり。数も少ない上に目立たないので見つけ出すのに難儀するだろう。人があまり入り込まない場所にひっそり生えている。江の島など人の手が加わる場所では雑草もろとも刈払われてしまうことが多い。復活してまた生え出てこようが。県の絶滅危惧種には指定されていないが、低く見積もっても準絶滅危惧(NT)相当ではないか。
開花し始めたイヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
海辺の林縁に生えたイヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
海辺の林縁に生えたイヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの全体像 三浦市・諸磯 2024/06/07
刈払われたのちに復活して生え出たイヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/07/03
海に面した草地に生えたイヨカズラ 藤沢市・江の島 2024/06/12
道沿い林縁に生えて倒れたイヨカズラ 藤沢市・江の島 2024/06/12
海に面した草地に生えたイヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/07/05
刈払われたのちに復活して生え出たイヨカズラ 藤沢市・江の島 2024/07/20
葉は対生。丸っこい楕円形で、海辺に生える植物らしく表面は光沢あり。鋸歯(きょし)はない全縁(ぜんえん)。マルバマサキと紛らわしいが、マルバマサキの葉には鋸歯がある。
イヨカズラの葉 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの葉 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの葉 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの葉 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの葉先 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの葉裏 三浦市・諸磯 2024/06/07
並べて見比べると思いのほか似ていない、マサキの葉(左)とイヨカズラの葉 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラの茎 三浦市・諸磯 2024/06/07
株が十分な大きさに成長すると、茎の頂上部分がひょろひょろと長く伸びてそこだけ蔓植物と化し周囲の草木に絡まって茎が倒れないようにしようとする、という特殊な形態を有す。
イヨカズラの当初の茎頂部 三浦市・諸磯 2024/06/07
#イヨカズラの蔓と化して巻き付いた茎頂部 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/11
イヨカズラの蔓状に伸びた茎頂部 藤沢市・江の島 2024/06/12
イヨカズラの花
葉腋(ようえき)から柄(え)を伸ばして花序を付ける。コバノカモメヅル(小葉の鴎蔓)と同属なので、似たような星形の花。但し花色はクリーム色から淡い黄緑色。花がコバノカモメヅル色になる品種をクロバナイヨカズラ(黒花伊予葛)というが、神奈川県内では確認されていないと思われる。
イヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラ 三浦市・諸磯 2024/06/07
イヨカズラ 藤沢市・江の島 2024/06/12
イヨカズラの花の構造 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/27
イヨカズラの実
ガガイモ(鏡芋)の実を小さくしたような形の袋果(たいか)ができる。縦(長さ)5.5~6cm、横(太さ)2cm。花が極めて受粉しづらい構造をしているため結果率はかなり低い。
東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター(伊豆諸島ゾーン海岸砂地エリア、5月~)
猿島、横須賀市長井、毘沙門海岸、諸磯、城ヶ島、#城ケ島公園(正面ゲート入ってすぐ左側のマツの植え込みに大株、よく結実する)、黒崎の鼻、江の島
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)