フジ

藤　マメ目／マメ科／フジ属　花期／4月中旬～5月上旬　結実期／11月～12月
学名／Wisteria floribunda (Willd.) DC.

有毒自生種改良種

#フジ　鎌倉市・大船フラワーセンター　2021/04/15

北海道を除く日本全国の山地や丘陵地に広がる林の日光がよく当たる場所に生える落葉性の蔓性の樹木で、雌雄同株（しゆうどうしゅ）。現在の大阪府大阪市福島区野田に名所があったことから別名ノダフジ（野田藤）。西国にのみ分布があるヤマフジ（山藤）と併せて、総称としてフジの名が用いられることが一般的には多い。共に日本固有種。フジ（ノダフジ）は蔓が左巻き（支柱となるものの手前で見て、右下から左上に向かって伸びる）、ヤマフジは右巻きなので、見分けは容易である。とかよく言われたりするが、蔓が巻いていない、藪（やぶ）の中にあって蔓が見えない、遠くで咲いているので蔓なんか見えるわけがない、といった事態がざらにあるので、現実的にはそんな簡単な話ではなく、両者の峻別はできないことが多い。花序の長さはどちらとも言い難いものも多く、成葉の毛の有無どうたらは花時に成葉なんかないためあまり役に立たない。栽培されている園芸品種は中国原産種などとの交配種もあるらしい。※本頁にはフジ（ノダフジ）とどちらとも判別できなかったものを合わせて掲載し、明らかにヤマフジの特徴を有するものは別頁を設ける。湘南・鎌倉・三浦半島でも開花株は主に丘陵地の林にさほど多くはないものの見かける普通種。生え出て年月がさほど経っていない幼株はハイキングコース沿いなどにちょくちょく生え出てくるも、他の樹木に絡まって登る蔓植物というだけで目の敵（かたき）にされるため、人の手が入る場所では刈られてしまうことが多い。従って野生のフジの花は、人が入り込めない鬱蒼とした向こうの山では咲いていても、間近で手に取って見られるような機会はまず得られない。公園や社寺境内などで藤棚（ふじだな）が設置され、栽培はよく行われている。観賞に足る姿になるまでに十年近くかかるため、（敷地が広い旧家を除く）一般的な民家の庭には向かない。なおヤマフジも栽培されることがあり、逸出と思われるものが鎌倉市周辺で野生状態で生えているところも。俗に野山に生えている野生のフジ（ノダフジ）がヤマフジと呼ばれることもままあるので注意を要する。

#フジ　横須賀市・しょうぶ園　2021/04/20

八重咲きの#フジ　横須賀市・しょうぶ園　2021/04/20

フジ　三浦市・小網代の森　2023/05/01

#フジ　鎌倉市・鶴岡八幡宮（つるがおか－）・源氏池畔　2021/04/20

フジ　鎌倉市・円覚寺（えんがくじ）　2018/04/22

法面に垂れ下がったフジの大株（中央）　鎌倉市・円覚寺・臥龍庵（がりょうあん）　2024/05/04

法面に垂れ下がったフジの大株　鎌倉市・円覚寺・臥龍庵　2024/05/04

フジ　鎌倉市山崎（やまさき）　2023/04/28

フジ　鎌倉広町緑地　2023/04/18

フジ　鎌倉広町緑地　2017/05/07

フジ　鎌倉市山崎　2023/04/28

#フジ　鎌倉市・大船フラワーセンター　2021/04/15

#フジ　藤沢市・遊行寺　2024/04/20

#フジ　藤沢市・新林公園　2024/04/28

フジ　茅ヶ崎市芹沢　2023/04/19

#フジ　平塚市・花菜ガーデン　2023/04/20

町指定天然記念物「#フジの木」　二宮町・等覚院　2024/04/28

フジ　大磯町寺坂　2023/04/20

フジ　大磯運動公園　2023/04/20

#フジ（市指定天然記念物「御感の藤」）　小田原城址公園　2024/04/26

#フジ（市指定天然記念物「御感の藤」）の幹　小田原城址公園　2024/04/26

#フジ（市指定天然記念物「御感の藤」）　小田原城址公園　2024/04/26

市指定天然記念物「御感の藤」の説明板　小田原城址公園　2024/04/26

#フジ（市指定天然記念物「御感の藤」）　小田原城址公園　2024/04/26

遠くで咲いている紫花はキリ（桐）と、白花はハリエンジュ（針槐）とたいへん紛らわしい。

フジと向こう山のキリ　横浜市栄区上郷町　2023/04/25

フジ　横浜市栄区・横浜自然観察の森　2023/04/25

#フジ　伊勢原市上谷（かみや）・石田牧場　2023/04/16

フジの葉　茅ヶ崎市芹沢　2018/05/12

#フジの葉　茅ヶ崎市・氷室椿庭園　2018/05/15

フジの葉　茅ヶ崎市行谷（なめがや）　2018/06/19

#フジの葉　鎌倉市・大船フラワーセンター　2019/08/19

#フジの葉　茅ケ崎里山公園　2018/06/19

神奈川県内では藤沢市の市の花に選定されており、市内随所で積極的に栽培がされている。民家の庭で黄色花のフジが栽培されていたらそれはヨーロッパなどを原産とするキングサリ（金鎖）という別種である。

フジの花

野生種の花色は紫、ときに白。白花品種をシロフジ（白藤、シラフジ）、シロバナフジ（白花藤）と呼び分けることがあるが、別種ではなくただの品種にすぎない。園芸品種はピンク色のものあり。花序は長い。異様に長ければフジ（ノダフジ）系の園芸品種とわかる。ただヤマフジのような短く20cmくらいしかない花序のフジ（ノダフジ）がないかといったらそうでもない。開花時期は概ねツツジ（躑躅）やオオデマリ（大手毬）と重なる。

フジ　茅ヶ崎市芹沢　2023/04/19

#フジ　藤沢市・遊行寺　2024/04/20

#フジ　平塚市・花菜ガーデン　2023/04/20

#フジ　鎌倉中央公園　2023/04/28

#フジ　横須賀市・しょうぶ園　2021/04/20

八重咲きの#フジ　横須賀市・しょうぶ園　2021/04/20

フジが咲き誇る名所には必ずクマバチ（熊蜂、クマンバチ）が集まってくる。スズメバチ（雀蜂）に負けず劣らず体がでっかく、黒くてけばけばしたいかつい姿はどう見ても獰猛（どうもう）にしか感じられず、人がいようと平気で近くをぶんぶんぶんぶん大きな羽音を轟かせて飛び回るため、強い恐怖を感じる人が多いようである。が、実際にはクマバチはほぼ無害である。素手で捕まえたりしない限り、クマバチに刺されたりすることはない。クマバチの性格は極めて温厚で、ただ花の蜜を吸いに来ているだけである。進んで人を襲うことはない。（繁殖時期を除いて）人に関心を示すこともない。止まって休むということもほとんどしないので、服にしがみついてくることもない。従って、すぐ目の前を何十匹と飛び回っていたとしても、フジの妖精さんだと思ってただただ無視して放っておけば、何も問題は生じないのである。