蔓万年草 ユキノシタ目/ベンケイソウ科/マンネングサ属 花期/4月末~5月
学名/Sedum sarmentosum Bunge
食用薬用自生種
満開の#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
中国などが原産らしい常緑の多年草。日本では外来の帰化雑草として、日当たりの良い道路沿いやコンクリートで固められた川べりなどで見かけることがある。古い時代に渡来したため在来種として扱われることがある。マンネングサ属に分類される得体の知れない(外国産のものを多く含む)植物を総称して呼ぶセダムの一種。全草軟らかくてふにゃんふにゃん。茎は長く伸びて地面を這う。樹木等をよじ登る能力はなく、斜面や壁面ではだらりと垂れ下がり、草丈はもしゃもしゃ茂って30cm以下。特に春から初夏にかけて旺盛に成長し、グラウンドカバー状に広がって地面を覆う。中国では生薬に、韓国ではトルナムルとして食用にされる。この手の植物は類似するものが多く見分けが厄介ながら、本種は、株も葉も花もセダムとしては大型であること、茎が赤みを帯びて長く伸び地面を這うこと、葉が三輪生で倒披針形であること、全草ふにゃふにゃ軟らかいこと、花径1.5cm、という点を抑えておけば判断が付く。
満開の#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
満開の#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
満開の#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
川べりに生えたツルマンネングサ 寒川町宮山・相模川 2021/09/10
花が咲いていない部分の茎に付く葉は三輪生。ほぼ無柄(むへい)。倒披針形(とうひしんけい、葉先側で最も幅広になる)で、葉先は尖る。セダムとしては大きめの葉で、長さ2.5cm、幅0.9cm。軟らかくてやや肉厚。多肉植物というほど分厚くはない。
#ツルマンネングサの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
#ツルマンネングサの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
#ツルマンネングサの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
ツルマンネングサの葉 寒川町宮山・相模川 2021/09/10
茎は赤みを帯びる。地面に触れている部分で発根する。セダムなので、千切れた茎の断片あらばそこから発根し再生してしまうだろう。除草の際には細かな茎や葉もすべて拾って処分する必要がある。
#ツルマンネングサの茎葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
#ツルマンネングサの茎の節から発根した根(白色矢印) 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/09
民家の庭で栽培すると、オカダンゴムシ(陸団子虫)やナメクジ(蛞蝓)といった園芸害虫に最高の住処(すみか)を提供してしまうことになるので注意されたい。
ツルマンネングサの花
茎の上部で枝分かれし、星形の花を咲かせる。セダムなので、花一個一個は同じベンケイソウ科のキリンソウ(麒麟草)の花に似ている。花色は明るい(レモン色に近い)黄色。大きな花で花径1.5cm程度と、セダムとしては大きく見応えがある。
#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
花序部分では、小花それぞれに葉よりも小さめな苞(ほう)が一枚だけ付属する。
#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/12
#ツルマンネングサの花序 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
花粉を放出する前の若い葯(やく)は赤っぽい色。
#ツルマンネングサの赤みを帯びる若い葯 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
#ツルマンネングサ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/12
#ツルマンネングサの花、花径1.5cm 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/06
#ツルマンネングサの六弁花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/29
#ツルマンネングサの六弁花 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/08
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)